固定観念には逆らえない:ラー油と間違えて、ラー油の本を買ってしまう人続出の理由とは
>紛らわしい。ラー油だと思い5個買ったのですが、本でした(+_+);
といったお気の毒なカスタマーレビューが楽天ブックスで続出しています。掲載の「ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし」で、話題のラー油が買えると思ったら本だったというのです。おかげで
> ※こちらは本です。ラー油ではありません。
という注釈がついています。「なぜちゃんと確認しない?」とかいろいろな意見がありますが、私は、人の固定観念は根強くなかなか勝てるものではないので、
楽天で扱う以上、これでは悲劇はまだ続く
と確信しています。というのも、ショッピングページがこんな、 楽天でラー油を買う というグルメショッピングのデザインのままだからです。
【楽天市場】ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし:楽天ブックス via kwout
Amazonは書籍から、CD、家電などなど品揃えを増やしていますが、生鮮食料品は扱っていません。運営上の問題もあるのでしょうが、ブランド上も扱える範囲を超えているという意識があるのじゃないかと想像します。
一方、楽天。中小規模ショップのネット商店街として日本の草分けといえる存在ですが、私の感覚では「産直グルメ」というイメージがあります。礼文島のうにとか北海道のかにとか取り寄せるのに楽天を使ってきました。
そういう多くの人が話題の食品を買うのに、「楽天 石垣島ラー油」で検索するのも自然な流れです。楽天で扱っている店舗もあるようですが、人気で品薄らしく、在庫がある唯一の店が楽天ブックスの書籍だったという様子が窺えます。
そして、書籍の表紙には、おあつらえ向きにラー油の写真があります。タイトルも入ってますが、小さいので見逃す人もいるでしょう。
やるべきことは、書籍の画像に、「注意書きを入れること」
さてでは、善後策として何が必要か。このままではまだ間違って買う人が増えそうなので、このように
これは、書籍である という注釈を入れる、これくらいしたほうがいいと思います。
まあ、これくらい話題になれば、間違える人も減りそうですが、ネットショップのユーザーへの見せ方としてはこれくらいはやったほうがいいと思うわけです。
また、楽天ブックスには是非、返品と返金を受け付けるとかいう対応をとって欲しいと期待します。これだけ宣伝になった中で、返金を受け付ければいい話題になるでしょう。
前例となって困るという懸念もありますが、消費者が誤解して損したということを放置するほうがビジネス上よくなかろうと思います。
マーケッターへの教訓:一度染み付いたイメージを取るのは困難
楽天といえば、産直グルメという、私の感覚に近い人はたぶん多いでしょう。総合通販という意識が強いかもしれませんが、自社のイメージを大切にしてそこを伸ばすことからブランド作りは始まります。
そこを逆らって、「実はこんなに安い」とかいうキャンペーンをやるのは、過去を振り返るに、自社のブランドを弱める危険な施策だと反省しています。やるならばその世間の認識を逆らわず、「受け流す」というかポジションチェンジするような施策です。
「XXは高くない」
なんといっても、高いと思われている商品だったら、なかなか浸透しません。むしろ、
「XXは高い?はい、だから高性能で安心だから結局、いい買い物になります。」
とかいう、高いか安いかという目を「価値があるのはどっち?」と少しシフトさせて、「高いからいいものだ」と流れを引き寄せるのが大事です。
最近は、タダとか、ZZに付属、なんていう捨て身戦法を取る会社も珍しくなかったりしますが、そんな日々の競争に打ち勝つには価値観のシフトが重要、そんなことを思い出してくれました。
固定観念は強固なので、真っ向から拭い去るのは困難です。ただし、徐々にシフトさせたり枠組みを変えたりして価値を変えていくこと、ネガティブな面をいい印象に変えるとかいうことは可能だと思います。広まった固定観念に逆らわずにうまく力を利用する、そんな発想で努力を続ければ、ブランド価値のシフトや向上はできるのではないでしょうか?
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