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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

「nobunagaou:second lifeの7つの不人気に対する反論」を読んで

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3月7日付の岡田有花記者の「Second Life“不”人気、7つの理由」を非常に興味深く読みました。また、Second Lifeについて継続的にレポートしているnobunagaouさんの「SEO経営:second lifeの7つの不人気に対する反論」も非常に興味深いです。こういう反論が出てくるのが集合知のダイナミズムだと思います。

一般論として言うと、現在の集合知の状況では「1人の個人はすべてを知ることはできない」、あるいは「1人の個人の知的な営みには自ずと限界がある」ということがすぐに明らかになります。誰の言説もそうです。
従って、論を張る人の戦術として有効に思えるのは、「×××は正しい」「×××は間違っている」という正邪を論じる方向ではなく、「私は(主語を明確化)×××××を信じている」「私は(同)×××××が好きだ」「私は(同)×××××がおもしろいと思う」という方向だと思います。

純客観的に価値を論じられる立脚点などというものは、集合知空間ではすでに相対化されており、1人の個人として「こう思う」という思考過程の素朴な吐露ぐらいしかできないのではないか。そんな風に思います。インターネット空間で、正邪を論じる式のステレオタイプなジャーナリズムの言説が浮いて見えるのは、そういう事情があるからだと思います。

ジャーナリズム2.0というものがあるとすれば、岡田有花記者のスタイルが1つのモデルになるのではないかとずっと考えてきました。それは、既存のジャーナリズムが純客観的な立脚点が有効だとして、物事の正邪を論じる風があるなかで(事実の記述に留めるならよいのです)、そして多くは匿名記事としてそれが書かれるのに対して、岡田氏のスタイルは、記名で、読者層の関心を先取りして、”自分の体験に基づく主観的な記述が持つ価値を戦術的に意識して書く”という、主観的な知のすごみのようなものを感じさせるからです。そこには確実にリアリティがあります。そしてそのリアリティが共感を呼びます。

今回の記事はいつもの岡田記者の記事と少しトーンが違うように思いましたが、今後もまたおもしろい記事をたくさん書いてください。期待しております。

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