ソーシャルメディアをWeb解析の視点から捉え直す

ソーシャルメディアのポテンシャルとは -"Digital waste"を作らぬために-

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スケダチ・高広氏のエントリが一部で話題になっていました。

「フェイスブックマーケティング」なんてものは存在しない。

エントリ自体の趣旨としてはソーシャルメディア領域に特化したコンサルティングの不味さを指摘するものだと思いますが、延焼するとソーシャルメディア自体の持つポテンシャルまで棄損されかねないなあと思って見ていました。こうした問題の根本的な原因は、だれもがソーシャルメディアをうまくお金につなげられていないという点にあるのでしょう。というのも、検索エンジンもまたソーシャルメディアと同じくあくまでユーザーと事業者を結ぶ1チャネルでしかないにも関わらず、SEM(サーチエンジンマーケティング)という用語が成り立ち、実際に大きな市場が形成されているからです。それは単に検索エンジンでモノや情報を探すユーザーが、すでに購買意欲の高くなっている「刈り取り」対象のユーザーであることが(結果的に)分かったからです。

ソーシャルメディアのビジネスポテンシャルはどこに?

「刈り取り」における費用対効果で、検索エンジンにソーシャルメディアはおそらく今後ずっと勝てません。すでに購買意欲が高まったユーザーをコンバージョンへと導く術として、検索は今後もその頂点に立ち続けるでしょう。ではソーシャルは?「まだマーケティングファネルの入口にいるユーザーを先に進めさせるものであって」……となるとその手段はソーシャルメディア以外にもたくさんあります。

ソーシャルメディアのビジネスポテンシャルがどこにあるのか。2011年11月にリリースされたTNSの「‘Digital waste’ pollutes the online world as brands fail to listen to what people want 」というやや過激なタイトルの調査サマリーがあります。ここでは先進国市場の顧客のうち60%近くがソーシャルメディア上で企業ブランドとは繋がりたくないと答えている実情が明かされており、代わりに企業の誤ったデジタル戦略によって「友達のいないFacebookアカウントから誰も読まないブログ=デジタルのごみ」が大量に生み出されていると指摘されています。

It found that 57 per cent of people*** in developed markets* do not want to engage with brands via social media ? rising to 60 per cent in the US and 61 per cent in the UK. Instead, misguided digital strategies are generating mountains of digital waste, from friendless Facebook accounts to blogs no one reads.

こうした惨状は、企業がソーシャルメディアの重要性を認識しながらも、顧客に対して企業の存在がバランスがとれてかつ正当性のあるものでなければならない、つまりソーシャルメディアがあくまで顧客の側に属するものだということを理解できていないからだとサマリーにはあります。つまり「空気嫁」ということですね。

Matthew Froggatt explains: “Digital waste is the accumulation of thousands of brands rushing online without thinking who they want to talk to ? and why. Many brands have recognised the vast potential audiences available to them on social networks; however they are failing to understand that these spaces belong to the consumer and their presence needs to be proportionate and justified.”

この「these spaces(※筆者註 ソーシャルメディアのこと) belong to the consumer」=「ソーシャルメディアは顧客のもの」というフレーズがこのサマリーのキモでしょう。ソーシャルメディアを多くの顧客と事業者というプレイヤーがいる場所として見た時、それは圧倒的に顧客側の縄張りであるということです。おそらくこれはソーシャルメディアがソーシャルメディアである限り、変わらない事実だと思います。

アクティブサポートか、ビッグデータか

サマリーでは、ノイズを取り除きつついかに上手く顧客の声をすくい上げるか、という話が続きます。この方向性は、2つの流れに分岐していきます。「上」と「下」です。「下」は、下流工程、いわゆる「アクティブサポート」的な流れです。ソーシャルメディア上で可視化されたユーザーの声をカスタマーサポートに直結させるやり方です。もう1つ「上」はいわゆる「ビッグデータ」の流れです。SalesForceのイベント「CloudForce2011」では「ソーシャルCRM」の呼び声盛んでしたが、他のデータと組み合わせたうえで分析材料の一つにしてしまうやり方です。

しかしアクティブサポートにしろビッグデータにしろ、「今のところ」マーケティングというよりはCRM、つまり未来の顧客を生み出すマーケティングではなく、過去の顧客のメンテナンスに近い話になります。実務に落とし込んだ時、アクティブサポートはカスタマーサポートの担当者がやるとして、ソーシャルCRM的な話ははたして営業セクションの人間がそこまで業務として受け入れるのか、少し疑問が残ります。

「ソーシャルメディアをお金にできていない」ことを発端としたこのエントリでしたが、では各種公式アカウントの運用はマネタイズに繋がらないのでしょうか。また可視化されたデータの使い道は上記以外にもあるでしょう。(残り少ないですが)今月はここら辺をもう広げてみたいと思います。

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