祝404「低濃度汚染水放出」という日本の歴史的英断を称える
諸外国や漁業関係者からのお叱りが多数の低濃度汚染水放出という4月4日に行った苦渋の決断。確かにやらずに済むならそれに越したことはありません。また、事前に連絡して合意を取るというプロセスを踏めたらそれがよかったとも思います。そして、日本はそういう気配りを大事にしてきた国でした。
そういう問題を踏まえても、放出が続いた高濃度の汚染水の行き場確保策として低濃度の汚染水流出という、難しい決断をできたことは大いなる進歩だと私は高く評価しています。よくぞ決断したと。
この苦渋の決断の内容を大阪大学菊池誠教授の分析から引用します。
ニュースによると低濃度のほうは全体で1700億Bqだそうです。
それに対して、高濃度のほうの濃度は1000万Bq/cm^3 以上とニュースには出ていました。これは、100億Bq/Lです。
すると、低濃度の汚染水1万トン中に含まれる放射性物質の量は、高濃度汚染水約17L分ということになります。
実際、朝日新聞には
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汚染度の低い水1万トンに含まれる放射能の量は、2号機の高濃度汚染水10リットル程度に含まれる量と同レベルにあたる。
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とはっきり書いてあります
http://www.asahi.com/national/update/0404/TKY201104040245.html?ref=reca
もちろん、意図的に放出するのと、事故で漏れてしまうのは意味が違うとか政治的に意義が違うとかあるのはわかります。また、比較的低濃度とは言っても、1万トンの汚染水が基準を大幅に超えているのも確かです。とはいえ、それは非常に高濃度の汚染水流出というむちゃくちゃ深刻な事態の前では「誤差」程度であるということも事実なのです。
菊池氏が指摘されるように、どうも「一万トン」という量に惑わされて、高濃度汚染水よりもインパクトが大きくかつ分かりやすく伝わり、高濃度の汚染水の問題が見えてないようです。そして、他に方法があったのではないかと拙速にも見えるようです。
私からするとそれでも遅いのですが、いずれにしろ難しい決断をして対処できたということは震災からの復興を進める上で大きな転機になる、そう期待しています。そして、難しい決断こそ理解されにくいのですが、その周知徹底はこれから取り組まれることを期待しています。