Report on Japan's infrastructure topic on weekend.

家電製品をタダで配布するモデルから生まれるもの

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こちらの「消費者が価値をつくる情報家電ネットワーク」という投稿で触れた、情報家電ネットワークをプラットフォームとして成立する「ライフソリューションサービス」。

このライフソリューションサービスは、政策ペーパー「情報家電産業の収益力強化に向けた道筋」では、生活を便利にする何らかのアプリケーションが想定されているように思います。
例えば、機器Aと機器Bを接続して機器Cが収蔵しているコンテンツを寝室で再生するというような。
こういった複数の機器をつなぐことによって可能になるアプリケーションというのは、もちろんアリだと思うのですが、自分の消費者としての正直な感覚から言えば、あまり多くの顧客をひきつけるようには思えません。僭越ですが。

どれだけ情報家電ネットワークを張り巡らせてみても、どれだけ対応機器が増えてデファクトスタンダード化したとしても、おそらくは、あまり消費者の関心を惹き付けずに盛り下がってしまうのではないかという感じが、かなりあります。個人的な推測でモノを言っているだけなので、根拠はどこだと言われても出せないわけですが。

仮に、日本のメーカーが製造販売する白物家電や情報家電をつなぐネットワークが可能になったとして、そこの上で成立する、圧倒的大多数の消費者をわくわくさせるアプリケーションが存在するとするなら、それは、「所有しない経済」の実現であると思うのです。
端的に言えば、製品を無料で配布するモデルの積極的な実践です。

製品はまずは無料で配布する。使用に応じた対価を徴収する。どれだけ使用したかはネットワークでログを取ればよい。新型モデルが出たら、それへの乗り換えは自由とする。新しいモデルを所有することに何らコストはかからない。ただ使用することにのみコストがかかる。機能を付加するオプションのハードウェアなども無料で送付する。使用する際にオプションに見合う料金が上乗せとなる。
そんな世界です。

仮にこれを本気で行う家電メーカーが1社でも出現すれば、市場シェアが図抜けた存在となることは必至だと思います。だってタダで配るんですから。新型モデルも取替え放題。みな我先に突っ走ります。

このモデルが家電メーカーの企業価値にもたらすプラス面は多々あって、
 ①ドミナントシェアの獲得
 ②他社との販売競争の推移に応じて生産台数を増減する苦労からの開放→生産台数の最適化→利益水準の高留まり
 ③マーケティングコストの大幅な削減
 ④販売チャネルへの販売奨励金の負担からの開放
などが得られることになると思います。
個人的には、日本の家電メーカーの利益率が国外メーカー(サムスンなど)に比してかなり低いのは、日本の家電流通界に慣行としてしみついている販売奨励金制度がわざわいしているように思っています。その泥沼から脱却できます。

ただ、この「所有しない経済」モデルは、長らく製造と販売の双方を行ってきた家電メーカーから、販売という事業の根幹を奪い去るものでもあり、企業文化としてあまりうまくマッチしないのではないかという危惧も残ります。
その点を真剣に考えると、このモデルは家電メーカーがよくするところではないのではないか?「所有しない経済」を推進していく主体は、家電メーカー以外の業界から出るべきではないかという考えに移っていきます。

そこで登場するのが。どーん!NGNを模索する通信会社です。
通信会社は、特に携帯電話事業を営んでいる場合、「所有しない経済」にかなり近い事業モデルをすでに経験済みです。ゼロ円の携帯電話などまさに「所有しない経済」モデル。ゼロ円ケータイの機種を次々と乗り換えているユーザーなどは、そのケータイを所有しているのではなく、通信料の支払いと引き換えに、「所有しないで使っている」状態にあると見ることができます。(別な言い方をすれば、所有にかかる対価を支払わずに、使用にかかる対価のみを払っている)
これとほぼ変わらない状況を白物家電やデジタルテレビや家庭用PCなどで作り出すわけです。

NGNではまだそこに流すコンテンツがどうのこうのという議論が盛んですが、実はブレークスルーは、「新しい経済」を作り出すような圧倒的なアプリケーション(というかサービスというかビジネスモデル)がその上に乗る時に初めてもたらされるのであって、その大きなタマになりうるのが「所有しない経済」モデル。すなわち、これまで数万円~数十万円を支出して購入してきた製品をタダで配布し、使用の対価を事後的に継続的に徴収するモデルだと思うのです。
こういった事業のモデルをよく動かすことができるのは、個人的な考えでは、通信会社をおいてほかにはありません。(ダスキンのような老舗もあるわけですが。。。)

NGNの上で動く究極のアプリケーションはコレ。コレに違いないと思うんですが。

追記。
仮にコレが本当に動き、日本国内でモデルが定着すれば、日本の家電メーカーと日本の通信会社がタッグを組んで世界市場で圧倒的な優位を勝ち得ていくことができると思います。

Comment(2)

コメント

携帯電話がタダ同然の値段で売られるようになった頃、それを見たあるメーカーの技術者が愕然としたそうです。俺たちが苦労して作ったモノの価値が0円だなんて、と。消費者としては嬉しい話ですが、ハードウェアをタダで配るビジネスモデルの蔓延は、製造業に対する社会のリスペクトを下げることにつながりかねず、ちょっと賛成しかねます。
実際にビジネスとして成立するのかも疑問です。
0円の携帯電話のビジネスは通信キャリアから販売店への多額の販売奨励金があってこそ成立しています。しかし、最近の携帯電話は高機能化していますから、デジカメが欲しいので携帯電話を買い、すぐに解約してしまう消費者もいるようです。キャリアとしてはたまったものではありません。
ご提案のビジネスモデルは、このリスクをNGN(すみません、私は不勉強なのでよくわかりません)の通信会社がかぶることになるものと想像しますが、大丈夫でしょうか。消費者が通信会社を乗り換える際には、よほど多額のペナルティーを取る必要があるのではないでしょうか。
すみません、製造業を応援する者として意見させていただきました。

kunihiko_ouchiさん、コメントをありがとうございます。
おっしゃるように、非常に多くの問題をはらんでいるモデルです(^^;。
ただ、現状の非常に速いペースで進行しているコモディティ化と、その周辺で結果的に浪費に近い形で消費されていく経営資源のことを考えると、現在の競争の図式とはまったく異なる、非競争エリアを設定して、先行する何社かはそこに参入してみる価値はあると思います。
非常に高機能の製品を矢継ぎ早に市場に投入している、けれども利益率で見ればかなり国外企業に見劣りするということは、競争図式に大きな問題をはらんでいるからだと考えられます。ただし、上に書いたように、このモデルを主導するのは、無形のサービスに対する課金で一日の長がある通信会社でしょうね。
消費者の”持ち逃げ”については、契約で縛るだけでなく、製品の位置情報把握などを絡ませることで対応できると思っています。

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