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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

カジノの遊び方ー偶には人間の本能を取り戻そう!

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カジノにもいろいろある

多分カジノと言うと、皆ラスベガスを思い出すのではないだろうか?「バグジー」っていう映画もあったし、最近ではハーバードの学生がカードゲームでカジノを破産させるというようなストーリーもあった。

だが、まず知らなくてはならないのは、今や世界中にカジノがあるということだ。それぞれの国で規制が違うので、形態は必ずしも同じではないが、欧州各国にもあるし、豪州にもある。南アフリカにもあるし、アジアにも、例えば韓国やマカオに加えて、シンガポールとかフィリピンとかカンボジアにもあるのだ。そしてこれが更に広がろうとしている。本場のアメリカも、実はカジノを許可していない州は今や二つだけ、全米にカジノは広がっているのだ。

ただ、これらのカジノにも若干の違いがある。例えばラスベガスはまさに本場だが、ここはギャンブルというより一大エンターテインメントセンターだ。だから、カジノホテルは異様に大きいし、中にはシアターや高級レストラン、高級ブランドショップが立ち並んでいる。そして、とにかく沢山のスロットマシンが並んでいるのだ。

一方、同じアメリカでも、カリフォルニアなどのいわゆるインディアンカジノは、基本的には居住地域と近いので、エンターテインメント色は薄い。どちらかと言うと、カジノが中心の、日本的に言えばパチンコホールに近い。もちろん規模はそれでも大きくて、世界一のカジノはコネティカット州のフォックスウッドというところだが、ここは7千台以上のスロットマシンが並んでいて、一回入ると間違いなく迷子になる。

ギャンブル好きの中国人、韓国人

一方、例えばマカオは、今やカジノの収入では一つの都市としてはラスベガスを超えているが、もちろんスロットマシンが並んではいるが、収入比率から言ってもバカラなどのカードゲームが中心だ。

これはどうも中国人がカードゲームなどの人を介するギャンブルが好きなことに原因があるようだ。だからアジア圏ではそもそもこれらの「テーブルゲーム」の収入比率が高く、またそのスペースも大きく取ってある。

そして、今や例えばカリフォルニアのインディアンカジノでも、多くの中国人がギャンブルを楽しんでいるのは常識だ。考えてみれば、カリフォルニア州には驚くほど多くの中国系の人々が住んでおり、彼らがインディアンカジノはもとより、車で5時間運転してラスベガスへも来ているのだ。

先に紹介したフォックスウッドでも、テーブルゲームのテーブルに何重にも中国人が集まっているのが良く見られる。普通はプレーヤーとディーラーで数名なのだが、彼らはテーブルに着いているプレーヤーに更に賭けるというような形で楽しんでいる。そして、その人たちは、遠くニューヨークのチャイナタウンからバスでピストン輸送しているのだ。

ギャンブル好きで有名なのは中国人だけではない。韓国人も大好きだが、国内では入れるところが限られているので、結構海外に出てきている。フィリピンなどは、そもそも韓国の造船会社が大きな造船所を持っているために、その周辺に多くの韓国人が住んでいるし、タイとベトナムに挟まれたカンボジアではそれぞれの国境に小さなカジノが林立しているが、大体オーナーは中国人か韓国人だ。

スロットマシンの歴史

さて、カジノには先に書いたテーブルゲームもあるが、これは最低賭け金がある程度必要だし、簡単とは言え一応ルールも知らなくてはならないので、やはり一般的に入りやすいのはスロットマシンだ。

スロットマシンは、元々は機械式で三つのリールが回り、その中心にある数字や模様が一致すると一定の払い戻しがある、というものだ。しかし、この機械もその後の技術の進歩で大きく変わってきている。

日本のパチンコホールにはパチンコとパチスロがあるが、パチスロはそもそもカジノのスロットマシンの仕組みを多少パチンコに導入したものということはご存じだろうか?そして、その後パチスロが日本の高度な技術を経て進化するに従って、今度は日本のパチスロの技術がスロットマシンにも影響を与えている。

スロットマシンの進化に大きな影響を与えたのがビデオゲームだ。これはアリストクラットという豪州のメーカーが主力としている分野だ。それまでの機械がまさに機械式でリールが回るのに対して、液晶画面を使ってビデオで如何にもリールが回っているかのように見せて、様々な演出をするのがビデオゲームだ。

これはスロットマシンの遊び方に大きな影響を与えた。それまでは機械式リールで一列に数字などが並ぶことを当たりとしていたので、要は当たりの種類は限られていたと言わざるを得ない。しかしビデオで見せるだけであれば、リールが5つあっても良くて、しかも一列並びだけでなく様々な並びで同じ数字などが揃えば当たりとすることが出来る。

だから、当たりの揃い方を多く出来て、それぞれのラインに1単位ずつ賭けさせれば、一回のプレーでも多くの賭け金を賭けさせることが出来る。これは画期的なものだった。

スロットのデノミと当たりの比率

元々、あまり小さな単位で遊んでも、カジノ側は儲からない。だから単位賭け金はもちろん5セントなどもあったが、通常は25セントか1ドルが中心だった。これは一回のゲームに直線ラインで機械式であれば3ライン、つまり単位1ドルなら3ドル賭けさせるということだ。

だが、ビデオが導入されて、当たりのラインが25、40、128などど多くなれば、各ラインに1セント賭けさせても、一回の賭け金合計は1ドルを超えることが容易になった。プレーヤーは単位が1セントであれば安い、という錯覚で、一回当たり2-3ドルを投じることになり、結構デノミ(つまり1単位)が小さいゲームでも十分に儲かるようになったのだ。

そしてこのことが、そもそも清算の方式にも大きな影響を与えた。昔はパチスロと同じようにコインがザクザク出てくる形だったが、様々な単位の機械が出来ると、このやり取りは面倒になるので、今は機械から勝ち金に交換できる紙が出てくるだけだ。これで重いコインを持ち歩かなくてよくなったのだ。

さて、ここで大事なのが当たりの比率だ。スロットマシンでは、プレーヤーが賭けた総額に対して当たりで払いだす総額の比率、つまり計算上の当たり率をPay Out Ratioと呼んでいる。そして、日本のパチンコ、パチスロのようにこれが100%を超えることはなく、必ず100%以下になるように規制で制限されている。

ただ、通常の機械は大体この数値に関してカジノ側が選択できるように作られており、一般的には単位賭け金が小さい機械では85%前後、これが高くなると95%以上というように、設定が変わってくる。

ダラーマシンで勝負勘を取り戻す!

つまり、デノミ(単位賭け金)がある程度大きい方が、賭け金が返ってくる確率が高いということだ。もちろんこれはある程度の時間同じ機械で遊ぶことで、確率に近い結果が出ることが必要だから、機械ごとに異なる「大体どのくらい使えば良いか」という勝負勘を持つことが必要になる。

私の場合は、やはり好きな機械があって、ほぼ必ずこのゲームで遊ぶが、これはダラーマシン、つまり単位は1ドルで、しかもラインが5つあるので、一回の賭けで5ドル出ていくことになる。ただ、経験上千ドル遊べば、もちろん全部無くなることもあるが、逆に千ドル、二千ドルになることもあって、これを繰り返すと、あまり大きく損しているということにはならない。

大事なのは、スロットマシンは、先に述べたように基本的には100%ではない、つまりプレーヤーが負けることが前提の遊びであり、ただ、時によって「勝ったり、負けたり」することで、そのスリルを楽しみ、人間の本能である勘を取り戻すことだと思う。是非、自分の勝負勘を見つけて、楽しんでもらいたい。

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