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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

[メモ] インフラ輸出に強いのは長い目で総保有コストが最小化できる製品

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昨日も触れましたが、日本企業の製品は非常に高品質でありつつ、高コストでもあるので、新興国などのインフラプロジェクトにおいては、選定されないのではないかという問題。

その後、色々考えているうちに、よい打開策が見つかりました。

インフラプロジェクトは通常、20年といった長期間にわたる事業運営を受託する権利を競争入札で獲得します。要は、そうした長い期間をかけて、採算に見合う体制が作れればいいわけです。そこにはITの世界で言うTotal Cost of Ownership(総保有コスト)の考え方がそのまま使えます。
簡単に言えば、製品の価格が高いとしても、長期にわたって保有するなかでかかるメンテナンスコスト、消費するエネルギーにかかるコストなどが低廉で、期間トータルで見た場合の保有コストが安いとすれば、事業としては元が取れるということになります。

原子力発電装置にしても、石炭火力発電装置にしても、あるいは高速鉄道システム、上水道設備などにしても、日本のメーカーが作る製品は、海外の製品、特にこれから競争相手になる中国などの製品と比べれば、確かに高いでしょう。

しかし、インフラ事業は20年といった長期にわたる勝負です。その間のメンテナンス、パーツ交換、そして消費するエネルギーなどを勘案するならば、事業運営者目線では、「トータルで安い」方がいいに決まっているはずです。実際、しっかりとした収支シミュレーションを行うならば、長期にわたる所有コストが低廉である製品のメリットは、必ずや明確に出てくるはずです。総所有コストが低廉であれば、それをもとに、競争入札で勝てる価格(例:造水事業であれば単位当たり真水の価格)を提示することができるのではないでしょうか。

ということで、日本企業の製品にも光明が見えてきました。製品価格は高いとしても、長期にわたる事業では総所有コストの低廉さでカバーすることができます。

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