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小中学校や高校の授業で活用されつづけるICT環境を構築するには、多くの課題が存在します。その解決策を探る中で見つけたこぼれ話を綴っていきます。また、幼稚園や保育園年代からの「ICTとの適切な関わり方」はこれからの時代の重要なキーワードです。この分野についてもブログを通して伝えていきます。

佐賀県のICT利活用教育推進事業に関する、改善検討の今後

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平成28年6月30日に開催された、佐賀県の平成28年6月定例教育委員会の議案等が公開された。
昨年度に引き続き実施されるICT利活用教育推進事業に関する改善検討委員会についても示されている。
委員の顔ぶれは昨年と多少変わり、その数は増加した。(H27年度15名→H28年度20名)
27年度、全ての改善検討委員会に出席した身として、今現在の状況(不正アクセス事件という最も避けるべき事案の発生)を考えると、後悔の念が募る。
佐賀県立高校1人1台の写真.pngのサムネイル画像
H23年度から始まった佐賀県のICT利活用推進事業は非常に多岐にわたり、その全貌が見え難い。
その様な中で改善点について意見を交わし論点を整理しようと試みてきたが、県教委(教育情報課)との議論は噛み合わず、思う様に進まなかった。
第7回で突然の終了を宣言されたと思いきや、その後も継続されるなど、その運営のチグハグさは強く印象に残っている。
改善検討委員会全体で改善策に関する提言を取りまとめるものと思い参加していたが、担当する教育情報課の見解は「課題等について広く意見を聞く場」というものに終始していた。
そのため、一委員ではあったが、私なりに整理した内容について「7つの提言」としてまとめ、提出した。
昨年度の改善検討委員会では、過去に実施された調査や、各事業及びその予算や仕様などの情報提供を再三に渡り求めてきたが、関連資料が実際に提出されたのは最終回となった第9回であった。
第5回の改善検討委員会では、そもそも様々な調査や定量的な評価すら実施していないという事実が明らかになったものもある。(この時、教育情報システムSEI-Netの導入効果について、調査すらしていないことが判明している)
議論が進めば当然、情報セキュリティーに関連した部分の検討も行うべきであった。
第6回の改善検討委員会では、法令遵守に関する教育について指摘をしたが、それが現場で活かされていなかった結果の今回の事件であれば、もっと強く訴え実行案を出すべきだったと後悔している。
今年に入り、学校現場からの情報提供により、全教職員及び生徒、無線LANAP等NW機器のパスワード変更作業が実施されていることも聞いていた。
その理由や目的について確認すべきだったが、タイムアップとなってしまった。
昨年度開催された全9回の改善検討委員会を通して感じたのは、議論ができるような材料すら整理されていないであろう教育情報課の混迷と、当事者意識の低さ、そして時間稼ぎやアリバイ作りと思しき姿勢であった。
そこにきて、今回の不正アクセス事件と、それに関連した対応である。
事件の要因は複数存在する。
ステークホルダーも多岐にわたる。
今年度のICT利活用事業の改善検討委員会で、今回の事件に関して果どこまで議論し、提言をまとめる様なことができるのか。
公開された定例教育委員会の議案には、改善検討委員会の趣旨として
総合的な立場から取組の 改善・検討に向けた協議や情報交換等を行う」と記載されている。
昨年度の経験から察すると大いに不安が残る。
しかしながら今現在、佐賀県のICT利活用教育に関する改善検討を行うための場としては、唯一である。

この事件を避けて議論する様であってはならない。
(私としては、不正アクセス事件に対しては第3者の専門チームを作り、徹底的な原因究明と改善策の検討等を行っていただきたいと考えているが、それが叶わない場合は改善検討委員会で議論する他ない)
ここでの議論が、矛先をかわそうとしたり、曖昧なまま時間を消費する様では、改善検討委員会の存在すら疑われかねない。
佐賀県内の高校に入学し、学習者用パソコンを購入した初めての学年の生徒たちは、今年度3月で卒業を迎える。
未来に向かって笑顔で旅立ってもらいたいと、心から願っている。
ICT利活用教育推進事業が、大きな負の面を残したまま終わらない様、私を含め関係者一人一人の姿勢が問われている。
これまでの考えを改め、疑い、その上で一度生まれ変わるくらいの覚悟を持って、ゼロベースで議論し検討することが求められているはずである。
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