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組織、マネジメントの理論とその実践を、スポーツ・学校を通して考える。

帝京大学ラグビー部は「脱・体育会」

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帝京大学ラグビー部の皆さん、大学日本一おめでとうございます。前回のブログで「大学体育会はどこへ行く」と書きましたが、その解の一つが帝京大学ラグビー部によって示されました。

IMG_6744.jpg帝京大学ラグビー部を改革したのは前監督の岩出氏。きっかけは試合をスタンドで応援?していた下級生が「早く負けてしまえばいいのに・・・」とつぶやいたことだという。それを知った監督は「チームを変えなければならない」と改革に乗り出した。「なんてことを言うんだ」と、選手を怒ることなく、その言葉を受け止めチーム変革を目指した岩出監督の素晴らしさ。

 まずはいびつな上下関係を解消するため、上級生が雑用を担当することに。当時、2年生だった流大さんは「3年生になったら食事当番から解放される、と思っていたらもう1年食事当番をすることになった。」と当時を振り返っている。上級生にとって不満なことが多かっただろうが、それをやり切った上級生部員は立派。きっと岩出監督と部員の間には信頼関係があったのだろう。それがなければ思い切った改革はなかなかうまくいかない。

 自分も若いころ、監督になってすぐに「チームの上下関係解消」を求めたが、信頼関係もできていない時期での改革には無理があった。部員からは猛反発を食らい、監督がチームで孤立するという現象が起きた。

 帝京大学ラグビー部を見ていて感じるのは、キャプテンの言葉がとてもしっかりしていること。特に流大さんが主将として大学日本一になったときのコメントは素晴らしかった。対戦相手への敬意に満ちた言葉は感動的だった。そのような気持ちは「2年続けた食事当番」から生まれたのかもしれない。年上が年下の面倒を見る。その姿に年少の者は、年長者を慕い敬うのだ。それが健全な集団を生む。

 帝京大学ラグビー部の皆さん、素晴らしい優勝おめでとうございます。

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