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組織、マネジメントの理論とその実践を、スポーツ・学校を通して考える。

体罰はなくならないのか・・・益子さんのチャレンジ

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 高校野球の強豪校での体罰事件が明るみにでてきた。残念ながら学校部活動での体罰がなくならない。体罰が減少したとしても、依然として顧問の怒鳴り声やパワハラ的な指導は続いている。バレーボール界では益子直美さんが「監督は怒ってはいけない大会」を開催している。この大会の目的は「怒らない指導の大切さ」を指導者に認識してもらうため。益子さんは高校時代「ずっと怒られっぱなし。ぶたれて怒鳴られて苦しみを耐え抜くような毎日」「すべてを言われたとおりにしかやってこなかったから、社会人になって『主体的に自主的に』と言われても、どうしていいかわからなかった」(本人談)と語っている。

 確かに、指導していて怒リたくなるような場面はある。だからと言って「怒る指導」が主流になるのは、人材育成の面からマイナスでしかない。勝つことだけが目的になったスポーツ指導と「怒る指導」は表裏一体。「負けたら終わり」の中学高校スポーツは、「負けても次ある」という方向性に大きく舵を切っていくべきであり、指導者には選手の失敗を認めながら主体的に成長させる「怒らないコーチング」を取り入れてほしい。

 神奈川県の高校野球では、慶応義塾高校が先進的な取り組みをしている。監督の森林先生は「自分で考えて自分で判断する選手を育てたい」と言い「出来るだけ多くの選手にチャンスを」と独自ルールのリーグ戦を設けた。宮城県の東北高校野球部監督佐藤さんも「監督と呼ばずに、佐藤さんと呼んでくれ」とチームに変革をもたらした。実は東北高校理事長の五十嵐氏は、かつて慶応高校野球部でコーチを務めていて、何度か練習をさせていただいたことがある。このようなチームがこれからの高校スポーツの先駆者になってほしいと願っている。

 益子さんの思いがバレー界で実を結ぶことを願い、慶応高校、東北高校の野球部の未来に期待したい。

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