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悩める中小企業経営者に向けて、ITと経営をいっしょに食べてやさしく噛みくだく試み

会社と個人の関係が逆転する実名ソーシャルネットワーキング

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FacebookやLinkedInといった実名のSNSが台頭してくると、特にコンシュマー相手ではないビジネスの世界にも大きな影響を及ぼしてきます。
その中でも私が一番大きなインパクトだと思うのは、会社主体から個人主体へビジネスの枠組みが変化するのではないかというところです。

従来は、ビジネスにおいて信頼の尺度となるものは名刺でした。
名刺のどこを見るかといえば、会社名と肩書きです。
その会社というドメインの信頼の中で、その個人がどういう立場で働いているかで、名刺を渡された相手はこれからの商談のスケールと可能性を測れたものです。

ビジネスはまず名刺交換から始まりますから、名刺交換をしたときの印象(つまり会社と肩書き)がずっと残ります。
会社を代表して客先へ行って名刺交換するので、相手も当然会社の誰それとしてこっちを認識します。

しかし、Facebookはまず個人です。で、個人がどこの会社に所属するかはその従属物になります。
会社が変わっても連絡先は変わりません。
そして、会社の表記も一つではなく、今までの遍歴や出身校まで人のプロフィールには表示されるわけです。

転職ツールと呼ばれるLinkedInは言うに及ばず、Facebookもまたその人の名刺であり、履歴書です。
しかし関係者とのつながりや日常の思考や行動も見えますから、本物の履歴書を見るより信頼性も詳細度も高いです。

そうなると、名刺ではなくFacebookでつながったビジネスの相手とは、会社と会社の付き合いではなく、個人と個人の付き合いになってきます。

名刺はそのときの立場のスナップショットですが、facebookの自分のページは時間軸を盛り込んだデータベースです。
ビジネス相手の認識は自然と会社ではなく個人(の人生)を軸に考えるように変化します。

このまま登録数が増えてくると、相対的に会社という組織ドメインの威力は弱まるのではないかなと思います。
エッジの効いた会社はともかくとして、さしたる特徴がない会社は、特徴がある「個人が今住んでいる場所」程度にしか認識されないようになっているように思います。

企業のFacebook活用法が注目を集めていますが、この力関係の変化をしっかり認識しないで喧伝されることが多いので、作っただけでアクセスが集まらないという例が多く見られます。
蓄積されたコンテンツと、繋がる個人との関係性が魅力と信頼の大きさを決めてゆくというソーシャルネットワークの本質をちゃんと見抜かないと、広告ツールに使われている企業のFacebookページはすぐに寂れてゆくでしょうし、中の人はどんどん魅力的な企業に抜かれてゆくことになるのでしょうね。

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