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ソニーエリクソンの挑戦(29)~『ソニエリの謎』 Q.本社って、どこにあるの?

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ソニーエリクソンが、ニュース記事などで紹介される場合は、「英ソニー・エリクソン・モバイル・コミュニケーションズは・・・」というように書かれます。これは、ヘッドクォーターがロンドンにあるため、イギリスの会社である、とみなされているからです。

ソニーエリクソンは、株式を公開していないので決算を発表する義務は無いのですが、親会社のソニーとエリクソンにとっては、ソニーエリクソンの業績が、両社の業績に影響してくるので、ソニーエリクソンの決算を発表しなければなりません。そして、この両社が共同で発表しているリリースがこれです。

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/fr/semc/q406.html

ここには、エリクソンとソニーの「両社折半出資による携帯電話端末事業合弁会社、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズAB」とあります。この「ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズAB」の末尾のABは、スウェーデン語で「有限責任会社」を意味する「aktiebolag」の略語です。日本語のKK(株式会社)のようなものです。とすると、エリクソンとソニーが50%ずつ出資して設立した会社はスウェーデンの会社ということになります。

では、ロンドンのヘッドクォーターはなんなのか、というと、これは、スウェーデンのソニーエリクソンが、「ソニー・エリクソン・モバイル・コミュニケーションズ・マネージメントLtd.」という子会社を設立して、ここの役員を、ソニーエリクソン本体の役員が兼務するかたちとなっています。そして、ここでソニーエリクソンの国際的な戦略を練っている、ということです。ちなみに日本法人もスウェーデンのソニーエリクソンの子会社です。

企業物の取材をする時は、まず当該の会社のアニュアル・レポートなどを、政府機関などで閲覧またはコピーを入手するのが基本作業の一つです。私は、はじめソニーエリクソンはイギリスの会社だと思っていたので、イギリスの政府機関から、レポートのコピーを手に入れたのですが、売上のケタが違うし、なんか変だなーと思ったものです。そして、本体がスウェーデンにあり、レポート類もスウェーデンにいかないととれないことを知ったときは、愕然としました・・・。そして、苦労して手に入れたレポートを見て、またビックリ。すべてスウェーデン語で書かれていて、英訳版が無いのです。

London_130_1左のデータは、ソニーエリクソンの売上高を地域別にブレークダウンしたものですが、このデータは、ニュース・リリースなどでは発表されていないはずです。ま、これくらいのスウェーデン語ならば、なんとなく意味はわかりますが・・・。

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