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中学受験が終わった親に勧めたい本『親子就活』

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著者の中村昭典さんより贈呈いただいた、アスキー新書の「親子就活」拝読しました。「わが子をフリーターにさせない!!」という文字が帯に大書されていて、大学生の子供を持つ親向けHow-to本みたいな雰囲気ですが、実際は、豊富なデータとケーススタディで、親世代では実感しにくい、今の就活事情がわかるという本でした。データが豊富なので、ハンドブックとして活用しやすそうです。

まずは、今の時代の就職事情を知る上で役立つ本だと思いました。

以下、本に書かれていたことを元に、私が思うところを紹介します。

バブル崩壊を機に、構造が変わった日本の雇用環境
昔も就職難はあったわけですが、戦後の高度成長期以降においては、大企業に入れるか入れないか、という問題であったように思います。会社を選べばどこかかには、「就職」できそれは、正社員として雇用されることを意味していました。また、終身雇用の仕組みは維持されていて、学閥のあるような学校を卒業したら、えり好みさえしなければ就職できるという状況だったと思います。

しかし、バブル崩壊後の今では、雇用の構造が大きく変わっています。昔も、大企業と中小企業とで待遇の格差はあったのですが、それに加えて今は、非正社員の比率が増えて、正社員として新卒で就職できる割合が減っているのです。高いブランドのある大学に入っていればよっぽどじゃないかぎり、大手企業の正社員として就職できるだろう、そんな、親世代の時代の常識はもう無くなっているのだと、改めて実感させられました。

親子就活の必要性:
「人並みに」やっていれば思うような就職ができた時代が終わり、一方で、加熱する中学受験の影響で親が子供の面倒をみる期間が伸びるという現状を考えると、親が子供の就職活動を支援して、いくのは悪くないことなんだなと考えを改めました。

自分のことを振り返るに、大学受験の頃は親から旅立ちたいという意識が強くなり、行きたい学校に行かせてもいいかなと思います。まだまだ未熟とはいえ学校を選ぶ上でどこがいいかはある程度、学生を続けた延長ということでそうはハズレはありません。そして、たとえ合わない学校であっても辞めてやり直す手はあります。

一方、就職活動は、社会人になるという大きな変わり目であり、就職したことがない未経験者の子供に任せっきりじゃない方がいい時代になっていると思います。昔なら、仕事が合わずに田舎に帰って家業を手伝うとかいうことも多かったのですが、地域社会の支えあいが崩れなかなかそういうやり方は難しくなっています。

中学受験が終わった親に勧めたい親子就活という甘美な楽しみ
そして、大学を卒業する年代ともなれば、もう反抗期も乗り越えて親と子は人生の先輩と後輩という立場で分かり合えるはず、そう思います。自分自身の若い日を思い出してそう思うわけです。子供から助けてとか言いづらいところでしょうが、そこを親から歩み寄り、話をじっと聞き、そして、自己分析なんて難しいと悩む子供に、親から見ての分析やいい点を教えてあげる、そんなことをしてあげたいなと、思いました。

実は、私の子供の中学受験で思いっきり、進捗管理したり、教えたり、志望校選定で諭したりとか深い関与をしてきました。親子で苦しい時を乗り越え、志望校も最後の一ヶ月の伸びを信じて強気に選んで、その結果合格できたときは自分のこと以上に嬉しく感じました。そして、同時にもうこんな経験は二度とできないのだなととても寂しい思いもしました。

案の定、中学生の子供はだんだんと親の手を離れ、昔のようなコントロールは効きません。

できることは子どもの話を聞き、親としての意見を語り、自分がどうすべきか考えてもらうことです。

何年か後に来るであろう就職活動の大変さに向けて、私は親としていろいろ教えてきたつもりですが、親子就活 という将来の事件が大きな楽しみとして見えてきました。そして、社会人として採りたく成るような人材に育ってもらうには、いろんな好きなことをやらせて挫折やら克服やらいろいろな経験を積ませるべきだなと長い目で子どもを見ていられるようになりました。

まだ早いと思うかもしれませんが、中学受験で一度「子どもを手放す」ことに寂しく感じている親御さんの意識を変えるのに親子就活はいい本だと思いました。

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