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トヨタが生産台数・販売台数で世界一になれた理由とは?

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もちろん「トヨタが頑張ったから」ですが、これ以外の要因として、アメリカにとって、もはや自動車産業は昔ほど重要ではなくなったこと、もあげることができると思います。

1970年代から1980年代にかけては、日本製自動車のアメリカへの輸出は、貿易摩擦として問題視されたのですが、これは、日本車の輸入によって、アメリカの労働者の雇用が奪われることも理由の一つでした。しかし、その後、トヨタをはじめとする日本メーカーは、アメリカでの現地生産を進めるようになって、雇用の問題は小さくなりつつあります。

また、1992年にブッシュ大統領が来日して、晩餐会で嘔吐して帰ったこともありましたが、この時は、日本にアメリカ車を購入するように求めていました。しかし、その後のクリントン政権下において、コンピューター産業が発展したことから、自動車産業はアメリカにとっては、それほど重要ではなくなってしまいました。

ここ数年、GM、フォード、クライスラーのビッグ3が経営不振に陥っています。昔だったら、アメリカ政府は、なんらかの救済策を打ち出したのでしょうが、いまは、ほったらかしです。現在のアメリカにとっては、IT、金融、航空、宇宙、軍事、資源などの産業が重要であって、自動車は、日本や韓国にまかせとけばいい、という雰囲気が漂っています。

なぜなら、アメリカ人にとっては、トヨタをはじめとする日本のメーカーにまかせておけば、故障が少なく、燃費のいい、高品質の自動車が生産され、さらにアフターケアもばっちりで、消費者は大満足、という状態がもたらされるからです。ついでに、トヨタの株でも買っておけば、配当というかたちで、利益を得ることもできてしまうから万々歳と言えるでしょう。

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