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【書評】インテル・インサイドとアップル・アウトサイド――技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか

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妹尾堅一郎『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由』(ダイヤモンド社)


本書は、そのタイトル『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』通り、技術力のあるはずの日本が、どうしてビジネスの面で負けるのか、についての考察と、そこから得られる処方箋を提示したものである。

考察の中心にあるのは、第3章で紹介されているインテルとアップルのケース。著者は、この2社の戦略について、インテルは、その広告にあったように「インテル・インサイド」と、アップルについては、これをもじって「アップル・アウトサイド」と紹介している。

《インテルは、パソコンにとっても最も重要な中央演算装置(MPU)の中で、演算機能と外部機能とをつなぐPCIバスを徹底的に開発しました。そして、PCIバスの内部技術を完全なブラックボックスに閉じこめたのです》(pp.67-68)

その一方で、インテルは、外部との接続プロトコルはオープンにした。著者は、これを「内クローズ、外オープン」と呼んでいる。さらにインテルは、MPUを搭載するためのマザーボードを製造するノウハウを台湾メーカーに提供することで、これらの中間製品メーカーを味方につけ、完成品メーカーを間接的に支配することに成功する。

もう一つの「アップル・アウトサイド」とは、iPodにiTunesを組み合わせることで、音楽配信ビジネスの支配的なプラットフォームを構築することであり、また、iPhoneのソフト開発キットを安価で配布することで、サード・パーティーを味方につけてアプリケーションを充実させる、という戦略をさしている。

インターネットが普及した時に、「すべてをオープンにしろ」という主張があったものの、ビジネスで成功するには、クローズにする部分と、オープンにする部分を戦略的に組み合わせることが重要であることがわかる。また、日本の企業は、こうした戦略的なビジネス・モデルの構築が、あまり得意ではないようだ。

本書には、「インテル・インサイド」や「アップル・アウトサイド」のほかにも、参考になる事例が紹介されている。

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