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投票所で行列報告多数なのに投票率が低かった?その理由

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今回の第46回総選挙、特にTwitter上で、行列報告が相次いだ一方、結果として投票率低迷し、疑問の声が相次ぎました。私も疑問に思い、理由を調べてきたのですが、やっと納得のいく答えが見つかったのでご紹介します。
実は、大都市圏での投票率はけっこう高く、「投票率低迷」というほど低くはなかったのです。また、そして、寒い日の中投票率が、思わぬ渋滞(行列)を起こした、そう考えていす。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1212/17/news041.html

「投票所が大行列」報告続々 しかし投票率低迷 - ITmedia ニュース via kwout

事実1:東京や、大都市圏での投票率は実はかなり高かった
都道府県別投票率推移を表にしました。まず注目いただきたいのは、投票率の相対的な高さが特に東京で高く、埼玉や大阪など大都市圏では高かったということです。東京では都知事選と重なったこともあり前回比93.7%でした。千葉でも90%を超え、そう遜色ない投票率が大都市圏で記録されています。報道されるのは全国の平均なので報道された数字と見てきた投票所での様子から違和感を感じる人が多いのはTwitterの大都市集中率が高いことから起きた現象とも考えられそうです。

逆にいうと、地方での投票率の落ち込みに注目する必要があります。今回最も落ち込んだ福島県は東電福島第一の事故の影響で避難されている方も多いことが影響していると考えられます。

事実2:冬の選挙比で大健闘
冬の選挙は、雪の影響とかで投票率が落ちる要因が増えます。今回の選挙の投票率、比べるべきは2003年11月の第43選挙だったとおもいます。赤い太字の「46回/43回比」を見ていただくと大都市圏や四国などでは投票率が上がっていることが分かります。接戦とか個々の選挙区の影響もあるでしょうが、積雪がある地域では12月中旬実施の今回がより落ちています。

事実3:真冬の選挙で、昼の温かい時間に集中?
冬の選挙だと寒い早朝や日没以降を避けるという影響も考える必要があります。同じ投票率でも、温かい時間に人が集中して「渋滞」が起きたことが考えらるのです。涼しいうちに投票して、出かけるとか、夕涼みがてらに投票とかができた夏の選挙とは一部違います。
また、既に論じられている通り、東京では都知事選が重なり、世田谷では補欠選挙もさらに重なるなど投票が複雑でどこかで渋滞を起こした投票所もあることでしょう。

結論:真冬の小選挙区比例代表連用制選挙は日本初、今後の観察が重要
「僕は自分の見たことしか信じない」という本があるそうですが、私はそれは危ないと考えます。自分が見たことは、多面的な事実の一部にすぎずまた、事実と違う印象を信じてしまう危険性を感じるからです。今回の、投票所で渋滞があったのには、人が見たこと、写真に取ったことを多くの人が信じたことで生じました。

しかし、確かに渋滞があって、それはネット普及後初めてだったにしろ、それで、すなわち投票率も高かったはずだ、と推論するのには無理があります。珍しいことがあると印象が強くなりそれがクチコミで伝わるというのが現代社会ですが、自分が見たこと、人が見たこと以外に、関連データも見て考え判断することが今求められています。

真冬の小選挙区比例代表連用制選挙、今回は無効票も多かったことから、投票用紙を前に悩む人が増えたとかさまざまなことが考えられます。今後の選挙でのデータ収集などで46回総選挙での行列ができた理由がわかる日が来るかもしれません。そう期待しています。

投票率推移データ:  http://blogos.com/article/52832/  のデータを元に作成

  43小泉対合併民主   2003/11/9 45麻生・鳩山 政権交代解散 2009/8/30 4145回投票率平均 46野田対安倍近いうち解散 2012/12/16 前回投票率比 今回/前回まで平均   比 46回/43回   比
東京都 58.4% 66.4% 61.5% 62.2% 93.7% 101.2% 106.6%
埼玉県 54.0% 66.3% 59.4% 57.4% 86.6% 96.6% 106.3%
大阪府 54.9% 66.8% 59.5% 58.4% 87.4% 98.1% 106.3%
茨城県 56.0% 67.6% 61.0% 58.9% 87.1% 96.5% 105.2%
香川県 56.3% 70.3% 63.2% 59.0% 83.9% 93.4% 104.9%
愛媛県 57.3% 70.9% 63.3% 59.6% 84.0% 94.1% 103.9%
神奈川県 57.8% 68.3% 61.7% 59.9% 87.7% 97.1% 103.6%
千葉県 56.8% 64.9% 59.9% 58.5% 90.2% 97.7% 102.9%
山梨県 62.1% 74.3% 67.1% 63.7% 85.7% 94.9% 102.5%
奈良県 61.6% 71.5% 65.5% 63.1% 88.3% 96.4% 102.5%
京都府 56.9% 68.2% 61.5% 58.3% 85.4% 94.7% 102.4%
和歌山県 60.3% 71.7% 66.9% 61.4% 85.6% 91.7% 101.7%
滋賀県 61.4% 70.7% 66.1% 61.8% 87.4% 93.4% 100.6%
愛知県 59.3% 69.6% 62.5% 59.1% 84.9% 94.5% 99.6%
兵庫県 59.1% 67.0% 62.3% 58.6% 87.5% 94.1% 99.1%
全国 59.9% 69.3% 63.8% 59.3% 85.6% 93.0% 99.1%
群馬県 57.9% 69.1% 63.4% 57.3% 83.0% 90.5% 99.0%
福岡県 58.3% 68.8% 62.7% 57.3% 83.4% 91.4% 98.3%
静岡県 63.6% 70.8% 66.1% 61.8% 87.2% 93.4% 97.2%
石川県 63.9% 75.7% 69.1% 61.9% 81.8% 89.6% 96.9%
広島県 58.6% 69.3% 63.3% 56.8% 81.9% 89.6% 96.9%
岐阜県 64.0% 73.1% 68.2% 62.0% 84.9% 91.0% 96.9%
長崎県 62.1% 71.4% 66.8% 60.1% 84.2% 90.0% 96.8%
富山県 59.2% 73.8% 66.4% 56.9% 77.1% 85.7% 96.0%
長野県 66.0% 75.7% 70.4% 63.4% 83.7% 90.0% 96.0%
佐賀県 64.5% 74.2% 69.2% 61.9% 83.4% 89.4% 96.0%
福井県 64.8% 74.1% 70.0% 61.8% 83.3% 88.2% 95.3%
徳島県 60.8% 70.1% 64.7% 57.8% 82.5% 89.4% 95.2%
沖縄県 59.0% 65.0% 60.5% 56.0% 86.3% 92.6% 94.9%
秋田県 66.7% 73.3% 69.6% 63.2% 86.3% 90.8% 94.7%
高知県 56.9% 67.6% 61.5% 53.9% 79.7% 87.6% 94.7%
青森県 57.5% 68.5% 63.1% 54.2% 79.1% 85.9% 94.2%
三重県 65.1% 72.4% 67.8% 61.3% 84.7% 90.3% 94.2%
鳥取県 66.9% 75.3% 71.2% 62.9% 83.6% 88.4% 94.0%
宮城県 58.9% 67.4% 61.6% 55.2% 82.0% 89.7% 93.8%
岡山県 59.1% 68.6% 64.1% 55.3% 80.6% 86.2% 93.6%
北海道 63.0% 73.7% 66.9% 58.7% 79.7% 87.8% 93.3%
山形県 69.6% 74.9% 72.2% 64.9% 86.6% 89.9% 93.2%
島根県 70.7% 78.4% 75.5% 65.7% 83.9% 87.0% 93.0%
山口県 64.8% 71.8% 66.7% 60.0% 83.6% 90.0% 92.6%
岩手県 67.3% 73.4% 69.8% 61.7% 84.0% 88.3% 91.6%
栃木県 59.8% 67.4% 62.1% 54.7% 81.2% 88.1% 91.5%
熊本県 64.4% 71.8% 67.6% 58.5% 81.6% 86.6% 90.9%
新潟県 66.1% 73.4% 70.2% 59.7% 81.3% 85.0% 90.3%
大分県 69.7% 72.1% 71.1% 62.2% 86.3% 87.5% 89.2%
鹿児島県 64.1% 71.5% 67.0% 56.8% 79.4% 84.7% 88.5%
宮崎県 63.1% 69.1% 66.1% 55.7% 80.6% 84.2% 88.2%
福島県 67.3% 72.8% 69.7% 58.9% 80.8% 84.4% 87.5%

 

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