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時事ネタ、マーケットや経済の話を、ファイナンシャルプランナーの視点で難しい話もなるべく専門用語を使わずにできるだけわかりやすく解説します。ときどき、思いついたこともそのまま書くこともあります。よろしくお付き合いください。

法人税率はアメリカよりも日本の方が低い?

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 WSJに法人税の記事が載っていました。日本の法人税率がアメリカの法人税率を下回ったというものです。この4月1日から39.5%から36.8%になります。連邦税と州税あわせて39.2%のアメリカが世界最高となるそうです。日本の法人税は3年後にはさらに2.3%引き下げて34.5%になります。
 
 今までは税収確保のために減税に関しては消極的でしたが、法人税率引き下げにより景気浮揚を助けて税収を増やすという方向に変わりました。法人税率引き下げは、社会格差で非難された竹中平蔵氏が唱えていた説でもあります。 竹中氏を擁護する立場で書いているわけではありません。ただ、景気回復、株価引き上げが経済復興の近道であるという原則が受け入れられたということでしょう。歓迎と非難、真実は両極端のその先にあるのでしょうか。

 経済再建には、規制緩和、構造改革、それがだめなら為替操作が必要と、依然このブログでも書きました。財政出動ができない状況下では、大きな副作用を伴いますが、円安に誘導して法人税を引き下げて、景気浮揚の助けをしなければいけません。それだけ今回の日銀の本気の量的緩和は、大きな効果があったと言えるのです。

 昨日、ある大手証券会社本社の方と話していたのですが、日銀がこのまま量的緩和を続けてくれるかどうかは疑問だとのことです。かつても円安になると蛇口を閉める動きをしたので心配だとのことです。日銀の独立性に対して苦言を呈していました。
 たしかに、日銀はゼロ金利状態を嫌います。金利調整で景気を調整することを「是」としています。しかし、今はもっと蛇口を緩めることが重要です、日銀が一番嫌うのはインフレなので、それゆえ今までは量的緩和に踏み切らなかったのですが、世界的な量的緩和の中で、日本だけがかたくなな態度をとっていると、円高は止まりませんでした。

 その証券会社の方がよく言っていますが、1円円高で何千億円も損をする輸出業者は、逆に円安になれば大きな収益を得ることができるのです。それが税収につながるということをしきりにおっしゃていました。至極当然の話です。

 法人税率引き上げは、ダイレクトに企業の内部留保金が増えます。円安による収益アップに内部留保金増加は、積極的な設備投資につながる可能性があります。株主や従業員への還元も期待できます。好景気循環です。

 景気を支える二つの車輪は、個人消費と企業の設備投資ですが、なんといってもインパクトが強いのは設備投資が増えることです。企業優遇という非難もありますが、大きな視野で考えると、今は景気浮揚が一番しなければならないことだと思います。
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