ソーシャルメディアをWeb解析の視点から捉え直す

ソーシャルメディアを意識したWebサイト:グル―ポンの場合

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Groupon

以前のエントリで、ソーシャルメディアは「コンテクスト」を作るのに役に立つのだろうか、という話をしました。

ユーザーは背景を持っており、Webサイトは目的を持っている。これらを繋ぐのがサービスやコンテンツだったりするわけですが、これは自動的にマッチングされるわけではありません。ユーザーは自ら行動し、Webサイトの運営者はユーザーの背景を想定してサイトを設計する。互いに歩み寄っていくわけです。背景とユーザーとコンテンツと目的が全てピッタリ当てはまった時、ユーザーとWebサイトの運営者は双方ハッピーになれます。そしてこの4つの要素を一気通貫する言葉として、「コンテクスト」「ストーリー」といった言葉があります。
ソーシャルメディアは「コンテクスト」を作れるか

今回はこのシリーズの第1回目として、グル―ポンを取り上げてみます。

ソーシャルに相性の良いインセンティブ作り

最近はIPOの話題が中心になっているグル―ポンですが、登場した当初の勢いは(雨後の筍の成長速度も含め)驚異的でした。Webサービスの作り方としては非常にシンプルですが、ソーシャルメディアでのバイラルを前提に作り出され、かつ成功した数少ないモデルです。まずはグル―ポンというWebサービスの持つ「背景」「ユーザー」「コンテンツ」「目的」を考えてみたいと思います。

まずはグル―ポンの「目的」ですが、エンドユーザーに与える体験という観点でみると、「格安のクーポンをユーザーに買ってもらう」といったところになります。「コンテンツ」としては格安のクーポン券の紹介ページ。グル―ポンが登場した当初は、トップページに「本日のクーポン」があるだけの非常にシンプルな作りでした。「背景」については、当初は特に何か目的や問題意識を持ったユーザーを想定していなかったと思われます。

初期グル―ポンの優れていた点は、クーポンを大量にさばくためのマーケティング活動を、ユーザー側に投げた点にあります。「クーポンは一定人数購入者が揃わないと成立しない」というシステムを取り、かつ成立までの時限を設定しました。これにより、クーポンを広めるインセンティブがユーザー側に発生します。そしてユーザーが手っ取り速く自分の欲しいクーポンの情報を他人に教える手段として、ソーシャルメディアが利用されました。Webサイトの構造から考えても、グル―ポンは自然検索を念頭に置いてはいません。Twitterのリツイートの92%は1時間以内にされるという調査結果がありますが、ソーシャルメディアの瞬間的な情報伝達力は、グル―ポンの時限性と成立条件という2つの要素に極めてマッチしていました。

グル―ポンの限界

さて、「背景」について特にグル―ポンは想定していなかったと書きましたが、何らかの目的や問題意識を「持たない」ユーザーに対して、恒常的にクーポンを買ってもらい、かつ広めてもらうのはなかなか困難です。時限性と成立条件によって、バイラルするインセンティブは設計できました。しかし肝心の購入インセンティブは、「安い」「行ってみたい」といった最大公約数的なものに限られます(今、国内のグル―ポンは成立条件を撤廃しています)。やはり何らかの背景を持たないユーザーに広範囲にリーチするには広告しかなく、購入のインセンティブを作る部分に資金(ここには「魅力的なクーポンを用意する」ことも含まれます)を使えない企業は、グル―ポン市場から撤退していきました。

瞬間的な爆発力という、ソーシャルメディアの特徴を生かしたグル―ポン。しかしその中でユーザーをセグメント化し、彼らの持つ問題意識や目的を洗い出して、恒常的なアクセスに繋げるというプロセスにまでは至っていません。それはソーシャルメディアの持つ弱点なのでしょうか。次回はこうしたユーザーごとの違いがソーシャルメディアによって可視化できることを利用したサービスを取り上げようと思います。

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