オルタナティブ・ブログ > データイズム >

記録するジャーナリズムから、測って確かめるデータイズムへ

huff-poo:ハフポが拾った「福島県、子供の甲状腺検査」記事がゴミすぎる件

»

ハフポはアメリカで権威のあるニュースサイトで日本では朝日新聞も後ろにつく有力メディアと見られています。しかし、こういうデマだらけの記者の主観記事をスルーで載せていてはもう、個人ブログ以下のゴミサイトと言わざるを得ません。このニュースソース「ニュースの教科書」はリンクされて以下の説明を読めます。

「ニュースの教科書」は、マスコミの記者や編集者、フリーのジャーナリストが、ふだんの紙面では書けない「ホンネ」をズバリ記事にしたニュースサイトです。http://news.kyokasho.biz/

普段の紙面に書けないホンネで記者はそう思っているのだろうが、署名無しに書いたこのポエムの責任は誰がとるのだろう?ハフポは載せる段階で、朝日新聞系メディアという権威を与えるわけで、「妄想ロンダリング」してニュースにした責任を取るべきではないでしょうか?

http://www.huffingtonpost.jp/2013/11/18/fukushima-chernoby-children-cancer_n_4294415.html

福島県、子供の甲状腺検査の結果を発表 via kwout

一般に甲状腺がんは被爆後、4~5年後に著しく顕在化してくる。原発事故による甲状腺がんのデータはチェルノブイリ原発のものがあるが、現時点では福島のデータと同じ条件で比較することはできない。ただ一般論として考えれば、今回の調査結果はかなり深刻なものと捉えてよいだろう。

被爆がない場合、子供に甲状腺がんが発見されるのは100万人あたり17人程度であり、59人という数字はそれよりも高い。

この筆者は被爆がない場合の子供の甲状腺がん発見率が存在して今回の調査と較べられるものと理解しているようです。

ちなみに、朝日新聞ではこういう記事になっています。

子の甲状腺がん、疑い含め59人 福島県は被曝影響否定
2013年11月13日06時33分  【野瀬輝彦、大岩ゆり】東京電力福島第一原発事故の発生当時に18歳以下だった子どもの甲状腺検査で、福島県は12日、検査を受けた約22・6万人のうち、計59人で甲状腺がんやその疑いありと診断されたと発表した。8月時点より、検査人数は約3・3万人、患者は疑いも含め15人増えた。これまでのがん統計より発生率は高いが、検査の性質が異なることなどから県は「被曝(ひばく)の影響とは考えられない」としている。
http://www.asahi.com/articles/TKY201311120463.html

「これまでのがん統計より発生率は高いが」と大岩ゆり記者は被爆影響があると考えていそうなことが伺えます。見出に患者数を持ってきたのはそういう意図でしょう。

一方、同じ事実をNHK福島放送局は以下のように報じています。Web上の記事がもう消えていて孫引きで恐縮ですがこちらです。

甲状腺がん「地域差見られず」(NHK福島放送局)

福島第一原発事故を受けて福島県がすべての子どもを対象に進めている「甲状腺検査」で、これまでにがんがみつかったりがんの疑いがある子どもの割合が、原発周辺の避難区域などとそのほかの地域とで大きな差がみられないことがわかりました。

原発事故で放出された放射性物質は甲状腺に蓄積してがんを引き起こすおそれがあるとされ、福島県は、事故当時18歳以下だったおよそ36万人を対象に検査を進めています。

12日開かれた「県民健康管理調査」の検討委員会で、県立医科大学の担当者は、これまでの検査でがんがみつかったり、がんが疑われる子どもが59人にのぼることを明らかにしました。

これについて、政府が避難指示を出すなどした原発周辺の13の自治体と、福島市や郡山市などそのほかの13の自治体を比較すると、がんやがんの疑いのある子どもの割合はいずれも全体の0.03パーセントで、担当者は、これまでの検査結果からは、地域によって大きな差はみられないとしています。

一方、甲状腺がんは通常、自覚症状が出てから検査を受けるケースがほどんどで、今回のように症状の有無に関わらず実施した検査の統計は過去にありません。このため、調査を行った県や県立医科大学では、これまでにがんのみつかった子どもの数について、「原発事故が影響したものかどうか判断ができない」としています。
http://blogos.com/article/73833/

朝日新聞の記事で、「福島県は否定」と行政が事故の影響隠しをしているかのように語られた真相が客観的に分かるのはNHKの報道でしょう。

つまり、

  1. 子供の甲状腺がんの大規模調査をはじめて行ったが福島と他の地域で大きな差は無かった。
  2. 従来の調査は自覚症状が出てから検査をうけるものであり、従来の調査の数字と今回の数字は較べられない。

ということです。

このあたりを理解していなくて、個人的に事故の影響と思い込んでいる「ジャーナリスト」がデスクのチェックを通らず記事にできない思い込みを書き、それをハフポが拾って記事に仕立てたといのが今回の真相でしょう。

デマロンダリング装置となっているハフポに広告をだしている企業はそのブランドイメージを本気で心配すべきだと思います。Post と付けるからにはメディアとしてのチェックをしていると誤解しそうですが、これはもう「うんち」です。Huffpoo と呼ぶべきかもしれません。

Comment(0)