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栽培キノコと違い、野生キノコは放射性セシウム汚染に要注意

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福島県農林水産部が「どうしてこれほど高い値が出たのか分からない。」と語ったことに驚きました。野生キノコによる放射性セシウムの生物濃縮はチェルノブイリでの被害を大きくした要因として広く知られる311後のいわば「常識」です。それをひょっとして知らなかったとすると重大な問題です。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110904k0000m040060000c.html

セシウム汚染:野生キノコから高濃度を検出 福島・棚倉町 - 毎日jp(毎日新聞) via kwout

福島県でも棚倉は放射性物質降下が少なかった地域で、隣町でも問題が無かったのに、という思いかもしれませんが、放射性物質の降下と蓄積は火山学者が作った等高線マップのような分布をしていません。こういう誤った情報が役所の現場まで惑わしていたとすると非常に由々しき事態です。

ともあれ、繰り返しますが、野生のキノコの摂取はしばらく慎重に控えるべきです。チェルノブイリでの事故で起きた問題は、検査されていない牛乳や野生キノコを集中的に摂取したことで起きています。日本の牛乳は幸い検査体制が整っていて問題のある牛乳は原料の生乳段階で流通が止まりました。

一方、地産地消で食べられる率の高い野生キノコでは十二分に注意しよく分かるまで控えるべきです。というのには二つ理由があります。

問題1:他の農産品と違い、特異的にセシウムを濃縮する場合があるキノコ 
まだまだ研究途上のようですが、一部のキノコでは特異的にセシウムを生物濃縮することが知られています。今回基準の56倍とかいう高い濃度の野生キノコが見つかったのですが、そのキノコの性質を知っていれば、ある程度想定できる結果です。むしろ、野生キノコを問題なく飲食できるものと想定した福島県農産部の担当が大いに問題であり、情報の伝達に問題があったと思います。

問題2:放射性物質は、局所的に汚染が濃縮された場所があり、野生キノコではその生育場所が管理できないこと
火山学者が作った等高線マップを批判しましたが、放射性物質の汚染は、広域地図で線引きできるような分布をしていない、例えば、雨樋の下とか建物の間の犬走りのような、多くの雨水に含まれた塵が濃縮されるような場所には周りとは段違いに高い汚染を示す可能性があります。

農場ではそんな特異的な場所で作物を育てるということは考えにくいのですが、野生キノコでは環境や種別によってそういう危険な場所をわざわざ選りすぐって生えるようなキノコがある可能性もあります。となりの町での検査が問題ないからこっちも問題なかろうという予想はしにくいのが野生のキノコです。
この秋、安心して野生のキノコを食べていいのはどの範囲なのかより注意して見極めるべきです。なお、山菜もキノコににた蓄積性があるとされており、同様に安全性が分かるまでは採取を見送るべきでしょう。

一方、人工栽培のキノコでは原木や菌床で育てるわけですが、その育つ場所をちゃんと管理できるのでしっかり管理された条件に置いては心配する必要はまず無いと思われます。椎茸、えのき、舞茸、エリンギと年中出回っている人工栽培のキノコは十分出荷実績があります。キノコ類はどれも危ないかもしれない と避けるのは合理的ではありません。

低濃度放射線は危険性の意味を知れば、怖くない:
少なくとも、今放射線避難区域外であれば、放射能の害というのは急性なものではなく、発がんリスクの危険因子として扱えるものです。つまり、タバコの煙、塩分過剰摂取(日本人のほとんどが過剰摂取と警告されています)、不摂生、太り過ぎ、痩せすぎなどなどと同類の存在であり、なおかつ、100mSv/年 以下であれば影響があるかどうか、統計的には見えないほど小さなリスク因子です。

その危険の意味を知り、妥当な避け方をすることが今望まれています。「だから東日本の食材は危険」とかいろいろな誤解を広める流言が飛んでいますが、危険の意味を正確に知らずしてなぜ妥当に避けられるのか? 安全に過ごしたいならちゃんと勉強して知るべきです。

参考情報:
消費者庁から野生キノコに対する注意喚起が出ています。一つのページにいろいろな注意や情報開示がまとまっているのでこれを機に参考にしていくとよいでしょう。

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