パブーでの「10円マンガ」実験に見る電子出版時代のパッケージング戦略
電子出版時代に、書籍の販促はどうあるべきか模索が続いています。最初、書籍「フリー」クリス・アンダーソン著の成功でフリーミアムという、限定無料で広めてもらっていくモデルが注目を集めました。その後、必ずしもフリーミアムはいいことばかりでなく、金を払ってもらえる率が低い場合もあると昨今話題です。そういう中、「インプレスジャパン、iPhone/iPad関連新刊の電子版無料配布を範囲拡大」というニュースのように、一部無料公開で一万ダウンロード越えを記念して、無料範囲を拡大とかいう動きもあります。フリーミアムが一般化する中で宣伝効果とチラ見せのバランスはまだ模索が続いているようです。
一話10円という 須賀原洋行氏の実験に注目:
そういう中、私は、漫画一話8ページを10円という低価格で、電子書籍サイトパブーで作品を公開された須賀原洋行氏の試みに注目しています。
須賀原氏は、週刊モーニング連載だった「気分は形而上」で人気を集められた、漫画家で、武熊氏との電子出版は儲かるか論争などでも注目された方です。その須賀原氏、ご自身のブログの「電子書籍サイトは自前の宣伝戦略が必要」というエントリーで書かれています。
25本全部、同じ真っ赤な表紙にしたのも効いている。
トップの「最近売れた本」の欄に赤いのがずらっと並ぶとけっこう目立つ。目立てば、人気のある作品、売れている作品、面白い可能性が高い作品というイメージになりやすい。
電子書籍サイトはとにかくトップ画面に表示されないとダメな感じだ。
そもそも、奥に埋もれたら誰にも存在を知られない。
発表してないも同然になってしまう。紙の雑誌とはかなり感覚が違う。
紙の雑誌は、載りさえすれば多くの人に読んでもらえる可能性が高い。
載せてもらうまでが大変だが。
その、表紙が並んでいる様子が、これです。電子書籍サイトの店頭の売れ筋本コーナーにこれだけ並んでいれば目立つし、どれかを選んで買おうかという意欲も湧きやすくなります。私の場合、安部公房さんの箱男について素通りしがたい感じがしました。
作品検索 | ブクログのパブー via kwout
選択肢があって選べるというのは重要なことでランキングに多数並ぶのは、バブルだという話題がありましたけど、並んでみる価値はあるものだと改めて実感したところです。
まとめて割引というパッケージングにも期待:
ただ、須賀原氏が、Twitterで私にしてきされたように、一話10円に分割するのが最適解とは限りません。
そもそも、分割できるのは小さく独立した塊がある場合でしょう。連載長編小説なら部分無料で残り有償の方がいいとか考えられます。
また、分割販売できるケースでも、セットで割引とかいうパッケージングがあればより売り上げを増やせると思います。分割販売好評につきセットを分割版の完結前に売り出すとかです。
まずは、購読体験から:
電子出版談義がにぎやかななか、ただ、須賀原氏が、Twitterで私にしてきされたよう
近頃、マンガが売れなくなったとか、暗い話題が多い世の中ですが、新しい時代を感じ取るためにも、須賀原氏の作品を購読されてみてはいかがでしょうか?
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