オルタナティブ・ブログ > もうひとつのソーシャルを考える >

「社会貢献が日常になる世界」の可能性を追い求めます!

クラウドファンディングの価値あるサービスやプロジェクトをなくさないで欲しい!

»

フリーライター・編集者の今一生(こん・いっしょう)さんが、クラウドファンディングCAMPFIREの「ニートについての本を書いてるんですが制作費が欲しいです。」というプロジェクトについて記事を書かれているので紹介します。

 自称ニートがネットで"生活費集め"はOKか!?(前編)
 自称ニートがネットで"生活費集め"はOKか!?(後編)

内容は自称ニートのpha(ファ)さんという方が起案したニートについての本の制作費10万円を支援して欲しいというプロジェクトについてです。目標金額の10万円に対し、247人のパトロンから63万8,614円の支援金を調達して(内20%はCAMPFIREの運営手数料)終了しています。

今さんが指摘されているのは2点、ひとつは起案者がニートを自称しているが実際には「仕事をしたくない自営業者」であるのではないかということ、もうひとつは調達しようとした資金が純粋な「制作費」であるのかという点です。そして、新規プロジェクトの審査・承認基準などをCAMPFIREの運営元である株式会社ハイパーインターネッツに問い合わせをしたところ、25日間待っても返答がなかったことが書かれています。

詳しくは記事を読んでいただければと思いますが、今さんが指摘される以下については、私も懸念していたことであり大いに賛同するところです。

この新しいサービスが市民社会に定着していくには、集める資金の用途を無制限に拡大解釈できるプロジェクトには書き直しや追記を指導したり、法規制を避けるための業界ルールを作るなどして、出資者からの信頼を積み上げていく不断の努力が運営者に求められる。

クラウドファンディングで生活費を集めることは否である

今さんの質問について運営元からは返答がありませんでしたが、起案者のphaさんがブログに返答を書かれています。

 クラウドファンディングについて思うこと

その中に、

本を書くような仕事の場合、生活費も本の制作費に入るんじゃないでしょうか。家賃や光熱費の一部を経費として申告している人もいますし、やっぱりちゃんとご飯食べないと文章を書くなんていうハイレベルな作業をする気が起こらないんですよね……。たまには肉とか寿司とか食ってMPの補充をしたいし(それが公的に経費と認められるかは知りませんが私的にはありだと思います)。

というような記述がありますが、常識的に考えてもクラウドファンディングで生活費を集めることは明確に否です。今さんも書かれていますが、米国のKickstarterでは支援金をプロジェクト起案者個人の生活費に充てることは禁じられています。

友人にお金を借りることとクラウドファンディングは違う

また、以下のようなことも書かれています。

別にどんな方法でお金を調達してもいいんじゃないですかね。友達に借りるのとCAMPFIREを使うのとに優劣はなくて、「CAMPFIREを使ってみたほうが面白そう」「一度クラウドファンディングを使ってみたかった」というくらいの理由ですね。

こちらも、当たり前のことですが友人にお金を借りることとクラウドファンディングは明確に違います。そもそも、友人に借りたお金は返さなければいけませんが、クラウドファンディングの支援金には返済の義務はありません。他人の好意によって支援されたお金は、その使途の明細を明らかにすべきではないでしょうか。

このままでは価値のあるプロジェクトにまで影響してしまう

ここまで読んでいただけると、起案者個人の問題ではなく、運営者のプロジェクトの審査・承認基準の明確化が急務であることがご理解いただけると思います。このままの状態を続けていくことで、他のプロジェクトにも悪影響を与えてしまうことを私は懸念します。

実際、CAMPFIREには社会貢献関連のプロジェクトなど価値のあるプロジェクトはたくさんあります。

クラウドファンディング全体への影響も懸念される

佐藤慶一さんがブログに書かれていますが、クラウドファンディングには雇用、地域活性をコンセプトとしたサービスが増えているなど歓迎すべきトレンドもあります。以前にも「studygift」や「うつっぽ」などの問題がありましたが、クラウドファンディングが日本でも支持され根付くように、ハイパーインターネッツに限らず運営者には審査・承認基準の明確化をはじめ、自主的なルール作成を早急に望みます。

Comment(0)