ドイツの業界3位の携帯電話キャリアE-Plusが契約者数を19%も増やした理由
ドイツの携帯電話キャリアE-Plus(E-プリュス)が、3月末時点の契約者数を、前年同期比で19%も増加させました。これは、E-Plusの親会社であるオランダのKPNが、9日に第1四半期の決算を発表した際にあきらかにしたものです。
http://www.kpn.com/kpn/show/id=965927/contentid=11399
E-Plusは、ドイツの携帯電話キャリアとしては、T-モバイル、独ボーダフォンの2強(2社でシェア80%を占める)に次ぐ3位、シェアは12-13%と、なにやら日本の旧ボーダフォンが置かれていたのと同じような状況にありました。
そのE-Plusがシェア拡大のために採用したのは、複数のサブ・ブランド、ブランド・リセラー、MVNOと、E-Plus以外のブランドを増やすという戦略でした。
左の図は、4月に行われたセミナー"MVNO Strategies & Markets Europe 2006" (主催:Informa Telecoms & Media)におけるE-Plusのプレゼンテーションからとったものです。
サブ・ブランドとしては、Simyo、BASE、Blau.de、Ay Yildizの4つをスタート。いずれも、No-Frillsつまり、格安の料金がセールス・ポイントです。このうち、Ay Yildizは、在欧トルコ人向けに特化したサービスとして始められたものです。
次に、ブランド・リセラーですが、これは携帯電話キャリアとしてのオペレーションは、E-Plusで行うが、販売やマーケティングは、他社が独自のブランドで行うものです。ISPのfreenet、家電量販店チェーンのConrad、MTVなどを放送する音楽専門TVチャンネルVIVAなどと提携しています。
さらに、MVNOであるVISTREAMにインフラを提供しています。
E-Plusとしては、すでに飽和状態にあるドイツの携帯電話市場でシェアを拡大させるには、上位2社から奪うしかない。もともと業界3位のE-Plusにとっては、サブ・ブランドや他社との提携によって、E-Plusのブランドが傷つくリスクは、上位2社よりも小さい。家電量販店や音楽専門TVとの提携により、セグメントのはっきりした顧客に携帯電話を販売することができる、といったメリットがありました。
3月末の契約者数は1140万人と、2005年3月末と比べると19%も増加したのですから、E-Plusの戦略は、当たったというべきでしょう。