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GAIS講演:佐藤拓哉氏「OpenAIの新機能GPTsを活用した業務改善エージェント開発方法と活用事例」 ~ 第6回 ジェネレーティブAI 勉強会

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2023年12月19日(火)に、一般社団法人 生成AI協会(GAIS)が「第6回 ジェネレーティブAI 勉強会」を、港区立産業振興センター 11F 大ホールにて開催しました。

佐藤 拓哉.jpgアローサル・テクノロジー株式会社の代表の佐藤拓哉氏「OpenAIの新機能GPTsを活用した業務改善エージェント開発方法と活用事例」の講演をされました。ダイジェストで紹介したいと思います。

佐藤氏の講演では、GPTsを使用して、特に非エンジニアのために経理や事務などの従来のビジネスプロセスをどのように変革し、自動化と効率化を実現しているかについて、具体的な事例と共に詳細に説明されました。これらの技術は、日々の繰り返し作業を効率的に処理するだけでなく、データ分析やレポート作成などのより高度なタスクにも応用可能です。GPTsの導入により、時間を節約し、より戦略的な業務に集中できるようになると佐藤氏は強調しています。また、顧客サービスやマーケティング分野でも、迅速かつ適切な回答を提供することで、顧客満足度を向上させることができると述べています。

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講演の冒頭、佐藤氏は、MITの研究者らによる⽣成AI(ChatGPT)の使⽤
が仕事の遂⾏に与える影響についての論⽂を紹介、生成AIの利用により「アイデア出し」と「⽂章化」の割合が20% に減少し、「編集」にかける割合が80% に上昇したというエビデンスを紹介しました。

引⽤︓Shakked Noy,Whitney Zhang, MIT
「Navigating the Jagged Technological Frontier: Field Experimental Evidence of the Effects of AI on Knowledge Worker Productivity and Quality」, 2023
https://economics.mit.edu/sites/default/files/inline-files/Noy_Zhang_1.pdf

佐藤氏は、従来のチャットボットから「AIエージェント」の時代になる、と予測しています。従来のチャットボットは単純な対話や繰り返しのある作業に適しており、その機能は比較的限定的であるのに対し、AIエージェントは、高度な知能、学習能力、適応性を備え、複雑なタスクや問題解決に適しており、人間のように思考し、目的に沿って行動することができ、特定のタスクを自動化したり、より複雑な問題解決を行うことができるようになる、と語りました。

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GAIS6-3-3.JPGOpenAIが2023年11月6日に開催したイベントで発表した「GPTs」は、個人のニーズに合わせてカスタマイズ可能なChatGPTであり、以下の5つの特徴を紹介しました。

①ノーコードで作成できること
②特定の目的にあわせてカスタマイズした独自のChatGPTを作成
③開発したGPT(My GPT)をほかの人と共有
④外部APIとの連携
⑤GPT Storeにて公開し、マネタイズ

講演では、GPTsが簡単に誰でも作成できることを紹介。

GAIS6-3-4.JPGGAIS6-3-5.JPG実際に、操作手順も示しながら、サクっとGPTsを作るデモも披露。

続いて、GPTsの活用事例が具体的に示されました。

■事業戦略支援エージェント
https://chat.openai.com/g/g-ZTWZz7WDf-jing-he-diao-cha-shou-yi-gou-zao-ye-jie-fen-xi-gadekirugpts

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競合調査・収益構造・業界分析ができるGPTs

  • 特定のビジネスに関する業界構造分析を専門とする戦略設計のプロフェッショナル。
  • 5F分析(競合他社の脅威、代替品の脅威、新規参入者の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力)を用いて、ビジネスの状況を客観的かつ詳細に分析する。
  • 提供する分析は、各要素の概要と詳細な分析を含み、総評には具体的なアクションプランについても言及してくれる。分析結果は表形式で整理し、ビジネス戦略の策定や意思決定の助けとなるよう設計されている。

■営業支援エージェント
https://chat.openai.com/g/g-YOQ0AN4tw-serusutokuperfect
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セールストークPerfect

  • 商品やサービスの効果的なセールストーク作成を専門とするGPT。
  • ユーザーから商品名、ターゲット顧客、解決する悩みや欲求に関する情報を受け取り、それに基づいてターゲットに響くコピーを5種類提案する。
  • ユーザーが1つを選ぶと、そのコピーに沿ったセールストークを指定文字数で2種類作成することが可能。

■ブログ作成支援エージェント
https://chat.openai.com/g/g-ig8ExuozI-content-press
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Content Press

WordPressブログの投稿をサポートするために設計されたAI。ブログの内容の作成、SEOの最適化、倫理的なガイドラインに沿ったコンテンツの提供などに焦点を当てています。以下のようなサポートが可能。


①ブログ投稿の作成:
トピックの選定から文章の構成、スタイル、トーンの調整まで、ブログ投稿の全てのステップをサポート
②SEOの最適化:
キーワードの選定やメタデータの設定など、検索エンジンでの視認性を高めるためのアドバイスを提供
③コンテンツの改善:
既存のコンテンツの分析と改善提案を行い、より魅力的で読みやすい記事を目指します。
④ユーザーのフィードバックに基づく改善:
読者の反応や意見を取り入れて、コンテンツの質を高める方法を提案

■リライト支援エージェント

https://chat.openai.com/g/g-May5Nw00x-text-doctor

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Text Doctor

文書の校正、誤字脱字の修正、文章の推敲を専門に行う
GPTです。ユーザーから提供された文章を分析し、以下のサービスを提供します。


①誤字脱字の修正: ユーザーが「誤字脱字を修正したい」と伝えた際、Text Doctorは指定された文章の誤字や脱字、語尾の不統一を修正します。修正箇所は明確に示され、修正後の文書が提供されます。

②校正: 「校正したい」というリクエストに応じて、文法的な正確さ、表現の適切さ、一貫性などを考慮し、文章を校正します。校正された箇所はリスト化され、改善後の文章が提供されます。

③推敲: 「推敲したい」との要望に対し、文章の読みやすさ、流れ、魅力を高めるための改善を行います。こちらも、改善点がリスト化され、改善後の文章が提供されます。

■ロゴ作成支援エージェント

https://chat.openai.com/g/g-gFt1ghYJl-logo-creator

GAIS6-3-10.JPGLogo Creator

ユーザーの指示に基づいて、良いデザイン原則を用いて、
プロフェッショナルでクリーンなロゴを生成。ユーザーからの指示に基づいて4つの質問を行い、最適なロゴを作成。

質問は、ロゴの雰囲気(プレイフル、ニュートラル、シリ
アス)、シンプルさの程度(1から10のスケール)、ロゴ
内に言葉を含むかどうか、そしてロゴのタイプ(コンビネ
ーションマーク、ピクトリアルマーク、レターマークな
ど)に関するもの。これらの情報に基づいて、DALL-Eを使用してロゴを生成する。

■AI時代の課題解決アプローチ

佐藤氏の講演の後半部分では、AI時代の課題解決アプローチについて、従来のアプローチは、複数の課題をまとめて解決しようとして長いリードタイムを要していましたが、AIを用いる現代のアプローチでは、課題一つに対して一つのソリューションを提供し、細分化された方法を取るように変わってきていると述べています。

また、生産性が学習コストを上回る状況について言及しています。UI/UXの向上と統一化により、AIツールは直感的に使用できるようになり、自然言語処理の進化によって、より簡単にAIに指示を出せるようになったと指摘しています。これにより、人々はAIに質問することで学習し、ソリューション間の連携も容易になっています。この進展は、AIとの連携を容易にし、生産性の向上をもたらしている点で重要です。佐藤氏のポイントは、現代のAI時代においては、迅速に新しいソリューションを試し、それが役立つかどうかを素早く評価するアプローチが求められているということです。

データ統合の進展も重要な要素で、多くの企業が複数のソリューションとのデータ連携を行うことで生産性の向上を図っています。このような状況下では、多くのソリューションを知っていることが、AI時代における必須のスキルとなっています。佐藤氏は、情報収集が進歩を課題解決につなげるための重要なキーであると指摘し、イベント参加やSNSウォッチなどを通じて新しいアイデアやソリューションを見つけ、迅速に試すことが今の時代のアプローチであると述べています。

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