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今、自作スパコンがアツイ!?- サーバー、DC、使う人が作る時代へ

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今話題の、国産スパコン(ただし、石はSAPRC64)に巨費を投じる必要があるかという事業仕分けの話題に一石を投じた3,800万円スパコン。

オルタナブロガー岩永さんは、プロジェクトの意義は認めつつも、

少しきつい言い方になるかもしれませんが、今回開発されたものがそのままビジネスにつながるようには、少なくとも今の時点の私には見えないなぁと思っています。

と、技術検証で作ったということと、売り物にすることへの大きなギャップを語られていると思います。私もIT業界のマーケティングという似た立場なのですが、今後のスパコンのありかたを考えると、商用再販売するものではない、必要なものを必要な仕様で自分たちの組織で作ってしまう、自作スパコンが地位を確立し伸びるんじゃないか。そして、将来、自家利用から発展して、専門のスパコンサービスプロバイダーというビジネスも生まれてくる、そう予感しています。

そう思うに至った理由の一つは、濱田氏の作られた汎用GPU(GPGPU)の特性を良く知り、うまく生かした分野に応用されていることです。@ITの記事が非常に参考になりました。

http://www.atmarkit.co.jp/news/200803/06/cuda.html

GPGPUのキラーアプリケーションは「グラフィックス」 − @IT via kwout

そういう、必要なハードを汎用部品を組み合わせて自ら作るというのは、Googleやはてなが取り組んでいる自社製作サーバー、さらには自社製作のデータセンターが強みを発揮するという最近の流れに沿っています。

従来のコンピューターやソフトウェアのベンダーが、汎用の製品を作って売っていた流れと比べて、特定の用途に合うものを安く作る、そして、ノウハウとサービス提供力が育ったらサービスの外販を考える、そんな流れに日本も乗って発展していけることを期待しています。

その対極にあるのが、ゼネコン型の丸投げシステム構築です。文部科学省が理化学研究所を通じて進めていた次世代スーパーコンピュータの開発プロジェクトは、国産ベンダーが共同で構築というジョイントベンチャー方式で出発した後、一部撤退という経緯をたどっています。

何でも自作が安くて早くて良いとは限らないわけですが、厳しく分かっているユーザーが増えて育っていかないと日本のIT産業の将来は厳しい、そして、やればできるかも、と感動させられました。

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