バイラル動画で振り返るレディ・ガガの歴史<「Just Dance」から「Google Chrome: Lady Gaga」まで>
5月20日に公開されたばかりのグーグルの動画広告「Google Chrome: Lady Gaga」はもう視聴されただろうか。タイトルにある通り、表向きはグーグルとレディ・ガガのコラボによるGoogle Chromeの動画広告のように見えるのだが、肝心の内容の方は、完全にレディ・ガガ3枚目のシングル「The Edge of Glory」のプロモーション・ビデオになっていると言っていいだろう。
■ 「Google Chrome: Lady Gaga」
この「Google Chrome: Lady Gaga」、レディ・ガガ本人が登場する時間はあまり多くないが、レディ・ガガがアップルのMacBook Proを使って、TwitterやYouTubeでファンと交流するシーン出てきたり、リトルモンスター(彼女の熱狂的なファンのこと)たちが「The Edge of Glory」を歌っているシーンがあったりと、完全にレディ・ガガ一色の内容となっている。それでいて、Google Chromeのアピールもしっかりされている、グーグルとレディ・ガガ双方にとってメリットのある珍しい動画広告だと言っていいだろう。
それにしても、この「Google Chrome: Lady Gaga」のバイラル速度が凄い。以下の図は、私のブログで何度も紹介してきた、最近公開されたGoogle Chromeの動画広告3つのソーシャルメディアにシェアされた回数と視聴された回数を比較したものである。”Share/24H”は1日平均ののにソーシャルメディアにシェアされた回数で、対象となっているソーシャルメディアはフェイスブック、ツイッター、ブログだ。”All”は公開されてから現在までの合計になる。同じく”View/24H”は1日平均の動画の視聴回数を表している。
こうして比較してみると、「Google Chrome: Lady Gaga」がいかに他の2つの動画広告と比べて、バイラルして行くスピードがケタ違いかということがわかる。「Google Chrome: Lady Gaga」は、他の2つの動画広告より2週間以上も遅れて公開されているというのに、シェアされた回数の合計ではすでに他の2つを上回っているし、視聴された回数でも他の2つを超えるのはもう時間の問題というところまできている。他の2つも、動画広告というカテゴリーで見れば決して低い数字ではない。いかに「Google Chrome: Lady Gaga」のバイラル速度が突出しているかということがわかっていただけるかと思う。
「Google Chrome: Lady Gaga」以外にも、このブログで紹介済みのzyngaの動画広告「GaGaVille(ガガビル)」という、ちょっと変わった動画広告もある。こちらはレディ・ガガ本人は全く登場しないのだが、レディ・ガガの世界観がそのままが繰り広げられていて、本人が登場しないレディ・ガガのプロモーション・ビデオ、と言ってもいいような内容になっている。
企業が主導権を握っているはずの動画広告の分野にまで進出してきたレディ・ガガ。最近公開された2つの動画広告の存在を知って、急にレディ・ガガの歴史をバイラル動画という視点から振り返ってみたくなった。ということで、下の図「レディ・ガガのバイラル動画年表 <2008-2011>」を参照してみてほしい。この図は、レディ・ガガのバイラル動画を年代順に整理したものである。横軸が年、縦軸が月を表しているので、左上が最も古く、右下が最新ということになる。
■ 2008年に公開されたお薦めバイラル動画
・「Just Dance」(2008年 5月公開)
・「Poker Face」(2008年11月公開)
2008年はレディ・ガガがメジャー・デビューした年だ。デビュー・アルバム「フェイム」からシングル・カットされた、デビュー曲の「Just Dance」と2枚目のシングル「Poker Face」のミュージック・ビデオは、レディ・ガガ初期の代表的なバイラル動画としてあまりにも有名だ。すでに、「Just Dance」は2億7千万回、「Poker Face」は3億7千万回も視聴されており、この2つのバイラル動画からレディ・ガガの歴史が始まったと言ってもいいだろう。参考までに、独自に集計した「バイラル動画1億回ビュークラブ」では、「Just Dance」は20位、「Poker Face」は堂々9位にランクされている。
余談になるが、「Just Dance」と「Poker Face」は、本業のCDセールスの面でも大成功を収めており、共に全米のシングルチャートで1位を獲得している。この快挙に、二つのバイラル動画が大きな貢献を果たしたであろうことは、疑いようがないだろう。
■ 2009年に公開されたお薦めバイラル動画
・「Boys Boys Boys」(2009年1月公開)
・「LoveGame」(2009年6月公開)
・「Eh, Eh (Nothing Else I Can Say) 」(2009年6月公開)
・「Bad Romance」(2009年11月公開)
・「Paparazzi」(2009年11月公開)
2009年、レディ・ガガのバイラル動画指数はヒートアップする。前半から立て続けに「Boys Boys Boys」「LoveGame」「Eh, Eh(Nothing Else I Can Say)」と印象的なバイラル動画を公開する。特に、「LoveGame」は7千8百万回、「Eh, Eh(Nothing Else I Can Say)」は4千5百万回と、両方とも1億回には及ばないものの、モンスター級の視聴回数を誇る印象的なバイラル動画となった。
しかし、2009年を代表するレディ・ガガのバイラル動画と言えば、この年の11月に公開された「Bad Romance」をおいて他にない。4億近い視聴回数は、「バイラル動画1億回ビュークラブ」のランキングにおいても堂々8位にランクされる数字で、レディ・ガガ最大の視聴回数を記録したバイラル動画として今後も長く語り継がれるだろう。
■ 2010年に公開されたお薦めバイラル動画
・「Telephone ft. Beyonce」(2010年3月公開)
・「Alejandr」(2010年6月公開)
2010年は、3月に公開された「Telephone ft. Beyonce」が話題をさらった。前半の刑務所を舞台にしたシーンといい、後半のビヨンセとの共演シーンといい、今見てもワクワクするような非常に完成度の高いバイラル動画だ。視聴回数も1億回を達成している。
同年6月に公開された「Alejandro」も忘れられないバイラル動画だ。「Telephone ft. Beyonce」とは違って、全編に幻想的かつ淫靡な雰囲気が漂う、ある意味レディ・ガガらしいバイラル動画だと言っていいだろう。これも1億4千万回という驚異的な視聴回数を記録している。
また、この年の4月には、アメリカの雑誌「タイム」が選ぶ、世界で最も影響力のある有名人100人を選出する「タイム100」で、アーティスト部門の1位に輝いている。また、4月16日には、YouTubeにおけるミュージック・ビデオの累計再生回数が10億回以上という新記録も樹立している。
■ 2011年に公開されたお薦めバイラル動画
・「Born This Way」(2011年2月公開)
・「Judas」(2011年5月公開)
・「Google Chrome」(2011年5月公開)
2011年は、2月11日にシングル発売された「ボーン・ディス・ウェイ」のミュージック・ビデオ「Born This Way」で幕を開ける。楽曲の方は、世界23ヵ国のiTunes音楽チャートでダウンロード数1位を記録したり、メディアやファンからマドンナの「エクスプレス・ユアセルフ」に酷似しているなどといった批判を受けるなど、いろんな面で注目を浴びることになった。ミュージック・ビデオの方も、2月に公開されたばかりだというのに、すでに5千万回という視聴回数を記録しており、「バイラル動画1億回ビュークラブ」入りも時間の問題だと思われる。
そして、まだ記憶に新しい「Judas」。こちらも、5月に公開したばかりだというのに、すでに4千万回近くも視聴されている。「Born This Way」同様、「バイラル動画1億回ビュークラブ」入りが確実なバイラル動画だ。
■ 視聴回数TOP10とシェア回数TOP10
下の図は、視聴回数とシェア回数から見たTOP10のランキング表だ。「Bad Romance」が両部門の1位にランキングされており、現時点におけるレディ・ガガのNO1バイラル動画ということになる。また、1億回以上視聴されたバイラル動画が5つ、100万回以上シェアされたバイラル動画が4つあるのが目立つ。
今後は、「Judas」がどこまで記録を伸ばせるかに注目したい。また、「Judas」以上のバイラル動画が出てくる可能性も十分あることから、レディ・ガガのバイラル動画に関する動向からしばらく目を離すことができそうもない。
今回紹介したバイラル動画は、どれも素晴らしい作品ばかりだ。これを機会に是非視聴してみてほしい。気に入ったら、シェアすることもお忘れなく。