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クリスマス前だから、濃い緑地に赤文字は要注意

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8月に入る前から準備していたイベントが終わってやっとこれで夏休みが取れるかなと思ったら、世間はもう冬支度らしいという今日この頃いかがお過ごしでしょうか?さて、そろそろクリスマス商戦だからなのか、最近濃い緑を背景に赤い文字という広告デザインが目立ちます。高級感とか、クリスマスらしさとかを演出するからでしょうが、ちょっと待って欲しい点があります。

この組み合わせは、輝度(明るさ)の差がとても少なくなることがありかつ、日本人男子の4.5%が該当するとされる(by Wikipedia)「先天赤緑色覚異常」で判読が難しい組み合わせなのです。この男子の4.5%と女子の0.165%を足すと、日本で約290万人という、相当な数、県別の人口ランクで12位の広島県全人口というもや、ごく一部などとは言ってられない相当すのが人が困る可能性があるのです。(呼称については、色弱、とかいろいろありますが、ここではWikipediaの表記を使っておきます。)

具体的見え方はどうか?ある広告をそのまま、トリミングしたもの(左)と、ColorAccessというソフトを通して、フィルターをかけたもの(右)と組み合わせてみました。

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「USD」という文字が赤で、濃い緑の背景の前にあるのですが、フィルタリング後の画面では、背景に溶け込んでほとんどの方が読めなくなっていると思います。こういうデザインは避けるべきだと考慮していただきたいと思います。

もうひとつ、こちらは何とか読めるけどという例です。

Colorac2bf Colorac2af

同じく、単にトリミングしたものと、ColorAccessで加工したものです。肝心の値段が読みづらくなっています。サッカーのユニフォームの背番号がもし、こうなっていたら、もう用をなさないレベルだと思います。サッカーではテレビのモノクロ放送でも区別がつくようにくらいの配慮がされることが多いのですが、それくらいWebや広告のデザインでも気を使っていただきたいと願っています。

この色についてのことを書くときには、いつも中学の数学の先生とそのお言葉を思い出します。その先生は、ご自身がそういう状態であり、黒板(実際は濃い緑)に赤いチョークで書かれると、ほとんど読めない、赤いチョークなんて無くなって欲しい、と本音で語られていました。今の赤いチョークは明るいピンクでより読みやすくなっているようですが、ご自身が学生の時にいろいろ苦労されたそうです。そして、最後の授業で、人間万事塞翁が馬であり、何が良くて何が悪いことなのかは一概に言えないとも語られていました。この話題を書くときはきっと、心が痛む方もいらっしゃるだろうから、避けたほうがいいのじゃないか?という気持ちが起きるのですが、だからこそ、知らない人に伝えるべきだとも思います。

そして、できればクリスマスの緑と赤の飾り付けを見た時にこの色合いにある背景を少し思い出していただければ幸いです。

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