記録するジャーナリズムから、測って確かめるデータイズムへ

判明してません。『「ウコン」(ターメリック)には薬効はないことが判明』はガセ

»

偽ニュースサイトが英語圏で蔓延しているとか、インチキまとめサイトとかが話題ですが、偽情報は日本のニュースメディアでも広がっているようです。Gigazineが報じた、記事『健康食品「ウコン」(ターメリック)には薬効はないことが判明』はその典型で、元の論文の趣旨とは全く逆であることがわかりました。

FireShot Capture 91 - 健康食品「ウコン」(ターメリック)には薬効はないことが判明 - GIGAZI_ - http___gigazine.net_news_20170130-.png

問題を指摘したのは、B2Bマーケティングハッカーとして大注目の元GEヘルスケア飯室 淳史氏です。飯室氏は薬剤師資格を持たれている医薬品論文にも慣れた方です。

飯室氏の説明を3つのポイントでまとめてみました。

  1. 論文の調査対象は ウコンでなくその主成分たるクルクミンであって、対象をすり替えている
  2. 主成分のクルクミンの薬効を統計的に見ると否定するという見解ではあるけど、この手の論文は膨大にあって、薬効が見えないという論文一つで「判明」なんてしない。
  3. そして、論文自体が
    「もちろん、天然ウコンの抽出物が、人間の健康に有益な効果を及ぼす可能性は否定するものではない」と結論づけ
    ており、Gigazineが見出しにつけた結論と真逆のことを主張している。

ウコンの力を発売してるハウス食品も一つの見方にすぎないと静観の構え

この飯室氏の指摘に似た主張は実はすでに報道されていました。

http://rocketnews24.com/2017/01/31/856616/

【直撃】ウコンには薬効がないと話題 →「ウコンの力」のハウス食品にどう思っているのか聞いてみたらこうだった | ロケットニュース24 via kwout

「当社の研究所では、これまでウコンに対する論文を数多く発表して参りました。そういう意味で客観的な評価もいただいておりますので、今回の発表は "そういう報告もあるのか" と、研究の一材料として捉えることになるかと思います」

飯室氏とハウス食品とでは薬効の事実確認に対する姿勢がとても似ていて、専門家は違うのだなと感心しました。

一方、ITmediaの ねとらぼ は Gigazine に乗っかる記事を出してこう 紹介しています。

最終的に研究チームから「クルクミンをこれ以上研究することは無意味で、予算の無駄。今後は一切クルクミンに関する研究をやめて、ほかの化学物質に時間や予算を費やすべき」とまで言われてしまったウコン。

この説明はどこから来ているのか?元論文の結論となる最終パラグラフは飯室氏の紹介の通りこう書き出しています。

Of course, we do not rule out the possibility that an extract of crude turmeric might have beneficial effects on human health.

もちろん、天然ウコンの抽出物が、人間の健康に有益である可能性を否定するものではない。

そして、最終のしめくくりも飯室氏の訳が正しそうです。

Collectively, recognition of these factors may remove complicatedness from ongoing research while inspiring the development of out-of-the-box approaches to unraveling the complexity and potential health benefits of turmeric and other NPs.

「こうした事実(クルクミンの研究が盛んだが薬効が証明されていない)をしっかり認識することで、天然ウコンの健康への有益性に関する複雑な研究から、複雑さを取り除いてくれるかもしれない」

ITmediaは ネットの話題枠の ねとらぼ で半可通な追従記事を出してしまったようです。ITmediaは着実な英語力と裏とり力で海外ニュースを適切に紹介しもいます。そんな信頼を損なうような、健康医薬系の話題をお手軽に紹介してデマに加担したのは非常に残念です。上場企業でもあるので大いに反省して欲しいものです。

Comment(3)

コメント

甕星亭主人

 全くの素人なので、御教示頂ければ幸いなのですが、当該論文は、効能を主張する論文をぶった切り不備を辛辣に挙げて居ると読み取りました。 詰り臨床的に効か無い、況して試験管内でも効く根拠が見出せ無い。 万一効くとすればクルクミンの複合成分を分別して、各成分での検証も要るし、ウコンの微量成分の解析すら必要に成る、との其処迄遣る必要が有るんかね的嫌味と感じました。 Gigazineも、触れてるプラシーボ説論文も同時に挙げるべきでしたね、多分有料で執筆者も本文未読なのでカットしたんでしょうけど。 読み取り間違いでしょうか。

坂本英樹

「当該論文は、効能を主張する論文をぶった切り不備を辛辣に挙げて居る」というのはGigazineと ねとらぼ の初報なんですが、実際の論文の結論にはそうは書いてありません。海外報道に適当な見出しをつけて曲解したGigazineとそれを孫引きした ねとらぼ というのが問題のポイントです。 ねとらぼ は専門家取材で記事を更新してますけど、じゃあ なぜそんな間違いを一度書いたのかの説明とか対策の説明がありません。今後も事後対応するつもりなんだろうなと。

甕星亭主人

 ねとらぼが然う云う書き振りに成ったのは、老生も偶々見たけれど、筆者がニュースでクルクミンに此れ以上研究資源を割くのは間違いで有る、と語ってたから、と推定してたのですが。 ですから文脈上結語は全否定の論述を若干融和させ反発緩和の為の単なる修辞としか受け取れません。 但しねとらぼ及びGigajineは与太を飛ばすメディアとして常に猜疑の目で対処して居る事はお断りして置きます。 
 にしても、ウコン業界が今迄分析も言及もして無かった微量成分を神話化して騙ったりして、否漢方の発想では等と魔術医レベルの擁護をしたり、とても素敵な光景を繰り広げてますね。 取り敢えず肝機能保護の為カレー、ターメリックライス以外は避けた方が賢明な様で。

コメントを投稿する