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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

人の行く裏に道あり花の山

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グローバル企業の新興国市場へのアプローチは、「遅れた領域」を見つけ出して、そこに何を投資すれば「急速な成長」が始まるかを明らかにし、納得できる方法論が得られたなら、それを実際に行うということに尽きます。限りなく農耕に近い狩猟ですね。

ここで着目すべきは、「遅れた領域」と年率2ケタの「急速な成長」とがセットであるという点です。世界中を見渡して「遅れた領域」が見つかれば、そこはすなわち投資機会であるわけです。そういう領域を見つけてしまうと、ワクワクしてしまうわけです。
ものすごい視点だと言えば言えます。けれども海の向こうの人たちにはごく当たり前の着眼姿勢なのでしょう。

過去2年ばかり、例えばMckinsey Quarterlyのような米系の経営サイト&冊子に目を通すと、インド、南アメリカ、中国、東欧といった市場の話題ばかりで、ずうっと奇異に思っていました。最近になって、あぁそういうことだったかと気づきました。そこに「急速な成長」の可能性があるから話題にしていたのです。

この発想法を習得すると、外人投資家が日本へ活発に投資をしていた時期に彼らが考えていたであろうことと、投資を引き上げていった時期に彼らが考えていたであろうことが、うっすらと理解できてきます。

日本の場合、昨今の政府筋のテーマにもなっているように、特定のセクターでは生産性の低さが課題になっています。このことは2003年ぐらいにはすでに外資系コンサルティングファームなどの世界では、わりと常識になっていた模様です。日本には、生産性の低い業種があるから、そこには投資機会があると。

小泉首相の改革が大きなうねりになるに及んで、世界競争力の劣る業種に関しても規制緩和等により、生産性向上および収益性向上の可能性が見えてきた。また、ファンドによって直接経営に入り込んでいく道も見えてきた。そうした領域において「急速な成長」の可能性が出てきたわけです。だから日本株を買った。

けれども、小泉首相が退陣して改革気運が後退し、経済政策の優先順位がひどくあいまいな状況になるに及んで「急速な成長」の可能性もしぼんでしまった。また、ファンドが直接経営に参画して収益性を高める方策もかなり困難になった。もう成長は見込めない(この場合の成長は2ケタが想定されています)。だから日本株を売る。そういう考えがあったのではないかと推察します。

まぁそれはそれでよい。投資家は何も外国人ばかりではないわけです。

彼らの着眼をわれわれが活用すれば、日本において、遅れていると思われる分野には、投資機会があるわけです。そこに人、モノ、金などを投入することによって、将来的にリターンが得られる可能性がある。

そうした部分を、政策によって、あるいは民間が新しいタイプの投資スキームを開発することによって、てこ入れしていけば、十分に盛り返すことは可能だと思うんだけどなぁ。僭越ながら。

「人の行く裏に道あり花の山」と昔から言うではありませんか(この場合の「人」とは、言わずもがな外人投資家を指します)。

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