「東電:賞与も値上げ分に」にあえて賛成する
「うちなんてボーナス出てないぞ」とか「民間で赤字なら賞与無しで当然でしょ」とかの非難が多い東電賞与も値上げ分に、報道。
確かに国民感情を考えると批判が多いのは分かります。PR施策的には失敗であるし違う形がよかったかもと私も思います。
しかし、今や実質国有化された東京電力とその社員がモチベーションを保って電力という非常に重要なインフラを維持し、さらに東電福島第一事故を収束させるには、何が必要かを考えると「賞与」としてのインセンティブは維持しておく必要があると考えます。
東電:賞与も値上げ分に 今冬147億円、人件費に計上- 毎日jp(毎日新聞) via kwout
実際のところ東京電力の給与・賞与は削減をされています。世間の批判をかわすために給与を維持して賞与だけカットという方式もありえると思いましたが、そうはしていません。
http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/kaitei2012/images/riyuu/detail01/efficiency.pdf
<給与・賞与の削減>
給与・賞与については、平成23年6月以降実施している、社員の年収の一律
減額措置(管理職は年収の25%の削減(基本年俸10%、業績年俸(賞与)
62%の削減)、一般職は年収の20%の削減(月額給与5%、賞与50%以上の削
減))について、平成24年度末まで継続いたします。
これにはいろいろな見方があるでしょうが、電気料金値上げが必要となった理由の半分は燃料費の高騰、つまり、原子力発電停止に伴い、LNGや重油などの調達を増やす必要に迫られてのものです。人件費が占めるコストは6%にすぎません。
値上げをお願いする理由|電気料金値上げのお願い|電気料金・各種お手続き:個人のお客さま|東京電力 via kwout
一方、コスト削減としては様々な努力があるなかで、人件費カットが4割近いという大きな痛みをここで払っています。
徹底した経営合理化に取り組んでいます。|値上げをお願いする理由|電気料金値上げのお願い|電気料金・各種お手続き:個人のお客さま|東京電力 via kwout
その人件費カットする上で、「賞与はゼロにします」とかする方が世間に説明しやすいのですが、働くモチベーションを維持・発展させるためには、査定に連動して支払いができる「賞与」という報酬の枠組みは残すべきでしょう。
率直に言って、膨大な負債を抱えて法的整理されるべきところを国がささえている東京電力は以前以上に普通の民間企業とは違う存在になっています。
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とかいうモチベーションを持ちにくい状況であるならば、個人の働きに応じた成果報酬という余地を残すことがよりいい仕事と組織に結びつく、そう考えます。
いずれにしろ辛い時期はなかなか急には変わりません。しかし、これから続く辛い時期を耐え、事故の収束へ大きく進んだ時に世界でもまれな過酷事故対応を果たした電力会社という希少なノウハウを持つ会社になり得ます。その時まで堪え忍んでいただくためにも東京電力には賞与が必要、そう考えます。