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SaaSが本物であると実感できなかった

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IT利用形態の今後のメガトレンドは、すなわちITビジネスモデルの今後のメガトレンドはサービス化(電気、ガス、水道などに見られるユーティリティ化)です。ハウジングやホスティングのデータセンターの普及、レンタルサーバなどの普及は、明らかにその予兆です。

社会基盤として、電線やガス管や水道管の様にデータ通信網が整ってきた今、自社内にサーバを自営する必然性は失われてきました。ならば、そのサーバの上に構築してきたアプリケーションも自社開発やパッケージ購入から、ASPの利用に向かうのは新しい必然です。

ところが、ネットワーク、サーバ、データベースなどのIT基盤、更にメール、スプレットシートなどのITツールは共同利用で問題はありませんが、アプリケーションとなるとそうは行きません。

業種、業態、各企業の戦略によって、他社とまったく同じ仕様のアプリケーションを使えば済むというものではありません。ビジネスプロセスの効率化どころか、阻害要因になりかねない場合もあるからです。

パッケージを導入する際は、カスタマイズをしないで、ビジネスプロセスをグローバルスタンダードのパッケージに合わすべきだとの議論が、まことしやかに語られてきました。これはパッケージベンダー側の論理、乃至は安易なカスタマイズへの警句と捉えるべきです。システムをビジネスプロセスの阻害要因にしないための最低限のカスタマイズは必要です。

但し、初期のカスタマイズにコストがかかることは勿論ですが、これはマネージできます。将来のバージョンアップ時のコストは、導入時に予想することは不可能です。

従来のASPがカスタマイズ可能なSaaSになってきたことは福音ですが、バージョンアップ時の問題が解決されているのかは大いに疑問です。そこで、SaaSのセミナーに参加してみました。

先ず、現状のSaaSは何故CRMが多いのか?
これは、CRMのアプリケーション機能がERPに比べると至ってシンプルで、業種、業態、各国の規制などの影響をあまり受けないからだと思います。
さて、話を本題のカスタマイズ問題に戻しましょう。
カスタマイズツールとして、どのSaaSでも、UIの変更、ロールの設定などのパラメータ変更環境であるビルダー、他システムとの連携を可能とするAPI、プロセスを追加するためのスクリプトを提供しています。

これだけの説明では、従来のパッケージのカスタマイズ性とバージョンアップ時の問題に何ら変るものがないのではないでしょうか?
それでいて、カスタマイズ後のバージョンアップは一応保障していますが、事前にテストだけは御願いしていますとのことでした。

スムーズなカスタマイズと、その後のスムーズなバージョンアップが可能かどうかは、本体のアプリケーションのシステム構造によるところが多いと思いますが、従来のパッケージと違って、こういう作り方になっているのでカスタマイズ後のバージョンアップも問題ありませんといった説明が聞きたかったのですが無理でした。

価格体系も問題です。SaaSCRMの使用料は公表されているところでは、6,500円~12,000円/ID/月位です。10人で使うにはいいかもしれませんが、1,000人で10,000円/ID/月としますと、月額1,000万円のコストになります。
SaaSのマーケットは、初期導入費用が問題となるSMBと決めつけるからこのような価格体系になるのではないでしょうか?

ということで、現状のSaaSがアプリケーションの本質的問題であるカスタマイズに対する解決策を持っているのかどうかは不明のままで、SMBだけをターゲットにした揺籃期にあることだけは理解できました

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