紙というメディアの限界(3)
少し前のことですが、コクヨ(株)が発行する情報誌『カタライザ』(CATALYZER)の依頼で、オランダにあるインターポリス(Interpolis)という会社のオフィスを取材しました。
インターポリスは、オランダの保険会社ですが、ティルバーグにある本社ビルの1階と2階は、ティボリ(Tivoli)と名付けられたオフィス用スペースのデザインがとてもユニークで、建築やデザインの世界では、よく知られた存在なのだそうです。(Googleで"Interpolis","Tivoli"で検索してみてください)。
そして、このインターポリス社は、フレキシブル・ワーク・プログラムというユニークなワーク・プログラムを採用していることでも知られています。このプログラムでは、すべての社員にデスクの割り当てが無く、出社したら自分の働きたいスペースで、自由に仕事を進めることができる、というものです。
これは同社のCEOも同様で、すべての社員は、朝出社したら、自分の荷物をロッカーに預け、かわりにパソコンと携帯電話を持って、仕事をしたい場所へと移動します。デスクにはLANのケーブルが用意されており、電子メールや社内用携帯電話で連絡をとります。もちろん、必要な場合には、会議室に集まって会議を行いますが、それ以外は、すべて自分のペースで仕事を進めることができます。
またフレキシブルなワーク・スタイルの延長として、週に1日以上、在宅勤務(テレ・ワーキング)も認められています。インターポリスでは、社員の業績評価を徹底することで、全体の生産性は上がっているのだそうです。
そして、インターポリスの担当者にインタビューをした際に、特に印象に残ったのは次のような言葉でした。
「紙の資料がたくさんあると、それを保管する場所が必要になります。そうすると、その場所の近くに、社員が固定されることになり、フレキシブル・ワーク・プログラムの妨げとなります。だから、完全なペーパーレスとはいかないまでも、極力、紙の資料を減らすような努力をしています」。