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【書評】なぜ負けたのか?――『日本「半導体」敗戦』

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湯之上隆『日本「半導体」敗戦』(光文社)

本書の著者は、半導体技術者として、日立に十六年半勤務し、2002年のITバブル崩壊時に退職勧奨に応じるかたちで、研究者へと転身した。本書に書かれている著者の経歴については、ニュース・サイトJBpressのコラムでも読むことができる。

日本「半導体」の凋落とともに歩んだ技術者人生
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2229?page=5

この図の通り、著者は、日本のDRAMのシェアが世界トップの時に、技術者人生が始まり、その後、韓国に抜かれ、台湾に追いつかれそうになったところで終わりを告げる。この日本凋落の原因を、「日本の半導体産業には、過剰技術で過剰品質の製品を作ってしまう病気があるからだ」と指摘する。

そもそも、日本がDRAMで世界シェア・トップにたった時期というのは、メイン・フレームが主流で、そこで使用されるDRAMも、25年保証という高品質が要求された。この成功体験が「過剰技術、過剰品質」の病気をもたらした。

1990年代半ばになって、パソコンが普及し始めると、DRAMに求められるのは、せいぜい3年程度の品質保証であり、これに見合った低価格のDRAMを韓国メーカーが供給し始めるようになると、日本の半導体メーカーの凋落が始まる。また、日本の技術者は、技術の高度化には関心が高いが、製造コストを下げる技術への関心は薄いという。

64ページの注記には次のようにある。
《「インテルは原価から逆算して利益が出るように工程フローを開発している」という話を、自動車産業を研究している経営学者に話したところ、「そんなの当たり前じゃないか」と一蹴されてしまった》

そして著者は、こうした敗戦の原因は、経営戦略にもある、とも指摘する。1999年に日立とNECの合弁で設立されたDRAMメーカー、エルピーダは、設立当初の混乱を2002年に社長に就任した坂本幸雄の手腕で収束させるが、2008年のリーマン・ショックの影響で、2009年には、公的資金による支援を受けることになる。

こうした日本の半導体産業の凋落を、自身の体験、エルピーダ社員などへの聞き取り調査、国際比較などの豊富な事例によって、説得力のある説明をしている。

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