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【特別レポート】モバイルTVの世界的ブレイクは2009年から

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携帯電話などのモバイル端末でTVを視聴するモバイルTVの世界的なブレイクは2009年から始まる、とするレポートが発表された。

London_045_3これは、英国ロンドンで13日に開催された"Assessing the market impact of DVB-H Successful Strategies for the Launch & Roll-Out of Mobile Broadcast"(主催:Informa Telecoms & Media)というセミナーで、Informa Telecoms & Mediaのアナリスト、Dave McQueen氏が発表したもの。

世界のモバイルTVは、欧州が推進するDVB-H(Digital Video Broadcasting for Handheld)、日本のワンセグのISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)、韓国や欧州の一部で普及しているT-DMB(Terrestrial-digital media broadcasting)、米クァルコムが推進するMediaFLOなど、さまざまな方式が乱立しているが、McQueen氏は、2009年を境にDVB-Hがもっとも普及する方式となる、との見解を示した。

●モバイルTVに対応する端末の販売台数は2005年73万台、2006年200万台弱。放送ネットワークの普及、販売される端末の台数増加、2008年の北京五輪などのビッグイベントにより、2009年を境にモバイルTV端末の販売台数が増加する。2011年には、1億2000万台が販売される。これは、すべての携帯電話の約10%を占める。

●端末が対応する方式のうち、いまのところDMBが主流で、韓国と日本の一部だけで、2006年の対応端末販売台数の66%が占められている。地上波DMB(T-DMB)と衛星DMB(S-DMB)をあわせたDMBが2008年までは主流だが、その後DVB-Hに追い抜かれる。2008年以降は、ヨーロッパとアメリカでDVB-Hが普及し、販売台数の50%を占めるようになる。DVB-H対応端末は、2011年までに年間7300万台販売され、そのシェアは63%。MediaFLOも2008年から普及を始め、2011年には対応端末が1450万台販売される。

London_046_1●モバイルTVのユーザー数は、2006年の256万人から、2011年には、2億1000万人に。2011年に地上波DMB(T-DMB)のユーザーは2400万人、DVB-Hは1億2000万人(シェア57%)。ISDB-Tは日本に限られるため1500万人、MediaFLOは2500万人に。

●地域別のユーザー数は、2008年までは韓国が最大。中国が追い上げて、2011年には2400万人に。アジア太平洋では9510万人で、世界シェアは45%。欧州は2011年に6870万人。北米は2009年には3000万人に達する見込み。

●DVB-Hに限って見ると、2011年1億2000万ユーザーのうち、欧州が37%、アジア太平洋が36%、北米が12.2%、南米が7.5%、アフリカ/中東が7.7%。

London_049_3続いて、BDA China LimitedのDuncan Clark氏が、アジアのモバイルTVの現状についての報告を行った。現在アジアでは、試験運用も含め4つの方式が採用されている。DVB-Hは台湾、マレーシア、シンガポールで運用されている。また、韓国では地上波DMB(T-DMB)と衛星DMB(S-DMB)の2つの方式が採用され、香港でも地上波DMB(T-DMB)が採用されている。日本ではワンセグ(ISDB-T)のほかに、東芝と韓国のSKTによる衛星DMB(S-DMB)があるが、対応端末が携帯電話ではないことから、ユーザー数はあまり多くは無い。

London_050_1アジアの今後の見通しでは、T-DMBが韓国に加えて、インドと中国でサービスや試験運用を開始する。DVB-Hもシンガポール、マレーシアに加えて、インドネシア、中国がサービスや試験運用を開始する。DVB-Hに関しては、ノキアが積極的に推進している。米クァルコムの押すMediaFLOもアジア進出をめざしているが、やや出遅れた感は否めないという。

また、現在、韓国と日本をあわせると、150万人のモバイルTVユーザーがいる。日本のワンセグ(ISDB-T)、韓国の地上波DMB(T-DMB)と衛星DMB(S-DMB)が、それぞれ50万人程度だが、このうちコンテンツにお金を払っているのは、韓国の衛星DMB(S-DMB)のユーザーだけである。

韓国の衛星DMB(S-DMB)は、韓国のSKTが2005年5月に開始したサービスで、端末価格は700ドル(約8万円)、月極料金は14ドル(約1600円)。普及のきっかけは、今年3月に行われた野球の世界大会WBC(World Baseball Classic)で、特に最高視聴率27.5%わ記録した日本と韓国の試合だったという。WBC開催以前では、対応端末の販売台数は1日1000台だったが、WBCが始まると1日4000台を上回ったという。

【告知】World Handset Forum Asia, 27-28 June 2006, Hong Kong, China
http://www.ibctelecoms.com/worldhandsetforum/asia/

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