サイボウズが丸裸にされちゃった件について
ITproで連載されている「ノーク伊嶋のITベンダーウオッチ」で、サイボウズがまな板の上に乗せられました。
今回のテーマはサイボウズのグループウエアである。グループウエア市場は長らくIBMのLotus Notesが独占してきた。日本においても、Lotus Notesは大企業を中心にデファクトとして導入され、現在でも多くの企業で利用されている。しかし、中堅・中小企業でのクライアント環境が整うにつれて、中小企業から大企業の部門利用に至るまでグループウエアは一気に普及した。その一翼を担ったのがサイボウズのグループウエアである。以下、起業して15年で中堅・中小企業市場におけるグループウエア導入社数でシェア1位となった同社の戦略を分析する。
全5ページにも及ぶ大作でなかなか刺激的なタイトルです。1997年の起業から現在に至るまでの我々の製品戦略、マーケテイング戦略が詳細に分析されています。
ほとんど丸裸状態。
伊嶋さんに取材されたのは実は私なんですが、まさかここまで大作になるとは思ってもおらず、その取材力にまず驚きました。
もちろん私の話だけでここまで整然と書けるわけがなく、ホームページや過去の発表資料、そして業界にまつわる情報や競合の情報もあわせて、きれいにまとめられたのだと思います。
いや~、嘘はつけませんね。(ついてないですが)
私は上場前の2000年からサイボウズにいるので、取材を受けながら、自分自身でもいろんなことを思い返すことができました。
売上高の半分の広告宣伝費のほとんどを入社間もない私に任せてもらって、悶え苦しんだこととか。
会社の売上の半分を使って倍の売上を上げるって、傍から見るよりずっと大変なんですよ。
ホント日経15段のカラー広告が出る時などは、胃薬が欲しいほどキリキリ痛くなりました。
そして、パートナー様経由の販売に乗り出して、いろんな軋轢や矛盾に悩んだこと、クラウド移行でさらにパートナー様にひたすら説明に回ったこと、考えてみるまでもなく、いろんな方にご支援いただいて、またいろんな方にご迷惑をおかけして、今日があります。
今のクラウド基盤は、数年前から開発に着手していたのですが、外から見ればやっぱり去年辺りに急に方向転換したように見えますし(発表していなかったからそうなんでしょうが)、逆にちゃんと方向転換したことを認めていただいているのは、うれしい話です。
97年からやっているグループウェア事業ですが、モバイル、スマートフォン、クラウド、ソーシャルメディアなどいろんなものの登場で市場を巡る環境は激変してきました。
もはや「グループウェア市場」の定義自体も変わってきています。
私たちがやっていることは、企業のチームワークを支援するITツールの提供であって、必ずしも市場が考える「グループウェア」の提供ではありません。
市場の中での競合との戦いも大切ではありますが、スケジュール共有のイントラネットツールに囚われていては、今頃は海の底に沈んでいたでしょうし、新しく出てくるコミュニケーションツールに足元をすくわれてしまいます。
企業のチームワークを支援するクラウド基盤としてNo.1であり続けられるよう、今後もサービスのみならず、仕事の仕方をも含めて新しい提案、新しいマーケティングを模索し続けてゆきたいと思います。
あ、ちなみに最近はグループウェアではなく、コラボレーションツールという呼び方をしようとしています。
サービス自体も競合もどんどんクロスボーダーな感じになってきていますので、社内スケジューラにとらわれずにサイボウズを見ていただけましたら幸いです。
伊嶋さん、ありがとうございました。今後も鋭い眼光で見つめていただけましたら幸いです。