小中学校や高校の授業で活用されつづけるICT環境を構築するには、多くの課題が存在します。その解決策を探る中で見つけたこぼれ話を綴っていきます。また、幼稚園や保育園年代からの「ICTとの適切な関わり方」はこれからの時代の重要なキーワードです。この分野についてもブログを通して伝えていきます。

幼稚園での「ICT活用インストラクター業務」

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5月より、佐賀市の学校法人高岸幼稚園で、「ICT活用インストラクター業務」をスタートしました。

どういう業務内容か?というと、

iPadなどの必要機材を、

専任のインストラクター(ICT支援員能力認定試験合格者)が持参し、

事前のセッティング

授業中の操作サポート

事後の片付け

までを一連で提供する。というものです。

トラブルがあれば即座に対応。

学校現場で5年間ICT支援員を経験したインストラクターです。

黒子に徹しながら、さりげなく授業進行を支えていきます。

現在は、年長さんクラスで実践しています。

その名は「ICT(あいしーてぃー)タイム」

ICTタイム開始前.jpg

1台のiPadをスタンドに設置

AppleTVをプロジェクタに接続

無線LAN環境の中でAirPlayできる状況です。

ケーブルに引っかかる心配もありません。

iPadの画面を大きく映して、全員で「場」を共有します。

 子どもたちには、基本の「おやくそく」を伝えています。

「まつ」「みる」「おうえんする」

今ではすっかり定着して、自分たちで唱和してくれるほどです。

導入は、「絵本の読み聞かせ」から。

えほんよみきかせ風景.jpg

デジタルえほんでも、朗読はできるだけ担任の先生に読んでもらいます。

その方が、子どもたちが安心して聴いてくれます。

大きな画面で「えほん」を見る事で、集中し、教室内に落ち着いた空気が流れていきます。

iPadなどの刺激的なメデァイは、与え方によっては過度に興奮させてしまい、肝心の学びが薄まる傾向があります。

そうならない為にも、導入の中で「静かな集中」を促していきます。

この日はアルファベットアプリで、ABCを学びました。

海外に転園した友達にもらった英語のえほんを読もう!

という動機からスタートした取り組みです。

アルファベットをドラッグしながら、iPadの操作にも慣れていきます。

アルファベットパズル操作風景.jpg

子どもたちは

「がんばれ〜」「そっち〜」

と、声をかけながら、友達が操作する様子をしっかり見つめています。

楽しそうに、場に参加してくれます。

おやくそくも、守ってくれました。

かけ声は、回を重ねるごとに具体的な言葉に変わっていきます。

「右〜」「上のしろいところ〜」「もっと下〜」

わかりやすく伝えようと言う工夫や気持ちが伝わってきます。

表面だけを見ると、「楽しい」「集中していた」で終わるのですが、

実践の前に、我々は指導案を作成し、担任の先生と打ち合わせを行い、活用の「ねらい」を明確にしています。

実践の後は、その日の様子を振り返り、「到達度合い」を確認し、「次へのてだて」を考えます。

それを、実践の記録として残しています。

「ねらい」を絞る時に常に意識しているのは

「キー・コンピテンシーの育成です」

NEL&M NELS キーコンピテンシー.jpg

星印の項目を重視しながらアプリの選定やICTの活用方法を探っています。

その基で、子どもたちの状況に応じて指導案を練っています。

同時に、従来取り組まれてきた保育や教育活動は、これまで以上に大切にしたいと考えています。

砂場理論.jpg

とくに、「場」を共有する事には重きを置いています。

日頃の活動と、友だちや先生との関わりの充実がある中に、

「ICT」を少しだけ取り入れることで

「つくる」「つたえる」「かかわる」

といったチカラを今以上に拡げたいと願っています。

 スタートしたての頃、園児たちに一つだけ質問しました。

「家で、スマホやタブレット、パソコンを使って遊んでいますか?」

全員が手を挙げました。予想以上でした。

スマホやタブレットなど、ICT環境は子どもたちの生活のすぐ近くに存在しています。

操作はお手のモノ。スイスイです。

一方、保護者の方からは

「ゲームばっかりしている」「あまり使わせたくない」「良いイメージがない」

といった声が聞こえてきます。

スマホやタブレットは、大人でも依存や中毒になる事があるほど、刺激が強いメディアです。

子どもにとっては、尚更です。

放っておくと、夢中になりすぎてしまいます。

それを「集中している」という見方もできるかもしれませんが

メディアに「支配されているのでは?」という視点を持つ事も大切だと考えています。

「ストーリーや想像/創造の範囲が限定されないアプリ」

「周囲の人たちと一緒に楽しめる活用」

「操作時間は極力短く、体験の充実を促す活用」

こういう視点から選んだアプリや学びのデザインを通して

子どもたちや先生方、保護者の方と一緒に

「よりよい活用」「よりよい関わり方」を深め、広めていきたいと思います。

幼保での取り組みに関して着想してから数年。

近年は、「小学校ではもう遅い」と考え、方略を練ってきました。

イメージがカタチになる喜びを噛み締めています。

同時に、取り組み始めた責任を全うしたいと思います。

今後も、定期的にレポートしていきます。

 ※本ブログは、個人ブログ「教育ICTデザイナー 田中康平のブログ」2014年5月2日の記事の一部を修正しています。

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