オルタナティブ・ブログ > 塞翁が厩火事 >

ITが無いと生きていけないのに、アナログな日々

北の街から広がるダイバーシティ work with Pride 2018 プレセッション 札幌レポート

»

お手伝いをさせていただいている任意団体「work with Pride」のプレセッションLGBT基礎編が札幌市で開催されました。東京で行われるメイン・カンファレンスに先駆けて開催されるプレセッションで、今年は、福岡、札幌、東京、大阪の各都市で開催。東京では、情報発信も多く、自治体や企業・団体での制度の策定・施行が進んでいますが、それ以外の地域ではとてもギャップを感じるとの声を多く受け、今年は、東京以外の会場での開催を広げています。

先月開催された福岡会場に引き続き、野村證券株式会社様に会場協力いただき、約50名の参加者が集いました。LGBT基礎編は、この後、東京、大阪での開催があるため、ここでは割愛しますが、参加者より、「当事者の悩み、要望などを直接聞くことができる貴重な機会であった」「世界と日本との状況の違い、ほか具体的な情報を得ることができた」などの声を多数いただきました。

34FC4A7D-6021-4688-8D01-2669F393A9BF.jpg今回は、札幌市より後援をいただき、札幌市における取組みを札幌市 市民文化局市民生活部男女共同参画室 課長の須藤陽子 氏よりご説明いただきました。

札幌市では、昨年6月より札幌市パートナーシップ宣誓制度を始め、また今年の6月からは宣誓書受領カードの交付を開始しています。同性パートナーシップに関する問い合わせが企業から増える一方で、北海道新聞が調査したアンケート結果には、札幌市の企業の7割がLGBTに関する制度を策定する予定がなく、その理由として「どうしていいか分からない」との回答が半数近くだったことが分かりました。

札幌市は、多くの人が長い時間を過ごす職場で働きやすい環境を作ることを急務と考え、2017年7月より札幌市LGBTフレンドリー指標制度を開始しています。その指標は、主に下記の6つです。

指標項目

取組事例

基本方針に関すること

会社の社内規定等にLGBTへの差別やハラスメントの禁止に関する記述がある

啓発に関すること

従業員向けにLGBTに関する研修やセミナーを実施している

内部体制に関すること

従業員がLGBTに関する悩みを打ち明けられる体制がある

福利厚生に関すること

同性パートナーへの福利厚生等が認められている

配慮に関すること

LGBTの従業員または顧客に配慮した環境の整備やサービスがある

協力連携に関すること

社外のイベントに協力またはNPO法人と連携した取組がある

その他

市長が適当と認めるもの

これらの実施項目数に応じて、取組が1〜2であれば星一つ、3〜4であれば星二つ、5以上であれば星三つを認定し、登録証を発行しています。札幌市のホームページに掲載されている札幌市LGBTフレンドリー企業は、現在31社。業種は多岐に渡り、また企業規模も様々、本社が札幌市外にあっても支店として登録することも可能です。ホームページに掲載後、掲載した企業や札幌市宛に求人の募集はないかなど採用につながる問い合わせが増えているとのことです。

さらに、札幌市は、当初費用をかけるのが難しかったり、何をしていいか分からない企業に対して無料で出前講座も行っています。また電話で相談できるLGBTほっとラインも設けており、当事者のみならず企業の担当者も相談が可能だそうです。

こうした札幌市の施策を受け、実際に札幌市の企業、団体、札幌市に営業店を置く企業ではどのような活動をされているのか、続くパネル・ディスカッションでは、下記の方々にご登壇いただきました。

井上税務会計事務所
所長 井上奈緒子 氏

丸吉日新堂印刷株式会社
代表取締役 阿部晋也 氏

野村ホールディングス株式会社 グループ・ダイバーシティー&インクルージョン推進室
室長 園部晶子 氏

モデーレーター
認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズ
代表 松中権 氏

東京で開催するwork with Prideのサポートメンバーは、ほとんどが大企業から協力いただいています。そこでの悩みは、どうやって東京以外の地域、中小・中堅企業にこの輪を広げていくことなのですが、ここ札幌では会社の規模に関わらず随分と取組が進んでいる印象を受けました。率先して活動を始められた井上税務会計事務所の井上さんは、経営者向けにLGBTに関するセミナーを実施し、札幌市LGBTフレンドリー企業の拡大に貢献されています。丸吉日新堂印刷の阿部さんもその一人で、井上さんのセミナーに参加したことをきっかけに自社でのポリシー策定や啓発活動、福利厚生にも配慮しています。名刺やホームページにもLGBTアライであることを明示しています。全社的にダイバーシティ&インクルージョンを進めている野村證券は、7.6%のマイノリティへの対策ではなく、90%以上のマジョリティをどうアライにするかの問題と逆説的な取組で、現在は地方の社員への啓蒙に力を入れています。
9639F678-FC0F-4561-BC44-369732484D48.jpg

10月には、LGBTなどの多様性を祝祭するパレード『さっぽろレインボープライド』も開催される札幌市。誰もが快適に働ける職場で能力を最大限に発揮してもらえることを願うというのが、登壇いただいた方々からひしひと伝わってきました。

自身海外からのホームステイの学生さんを25年に渡り受け入れてきた井上さん、これまで18カ国の国籍、性別、宗教、文化の違うお子さんたちと一緒に暮らしてきたそうで、家の中が昔からダイバーシティで、今回のLGBTに関する活動も自然と始められましたと笑顔で話してくれました。


work with Pride プレセッション LGBT基礎編は、この後9月3日に東京、9月7日に大阪で開催します。ご参加希望の方は、下記よりお申込みください。ご応募お待ちしています。

<東京会場> 
2018年9月3日(月)13:30~15:30(受付開始13:00)
会場:シスコシステムズ合同会社 (東京ミッドタウン(六本木)ミッドタウン・タワー) 21 階セミナールーム
所在地:〒107-6227 東京都港区赤坂9-7-1
地図:http://www.tokyo-midtown.com/jp/access/public-transport/
東京会場は、申込み受付を終了しました。ありがとうございます。

<大阪会場> 
2018年9月7日(金)13:30~15:30(受付開始13:00)
会場:野村證券株式会社 梅田支店 (大阪富国生命ビル)7階
所在地:〒530-0018 大阪府大阪市北区小松原町2-4
地図:http://www.nomura.co.jp/branch/branch/umeda.html
申し込みフォーム:
http://workwithpride.jp/osaka2018/

Comment(0)