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悩める中小企業経営者に向けて、ITと経営をいっしょに食べてやさしく噛みくだく試み

脱原発は賛成だけど、反原発だけでは幸せになれないと思う

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 ※写真は2011年3月26日、福島県南相馬市にて
  写真に写っているおばあちゃんは、あと数百メートルのところで家は津波から逃れたが、原発30キロ圏内で避難を要請され拒んでいるとおっしゃってました。


9月からオルタナティブ・ブログに加わらせていただきましたが、読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。
アクセス数に一喜一憂し(煩悩丸出しですから)、イケルと思ったネタがこけて、自社製品では無いネタに限ってアクセスが上がりがっくり来て、と本当に勉強させていただいています。

毎日ではないですが、書き続けると自分の中のやりたいことが明確になってきたことがなによりも収穫かもしれません。

営業日の最後ですので、今年特に思ったことを書こうと思います。

今年の自分の中のキーワードは、「震災」「クラウド」「モバイル」「ソーシャル」です。
そして、それは自分の中で全てつながってきています。
震災以来何度も現地に行き、時にはボランティアとして、時には営業マーケティングとして、時には取材としていろんな方々に接してきました。

決してきれいな話ばかり聞いたわけではありません。
それだけに理想を実現するには強い覚悟と深い洞察と行動力が必要と考えています。

特に思ったのが東北、というよりそれをきっかけに考える日本の将来の姿です。
例えばクラウドで心配される「セキュリティ」原発で心配される「放射能」。この二つなんとなく似ているなあと思います。

放射能は無いに越したことは無いし、セキュリティは頑丈なのがいいに決まっています。
しかし、例えば家に付ける鍵が「絶対安全」と思っている人は世の中には殆どいないと思います。
窓ガラスが防弾ガラスになっているのは、VIPとその筋の方くらいだろうし、鍵だってでかい金槌でたたき壊せばそれまでです。

要するにリアルなセキュリティ対策は、ものすごく脆弱なわけです。
じゃあなんでそのままにしておくのかといえば、それ以上お金をかける価値を見出さないからということと、リスクの範囲を知っていてそれを覚悟しているからだと思います。

世の中は常にバランスです。
どこかにお金をかければどこかから減ってゆきます。
銀行の金庫の鍵を家に付ける人はいません。リスクの度合いによって人は安全に払うお金の価値を決定します。

放射能の問題も同じだと思います。

分かりやすい話では、原発の避難地域に指定されて避難を余儀なくされたお年寄りが、避難先で自立する気持ちが萎えて寝たきりになったり、体調を崩したり、孤独になったりする例をいろいろ聞いて、放射能のリスクとどっちがいったいリスクなんだろうと思いました。

「子供のため」に放射能を徹底的に遠ざけようとする気持ちは、同じ娘を持つ親としてよくわかります。
しかし、それと同時に子供のための未来をなすために必要なお金がなくなるのはまたリスクだと思います。
原油依存が進めば、資源のない日本はもし国債がパンクしたときに一気にエネルギー危機がやってきます。住み慣れた場所を追われ、職もなく補助金と支援金で暮らすことになってしまった家庭の子供達は、そしてそもそも財政危機に陥ったときに子供たちが背負う日本は、放射能さえなければ幸せになれるのでしょうか?

なんでも危険なものは「反対」「反対」といって、「以前と変わらない状態」を選択しているうちに、大きなとんでもない過ちを犯しているのではないかと思います。
反対続きで日本の総理大臣が何人も変わった結果は、海外になめられる日本の政治です。

そして、それがソーシャルメディアの相乗効果でますます広がってゆきます。

ソーシャルメディアは直接民主制っぽいことを実現できるすごい力を秘めています。
しかし、そこでネガティブコミュニケーションの大合唱をすると政権の交代スピードが速まり、お金が現状維持のためにどんどん使われて、変わる機会も余力も失ってしまうような気がします。

日本の人口は、今から40年後には9500万人になり、2100年には5000万人を切るという予測が出ています。(国土交通省 国土の長期展望に向けた検討の方向性について)少なくともこれを読んでくださっているみなさんは2050年まで生きている可能性は高く、子供たちの世代はもちろんその先も生き続けます。

脱原発と反原発は違うし、セキュリティの不安とITやソーシャルメディア活用による業務改革やワークスタイル変革はバランスです。
日本はもちろんのこと世界も大きく変わりゆく中、言い古された言葉ですが、ピンチの時こそ変革の機会と捉え、将来の自分たちと子供たちのために最適なサービスやソリューションを来年も提案し続けたいと思っています。

クラウド、モバイル、もちろんソーシャルも原子力ほどは危なくありませんし、時間と距離と無知を無いものにするすばらしい可能性を秘めています。
その可能性を実現できる時代にIT業界にいられることを幸せに感じながら、志を同じくする皆様のご指導をいただきながら走り続けたいと思っています。

ややとりとめのない文章になってしまいましたが、来年も引き続きご贔屓のほどよろしくお願いします。

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