『大学生が就職したい会社No.1はJTB』という日本の危機とチャンス
週刊東洋経済1.15号で、「大学生が就職したい会社No.1はJTB」という情報が成毛眞氏のツイートを元に広がっています。実際は女子の1位ということで、分からなくはありません。そもそも業界のガリバーだし、窓口が身近にあって働き方のイメージがしやすい。そして、ダイバーシティ推進室があって仕事と家庭の両立支援に積極的な企業として女子大生に受けそうです。
しかし、連結売上高は前期比12%減で純損失145億円の会社が1位というのはちょっと日本の危機を感じます。そこまで、財務は気にされず雰囲気中心に選んでいるのかと。
旅行業界の企業比較ということでちょうど、いい分析レポートを見つけました。 ヘリオボヤージ合同会社 代表社員 廣瀬 幸義氏によるコラム「会計思考による企業評価入門」(PDF)です。「いい会社」ってどう選べばいいのか、業界動向の見方、売上、利益の推移と順を追って解説されているのですが、最後に ROEと自己資本比率という二つの指標から質の面での比較を図示し、単なる大きさの比較では足りないことを強く印象づけてくれます。
投資資本利益率(ROE)=魅力ある事業を推進する力
自己資本比率=着実に事業を推進する力
※データは2007年度ベース
ここでは、財務からの比較のために楽天トラベルは除外されている一方で、ホテル予約事業で一部上場の(株)一休が、他社をはるかに上回る高いROEと自己資本比率として取り上げられています。ここ数期では売上が微増止まりで、最近のテレビCMの効果も期待はずれと株価は低迷していますが、それでもなお、2010年3月期で17.3%のROEは立派です。何しろ業界1位が145億円の純損失という業界にいるのにです。
ここでは旅行業界の一休を取り上げましたが、他業界でも知名度がそれほどでなくても高い価値を持つ会社、働きやすい会社、成長できる会社などなどいろいろあると思います。そういう会社を探し出せるというチャンスがあるのだということを忘れずに悔いの残らない就職活動を送られることを願っています。