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時事ネタ、マーケットや経済の話を、ファイナンシャルプランナーの視点で難しい話もなるべく専門用語を使わずにできるだけわかりやすく解説します。ときどき、思いついたこともそのまま書くこともあります。よろしくお付き合いください。

為替は国の経済力(強い弱い)で動きます

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 強い国の通貨を変え...為替取引の鉄則です。しかし、強い弱いは相対評価(2つの通貨の比較)であって、客観的な評価ではありません。それが為替取引を難しく感じさせる要因のような気がします。

 昨晩からはドル/円は円安に動きました。先ほどの為替取引の鉄則通りに動いたと判断するなら、日本よりもアメリカの方が強いということになります。今の 客観的状況からでは、日本よりもアメリカの方が強いという判断は正しいと思われます。その観点から考えると、昨晩のニュースでは、米連邦準備制度理事会 (FRB)が公表した連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の内容はアメリカが強いことを裏付けているということになります。議事録の中でのアメリカが 強いと判断されるキーワードは「追加緩和に踏み切らない」という文言だったのでしょう。足元の経済が強いから追加緩和は必要ないということになります。

 この記事のもう一つの見方は、市場通貨量の差です。米が追加緩和をしないことは、ドルは市場では増えないけれで、緩和継続の日本の円流通量量は増えるの で、、日本円は今後弱くなる可能性が高いと判断してドルが買われたということになります。長年投資を行っている人には当然の着目点と言われるかもしれませ んが、投資初心者には、すぐに通貨流通量に発想がスイッチするにのは難しいという話はよく聞きます。なるほどね。 

 その通貨量に関して為替が大きく動いたのが一昨日の円高でした。「マネタリーベース」という、日銀が市場に供給している通貨の量を表すものです。2月 14日の量的緩和を本気でやるぞ宣言から、円安に急激にうごいたことはご承知の通りでしょう。事実、2月のこのマネタリーベースは11.3%増(前年比) でした。通貨の量が増えたのです。
 ところが、3月のマネタリーベースは0.2%減と、減っている数字になっていることから、またしても日銀の量的緩和は本気でやるぞ宣言は一時的なものかと判断されたのです。日本円通貨量が増えないから円安にはならないとの判断で投資家が動きました。
 でも、この数字は「前年同月比」です。昨年の3月は東日本大震災で、金融防衛のために大量の資金供給をした月でした。日銀はうそつきだというのはかわいそうな感じです。逆に、何もない状況で0.2%しか通貨量が経ていないことの方が重要のような気がします。
 量的緩和を継続することは、まだまだ経済は強くない(弱い)ということです。経済の強さと通貨量は同じことを言っているのです。どちらも重要なニュースです。頭の中を整理しましょうね。

 経済指標発表で為替が動くのは、どちらの通貨が強いか弱いかの判断で動くわけです。量的緩和や為替介入という特殊事態は、考えれば、その国の経済が弱い から行うことです。為替は、国の経済力の強さで動きます。まだまだ日本の経済力は強くない、というよりもアメリカの方が先行して強いということになるので しょう。基本は、今迄の先輩方が言い続けてこられた「強い国の通貨を買え」という論理は正しいのでしょうね。
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