英ボーダフォンが新戦略発表・・・PCと携帯の統合サービス、Yahoo!と広告配信で提携など
英ボーダフォンは、14日にロンドンで中間決算の発表会を開きました。決算の内容については、すでに報じられていますので、ここではYahoo!との提携など、新しい経営戦略についてレポートします。
同社のサリーンCEOは、新しい経営戦略"Mobile Plus strategy"には、2つ側面がある、としています。1つ目は、左の写真のスライドの左側の部分にある"Develop integrated mobile and PC offerings"で、これは、携帯電話とパソコン向けの統合サービスの提供です。具体的には、インスタント・メッセンジャー(IM)、電子メール、アドレス帳などをパソコンと携帯電話それぞれで使い安くすること、そして、パソコンと携帯電話のユーザーが相互に通信できるネットワークの確立をめざすというもの。
もう一つは、スライドの右側にあるように"Create mobile advertising revenue stream"で、携帯電話を通じた広告配信の開始です。具体的には、英ボーダフォンは、Yahoo!と提携し、携帯電話を通じた広告配信サービスを開始します。これにより、携帯電話のユーザーに、無料または割安なコンテンツを提供できる、としています。
1つ目の携帯電話とパソコン向けの統合サービスについては、左のスライドにあるようにフェーズI(FMS)、II(FMS+DSL)、III(Total Communications Solution)という段階を踏むようです。また、Yahoo!との提携ですが、これは携帯電話を通じて、広告を配信するもので、各ユーザーの嗜好にあわせた広告の配信を行えるとしています。2007年上半期中にイギリスのボーダフォンの携帯電話ユーザーに向けて配信を開始するようです。また、それにより無料または割安なコンテンツが提供できるとしています。
このYahoo!ですが、これはイギリスのYahoo!であって、日本のYahoo!やソフトバンクは、まったく無関係とのこと。また、英ボーダフォンとソフトバンクが設立したジョイント・ベンチャーについても聞いてみましたが、「Visibilityを確保したい」というのがサリーンCEOの返事でした。ニュアンスとしては、「写メールのようなヒット商品ができたら、他社にではなくて、うちに教えてね」という程度のもののようです。
もう一つ、最近、英ボーダフォンが発表したものに、携帯電話のプラットホームを、Windows Mobile、Symbian (S60)、Linuxの3つに統合する、というものがありました。これについても質問が出ましたが、サリーンCEOの答えは、「携帯電話の世界では、パソコンのように1つのOSが支配的になることは無いし、そのようにしたくはないのでこの3つをプラットホームとして選択した。これによりコスト削減が図られる」というものでした。
このコメントと、前述した「携帯電話とパソコン向けの統合サービスの確立」という戦略をあわせて考えると、要するに、英ボーダフォンが、これから販売する携帯電話は、Windows Mobile、Symbian (S60)、Linuxのいずれかを採用したスマートフォン、または、高機能な携帯電話が中心となる、ということを示唆しているのではないかと思います。そして、その過程で、この3つのOS以外の端末、特に低価格・低機能の機種は扱わなくなる、ということではないかと推測できます。