何故、今のIT業界が昔と違うのか、もう少しわかりやすく説明します。
先日のセミナー、「次世代IT時代に向けた新コンセプトSCAM提言セミナー」は、おかげさまで大変盛況の内に終了しました。また、色んな方との出会い(新旧含め)があり、その中から頂いたご意見も大変刺激的なものでした。
是非、第2弾を企画したいと思いますので、そのテームを含め、吟味をしていきたい、と思ってます。その一つのヒントとして、題目のテーマについて、最近は良くクライアント様からも相談を受けており、その支援を日夜行なってます。こういったクライアント様に紹介している新時代のITのコンセプトを下記の様に紹介しています。
今の業界はどういう点で昔と違うのか
- 選択の幅の急増(何が売れるのかがもはやわからない世界)
- クラウド
クラウドの登場により、クラウド上のエコシステムで提供されるアプリケーションが急増しています。どのクラウドプラットホームも、マーケットプレイスを提供し、様々なアプリをカテゴリー毎に整備しています。
- SaaSアプリ
さらに、SaaSの普及による、すぐに使えるサブスクリプション型のアプリも本当にいっぱい存在します。こちらもカテゴリー毎に非常に数が増えており、熱い市場です。
- オープンソース
オープンソースの更なる浸透による、無償で利用出来るソフトウェアも世の中にはいっぱいあります。
- ITバブルの時代
言うまでもなく、上記の要因で、一種のITバブルの時代が来ており、新興企業が急増してます。
- 多くが無償、もしくは初期投資の低い,サブスクリプション型で利用可能
これらの新しい時代のソフトウェアは、多くがサブスクリプション型の課金モデルを採用しており、殆ど初期投資無く、導入する事が出来ます。物によってはものの5分で使えるものも多いです。こういう時代なので、アプリケーションの評価の際には、複数のソフトウェアを同時に使い、一番良いものを選択する方式が可能です。一社の技術を、机上の議論で厳選し、採用する時代はもう終わっている、と言えます。
- IT業界全体がコンシューマ化している
ユーザの視点でアプリケーションを開発しているベンダーがむしろ多いのが今の世の中です。競争も激しいので、そういう視点で開発し、市場への早期浸透を狙う必要が有るからです。つまり、ROIがすぐに出る事が、製品としての価値として重要な要件になってきている、という事です。
- Apple New ITの様なコンセプトが登場、ユーザ視点でのITに注目が
AppleのNew ITのコンセプトが示す様な、今までのITの考え方を打ち破った提案が他のITベンダーからも打ち出されています。正に、コンシューマの立場からITを見据えた戦略です。ちなみに、Appleが主張しているポイントは、構築が楽で有る事、BYODの普及、セキュリティの自然な統合、スケーラビリティの自動化、アプリの導入の自動化/迅速化、等です。
日本市場に対する影響
- 輸入障壁がなくなった
SaaSの市場では顕著ですが,日本法人の立ち上げどころか、日本語のサイトの立ち上がらないうちから日本人のユーザがアプリケーションを利用する時代になってます。クラウドやSaaSの最大のメリットは、従来の輸入障壁が無くなっている、という事です。今や、良いアプリは、日本法人の設立を待つまでもなく、日本国内でユーザを増やす事が可能になっており、現に成功しているベンダーも表れています。
- 色々なソフトウェアを組み合わせる事による新しい価値創造が可能
当然ながら、クラウド上でアプリを使う環境に於いては、アプリ間の疎結合が非常に簡単であり、多くのアプリは、Integration APIと称して、SaaS間のデータ/メッセージ交換が出来る様な構造を持っています。このデフォルトの機能を使わないのは実に勿体なく、色んなアプリ統合をためしながら、良い組み合わせをソリューション化する事が可能な時代です。
- 企業データ管理はクラウドを主軸に置き、それを各種クラウドアプリが利用するモデル
殆どのアプリは基本的にデータを加工して何らかの付加価値を出すものです。そのデータにアクセスしやすいアーキテクチャを採用する事が、こういった新しいアプリを利用しやすくする環境になりますので、企業のデータ管理・運用戦略は、クラウド上でデータを管理するアーキテクチャの採用をしっかり行なう事がこういった次世代のアプリ採用の鍵になると思います。
- あまりにも選択が多くなり、何が一番いいのか、選択に悩む
このような時代において、何が一番いいのか、本当に選ぶのが難しくなってきています。しかし、考えようによっては、誰も使っていないアプリを採用する事により、競合他社より遥かに優れた生産性を実現したり、ROIを実現したりする可能性が高くなっている、という事です。今や、自分だけのキラーアプリ、というものを確立する事が出来る時代です。
これからのIT業界に必要なもの
- 良いソフトウェアとそうでないものをちゃんと見分ける能力をつける必要あり
良いものは導入し、良くないものはすぐに捨てられる柔軟性。これはそんなに難しくないと思いますが、評価の基準、手続を決め、色んなソフトに適用し、比較する事がポイントだと思います。最初はその基準の設定に時間がかかる可能性はありますが,短時間で行なえる様な手法を確立するのは然程難しくない、と思います。
- 独自の評価基準(IT導入ポリシー)を作るべし
他(特に競合他社)で使っているかどうか、という観点でソフトウェアを評価するのでは無く、他が使っていないからこそ自社の差別化になりうる、という目でソフトウェアを選択すべきだと思います。この新しい時代においては、誰よりも先にITを有効活用する事が業界の先陣を切って走るための条件になりますので、是非その考え方を企業内に徹底する事が大事だと思います。ただし、ゲームを買うわけではないので、企業のコンプライアンス、ガバナンス上、セキュリティ、プライバシー、等の最低限の条件は明確にする事は大事です。大抵のSaaSアプリはこの辺のポリシーを明文化しています。
- 日本国内に拠点が無くても、製品を使用出来る文化を企業内に作るべし
日本国内に於いてサポート拠点が有るかどうか、という点で製品の評価をすべきでは無い、と考えます。確かに不安は色々と有ると思いますが,どのアプリケーションベンダーも、顧客サポートの窓口は設定しており、対応のレベルは異なりますが,顧客満足度の優先度は他界はずです。
逆に、日本に拠点があるから良い製品である、という証明には全くなりません。良くあるパターンとしては、オープンソースで日本国内のコミュニティが妙に盛り上がっていて、その製品が日本国内だけで売れている、という現象や、ある特定のUS企業が日本の特定SIと組んで、先行的に日本に法人を立てて、事業を展開するパターン。欧米でも同じく売れている製品であれば、ある程度信憑性がありますが,それが見えないとどうしてもその日本の拠点の存在だけで製品を選んでしまうケースがあります。
小生の仕事は、こういった日本の企業に対して、北米を中心としたITの新商材を紹介し、導入の支援を行なう事です。従来は、IT系の商社が中心の市場でしたが、この新しい時代に於けるIT業界では、もう少しAgileで、フットワークの聞くパートナーが必要なのでは、という気概で、活発に活動してます。
主としてアメリカを拠点に活動していますが,日本側で一緒に活動してくれるパートナーを大募集しています。もし、この新しいIT業界で活発に新しい商材を日本のお客様に紹介してビジネスを広げたい、と思っている方がいらしたら、是非連絡をください!
鈴木いっぺい