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諸外国や漁業関係者からのお叱りが多数の低濃度汚染水放出という4月4日に行った苦渋の決断。確かにやらずに済むならそれに越したことはありません。また、事前に連絡して合意を取るというプロセスを踏めたらそれがよかったとも思います。そして、日本はそういう気配りを大事にしてきた国でした。

そういう問題を踏まえても、放出が続いた高濃度の汚染水の行き場確保策として低濃度の汚染水流出という、難しい決断をできたことは大いなる進歩だと私は高く評価しています。よくぞ決断したと。

この苦渋の決断の内容を大阪大学菊池誠教授の分析から引用します。

ニュースによると低濃度のほうは全体で1700億Bqだそうです。

それに対して、高濃度のほうの濃度は1000万Bq/cm^3 以上とニュースには出ていました。これは、100億Bq/Lです。
すると、低濃度の汚染水1万トン中に含まれる放射性物質の量は、高濃度汚染水約17L分ということになります。
実際、朝日新聞には
..................
汚染度の低い水1万トンに含まれる放射能の量は、2号機の高濃度汚染水10リットル程度に含まれる量と同レベルにあたる。
..................
とはっきり書いてあります
http://www.asahi.com/national/update/0404/TKY201104040245.html?ref=recaLink

もちろん、意図的に放出するのと、事故で漏れてしまうのは意味が違うとか政治的に意義が違うとかあるのはわかります。また、比較的低濃度とは言っても、1万トンの汚染水が基準を大幅に超えているのも確かです。とはいえ、それは非常に高濃度の汚染水流出というむちゃくちゃ深刻な事態の前では「誤差」程度であるということも事実なのです。

菊池氏が指摘されるように、どうも「一万トン」という量に惑わされて、高濃度汚染水よりもインパクトが大きくかつ分かりやすく伝わり、高濃度の汚染水の問題が見えてないようです。そして、他に方法があったのではないかと拙速にも見えるようです。

私からするとそれでも遅いのですが、いずれにしろ難しい決断をして対処できたということは震災からの復興を進める上で大きな転機になる、そう期待しています。そして、難しい決断こそ理解されにくいのですが、その周知徹底はこれから取り組まれることを期待しています。

さかもと

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コメント
たまり 2011/04/09 14:17

どうなんですかね?本当に他になかったんですか?もし「そんなに薄い」ものなら「再注水にまわす」選択だってあったんじゃないですか?海に流すことは、被災地の大部分を占める「漁業者の将来を奪った」んじゃありませんか?あなたが賞賛される愚行は、震災からの復興には「大きな足枷」になっている。
これは事実だと思いますよ。

徳ちゃん 2011/04/09 19:57

東電が汚水処理に必要な数十億ドルの金をケチって放出したんじゃないかと言う質問を先ほど東電の記者会見で質問しておられる記者さんがいらっしゃいました。東電側のムトウ副社長によると「そんなこたーない」との事です。だから仕方ないです。

あとり 2011/04/10 23:58

原発から排出された汚染水がこれだけなら、海産物への影響も限定的だったのでしょうけれど…。
意図的に放出するのがけしからんという思いはありますが、
実際問題、「うっかり漏れてしまっていたとんでもない濃度の汚染水」に比べれば微々たるものではありますね。
そっちの謝罪はどうしたという。
なんだか、低濃度汚染水の意図的な放出に怒りの矛先を曲げさせられているような嫌な気分がします。

坂本英樹 2011/04/11 16:04

たまりさん、コメントありがとうございます。
「低濃度」であっても残念ながら有害ではあるのと時間が無いとかで処理して無害化というのは難しかったようです。そして、この意図的放水がえらく反響を呼んでいますが、実際の害は、事故で流れ続けていた高濃度汚染水の方が比較にならないくらい大きいのです。

このあたり、ちゃんとコミュニケーションを取ることを日本は迫られているのですが、そこを含めて変わらねばならない危機であり、過去のソ連の日本海への放射性物質廃棄などと比べてどうかとか科学的にただしく主張していくべきだと思います。

坂本英樹 2011/04/11 16:07

トクちゃん、コメントありがとうございます。
現場の状況は私も分かりませんが、意図的な放出という重い決断をしたことを活かして、災害をリスクがより減ることを願っています。

坂本英樹 2011/04/11 16:11

あとりさん、コメントありがとうございます。
そうなんです。事故で出てしまった高濃度汚染水の問題の方が環境への影響がはるかに大きく罪は重いと思います。

アメリカ、フランスに限らずロシアなど放射性物質の取り扱いの先進国の力を借りて、この全人類的大災害に対処して欲しいと願っています。

アストロ 2011/04/14 10:52

非常にわかりやすい説明だと思います。sun
私もまちがってないと思いますし、逆にいうとそれしか方法がないと思います。
確かに一般人の方には単位は疎遠になりがちで、すごく誤解しやすいと思います。
乗数で表してほしいですよね

坂本英樹 2011/04/15 00:22

アストロさん、コメントありがとうございます。
感覚的に重大な方、政治的に利用しやすい方に目が向いてしまいますけど、今も海水の放射性物質濃度が高い以上何らかの漏れが続いており、それを止められるかどうか、増加を防げるかが非常に重要です。

名を捨て実を取った今回の決断は、「重大災害時の正義のあり方」が問われる決断だったと思います。

enagoya 2011/04/15 10:32

はじめまして。良いエントリーですね。昔、電力会社のCMで「停電させないための停電にご協力下さい」というのがあったのを思い出します。今回はまさに「汚染させないための汚染」であり、事故処理を速やかに進めて被害を最小限にとどめるための避けられない処置だと理解しています。全体を見通せない人がここぞとばかりに騒ぎまくる中で、冷静な意見が広まることは心強いです。

村山要司 2011/04/15 12:19

坂本さん、こんにちは。

わたしもこの決断は正しい、と思います。
困難な状況に陥ると、誰かを責めるばかりで、どのような決断に対しても文句を言う人が出てきてしまいますが、そういう人の意見・主張は雰囲気だけなので長続きしません。
誰かを責めるのは簡単ですが、決断すること、は難しいことです。
闇雲に疑ってかかって文句をつけるのは簡単ですが、その決断を正しく評価することは難しいことだと思います。
事態を解決させていくには、どちらが大切なのか、分かりきっていることですが。

soukana 2011/04/16 16:10

望んでもいない事が起こって、現れたわれた事の説明に、数字での安心は私には不要。生死健康を引き受けるのは私自身であって、保証されるものではない.しかも、公表されるデータの内容.時間的に、明らかさが無い以上、あやふやな作業途上で『祝!英断』なんて言ってるのは愚か者と感じます。私には.後にそういわれる可能性はありますが。

坂本英樹 2011/04/17 01:01

村山さん:
サンデル教授のこれからの正義の話しのような苦渋の決断だったわけですが、これを英断とあとからいうためには、事後処理がうまくできるかに掛かっていると思います。ともあれ、現場は非常に大変だと思いますが、世界から応援をうけてなんとか最小限の被害で収めて欲しいと願っています。

坂本英樹 2011/04/17 01:06

soukanaさん:
低濃度とはいえ放射性物質の意図的排出というのは「重い罪」を背負う覚悟がないとできない苦渋の選択だと思います。
でも、それができずにいたら、事前協議で決断が遅れたら、止められてできずにいたら、とかとか考えるともっとひどいことは防げていると、ポジティブに感じられます。もちろん、今後もなぜそれが必要だったかを訴え、世界中からの助け、ノウハウや処理の協力を仰ぎ、21世紀に直面した新たな形の災害、それは恐らく今世紀中なんどか繰り返されそうなこと、を乗り切られればと願っています。

13時15分41秒 2011/05/03 14:34

東電が涙ぐんであやまったのには最初違和感を感じました。
低レベル汚染水の放出よりも線量計無しで下請け作業員を被爆させたことや、低レベル汚染水とは比較にならない高濃度汚染水を何日も垂れ流し原発周辺の海水を低レベル汚染水よりも桁違いに高い濃度で汚染してしまったことこそが余程迷惑で恥ずかしい事態ではないでしょうか。

東電社員にとって線量計が足りないことやピットから垂れ流している高レベル汚染水は地震や津波のせいで直接的に自分の責任でないから仕方が無い。
実際にはとっくに意味を失っている平時にずっと守ってきた規律を自ら破ることになったことが口惜しいということなのだろう。
いまだに平時の発想から意識の切り替えが出来ていないのだなと思っていました。

しかしながら漁協の抗議(自分で風評被害を生産しているようなものですが)などの反応を見ると、結果的に東電にとって低レベル汚染水の放水よりも遥かに深刻な問題への非難をうまくやり過ごす効果があった訳です。
狙ってやったのだとすれば恐るべき深謀遠慮ですが、多分一回転ぐらい勘ぐり過ぎでしょう。

坂本英樹 2011/05/05 14:37

13時15分41秒さん、
想像すると、過去の管理の常識からは考えられないことで東京電力の担当者は断腸の思いだったのではないかと。ただ、そういう想像を超える起き得ることに対処する備えが足らなさ過ぎたと思います。

海外の原子力発電所でもまたいつか起き得ることであり、対策を進めていくのが一番いい対処だと思います。廃炉にするにも50年、100年単位で保全していかねばならないことですし。

3号機持ってくれ!頼む! 2011/05/18 11:06

そもそも「絶対安全。このような事故は絶対起こりえない」と言っていた連中が尻拭いしてるだけなので「英断」とかいわれれるとむかつくが、まあやむを得ない判断だと思う。ピットに溜まっている方は破滅的な威力を持っているわけで、4月上旬あたりから茨城や千葉沖の水産物からセシウムが検出されるようになってきたのはおが屑とかで騒がれてたピット漏れ汚染水の方が主要因なのではないかと思う。写真の漏れ具合からすると20リッターなどものの数分で達してしまっていたのではないかと推測する。

TETSU 2011/05/18 12:00

英断かどうかはわかりませんが、その後事『前通知がなかった』と各所から文句が出たのはムカつきましたねw
そもそも緊急事態で早急に対応が必要なものを、根回ししてからやっていたのでは間に合うものも間に合いません。
本当に事前に知る必要があるなら、意思決定のその場に居るべきでしょう(何とか大臣とかいても役に立たないと思うけど)

後から批判するのは簡単だけど、その場で判断し行動をすることの方が大事ですからね。今回の報道や批評家のコメント聞いてて改めて思いました。

DHMO 2011/05/18 19:56

1700億Bq、大きな数字だと普通の人は驚きますけね。
単純に比較はできませんが、「三朝温泉」の半年分程度でしょか。
濃度にすると約17000Bq/l、水道水が200Bqで大騒ぎしていたのですから、海水で100倍に薄まれば問題ないと判断したのではないでしょうか。

DHMO 2011/05/18 23:51

集中廃棄物処理施設の本来の機能を見殺しにして、汚染水タンクにしてしまったのですから、その意味では英断だったと言えるでしょう。
低レベル廃棄物の処理は、隣の福島第二まで輸送して行うのだろうか。

坂本英樹 2011/05/20 00:22

DHMOさん:
平田参与の失言とかで相変わらずこの問題くすぶってますが、告知の問題はともかく、高濃度汚染水という非常に深刻な問題と比べたら「誤差」レベルの問題で優先順位をつけて事態の収集にあたる決断として評価しています。

その後、の取り組みが今ひとつに見えるのが残念ですが、ともかく大きな問題の解決の世界の叡智を結集してほしいと願っています。

DHMO 2011/05/20 14:09

坂本様、ご返事ありがとうございます。
ただこの低濃度汚染水に「ヨウ素131が含まれている」とういう報道に、矛盾を感じた人はどの程度いるでしょうか?
半減期の短いヨウ素131が廃棄物処理施設に大量に残っている筈がありません。
事故の後に表土共に雨水が流れ込んだものなのか、微量でも検出されたから数に入れたのか、説明がありません。

平田オリザ氏の件も、重大な発言であるにも関わらず、韓国の三大新聞および聯合ニュースには載っていませんでした、確か中央日報には観光客の来日を期待する旨の訪韓の記事はありました。
Googleで調べると第一報が深夜にTBS、その後他の新聞社が第二報を入れるのは8時間ほど遅れるのです。何か変な話しです。


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坂本 英樹

某基盤系の外資ソフトウェア会社でネットマーケティングを担当。リード獲得の実務と裏方に日々奮闘中。

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