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悩める中小企業経営者に向けて、ITと経営をいっしょに食べてやさしく噛みくだく試み

専門家の定義が変わりつつあるのではないのかな?

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ちょっと前の記事になるのですが、プレジデント誌で「革新を生み続けるダイソンの『すごい人員構成』」というのがありました。

簡単に要約すると、「ダイソンには、『デザイナー』と『エンジニア』の区別がない。組織はフラットで全員がデザインしながらエンジニアリングしており、能と手を動かすことを交互にすることで発想が活性化されて革新的な製品が生み出せる」というような話です。

機能的に見るべきものがないからデザインでごまかすことはよく聞く話で、ダイソンがそれと無縁の企業であることはわかりますが、デザイナーとエンジニアの垣根を壊すだけでそうなるかといえば、さすがにそんなことはないでしょう。
ただ、デザインしかできない専門家とつくることしかできないエンジニアがそれぞれに自分の世界に閉じこもって仕事をしたところで、今の世の中で革新的な製品やサービスを生み出すことは難しいのではないかと思います。

Appleの例でも明らかなように、美しいデザインには機能の裏付けがあり、抜きん出た利益は、機能美と官能美が高次元で融合した製品を軸に、周到に組み立てられたビジネスモデルの賜物です。
垣根に隔てられた専門家だけではできないものであることは確かかと思います。

スマイルカーブと呼ばれ、特別な素材や部品を持つ上流と、特別なビジネスモデルを持つ下流だけに利益が集まる状況においては、専門家として重宝されるのは上流である特別な部品や素材を生み出す人か、下流にある特別なビジネスモデルを生み出す人かということになりますが、上流はともかく下流は専門家というよりはゼネラリストということになります。

上流においても、特別な技術を今までと違う分野に活かすことで利益につながる例が多く、単一分野の専門家よりは、多方面へ応用できる発想を持つ人でないと高い利益を上げることは無理でしょう。

例えばITの世界においては、専門家といえばSEやプログラマーが思い当たりますが、クラウド時代になってくれば利益を出すのはプログラムを組んだり、システムを組む人ではなく(それは中流になってしまいます)ビジネスモデルを提案できたり、クラウド上にある素材を組み合わせて新しい価値を作る人が利益を上げる人ということになってきます。

これからの専門家は、昔のようなひとつの知識だけ深める人、ではなく様々な分野の知識を組み合わせて、ある専門領域の付加価値を生み出すことができる人になってゆくのでしょうね。
最近は「専門家」と呼ぶよりは、「スペシャリスト」と呼ぶことが多くなってきていますが、この「スペシャリスト」という語感には「専門バカではないホントの課題解決力を持つ人」という意味が込められている気がします。

でも、幅広く知識を持っていても専門の課題解決につながらなければ単なる博識であって、自分は何を解決する人なのかを明確にしていかないと「スペシャリスト」にはなれないぞ、と自分を振り返って思う今日この頃でありました・・・。^^;


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なんかキレが悪いなあと思ったので追記。

私は例えば「マーケティングの専門家」と呼ばれることがありますが、今までは「マーケティング知識と経験がたくさんある」とうだけで「えへへ〜」ってしていられたのですが、じゃあ何を解決できるのかと言われると曖昧だなあと思いましてね。
ちょっと前までは、持っている知識で例えば広告宣伝とか広報とかの課題とか、販売計画を立てたりできたのですが、こうも世間が変わってくると蓄積した知識は全然役に立たなくて「マーケティングの知識を持っているけどマーケティングの課題は解決できない人」になってしまう気がするのです。

専門家とかスペシャリストって言う名前は、「専門的な課題を解決できる人」だから尊称なのであって、できなければ「専門バカ」そのものですから問題ですよね。
で、これはたぶん自分だけの話ではなくて、世の中の多くのところで起こっていることなのだろうと思います。

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