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アメリカのIT業界を渡り歩いたビジネスコンサルタントがユニークな切り口で新時代のIT市場を分析

SCAM(Social Cloud Analytics Mobile)のコンセプトについて

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また、投稿に凄い長い間が空いてしまいました。

最近のニュースでは、Rackspace Hostingの行く末に関する話題や、他のクラウドベンダーの動向もニュースとして相変わらず多く、登場している様です。

毎日、大量の発表記事や、ブログ、分析記事等を読んでますと、大方出て来る話、それに対する分析結果、今後の予測等は似た様な話が多く、あまり悩む事無く情報を整理する事が出来ますが,時折、ユニークな角度から情報を分析し、新たな考えかたを紹介する情報が見つかる時は、ときめく事もあります。

次のデータは、こういったちょっと違う角度から業界を見た意見で、ここ一月の間に登場したものをリストアップします。

  1. クラウド(IaaS) 市場の2極化:
    要は、AWSとそれに追随する事業と、それと真っ向から対抗する事業とで、IaaS 業界は今後2つに分かれる、という見方です。AWS型とは、当然ながら非常に大きな市場シェアを持つAWSのモデルそのもので、比較的セルフ型(SIを殆ど必要としない)で、そこに乗っかるエコシステムもかなり大きい市場です。アメリカはIT組織が強い会社も多いので、そこにアピール出来るレベルが提供出来れば万全。ただし、厳しいー価格競争にさらされます。一方、対抗するモデルは、例えばIBMの様な全体ソリューションの一環としてIaaSを提供するモデルで、SIがしっかりコンサル、導入支援、コスト管理、保守/サポート、等の人的リソースをかけた形でのクラウドモデルです。これも従来型のエンタプライズ市場が既存のIT利用の延長線上に高セキュリティ、高信頼性を求める際の答えとして選ぶケースが多い様です。ポイントは、クラウドサービスを提供する立場としては、この2つの内のどちらかに決め撃ちをしてビジネス戦略を立てる必要が有る、という事。両方やって成功する確立は非常に低いと思うべき。(RackSpaceが何でああいう状態に陥ったのか,少し見えてきませんか?)
  2. クラウドベンダーの独自チップの開発
    既に、AWS, Google等が自社のクラウドデータセンタ向けのサーバブレードのデザインをしていますが、さらにチップのカスタマイズにも着手しています。もはや、汎用コンピュータ、という言葉が消えてなくなる日が来るかもしれません。台湾勢のサーバメーカもこれにはビビっているのでは、と思います。
  3. OpenStackには賛否両論
    先日のOpenStackサミットは大変好評で、多くの発表が行なわれましたが、誕生してから4年経った今、エンドユーザの数が異常に少ない、という指摘が目立ちます。利用しているユーザはそれなりに有るとは言いながら、本格的に採用しているケースがあまりにも少なく、何故本格採用に踏み切る事が出来ないのか、という分析をしている記事が多いです。OSFに参加しているベンダー、いっぱいいますが,それぞれの思惑、というか目的が違う、という事がこのコンソーシアムの問題だ、という話は昔から有りました。RackSpaceに変わる強力なリーダとして、HPや、Red Hat等に大きな期待が寄せられていますが,果たしてその辺の動向がどうなるのか。
  4. 価格戦争
    最近の特徴は、値下げ戦略をGoogleが先行して行なった、という点。今まではほぼ100%、AWSが先行的に値下げを断行、他社(Google, Azure)がそれに追随する、というパターンでしたが、Googleがかなり戦略を打ち出し始めている,という点が気になります。アジアへの展開(データセンタの開設、企業買収資金$300億ドルの表毎)等が特に情報として気になるところです。
  5. クラウドストレージ事業の競争激化
    EMCの一連のViPRがらみの発表、等がBox.netのIPOを阻止するかの様なタイミングで行なわれたり、上記のクラウドの価格競争の大きな核はストレージ価格の劇的な値下げ断行です。クラウドストレージ業界は、一番厳しい局面を迎えている業界の一つです。
  6. IoTクラウドの登場
    これは暫く前から予測はされていましたが、最近具体的な動きが出てきています。テレコムキャリア各社の戦略は当然ながらも、上位のサービスとして、IoTの様なデータ転送量は少ないけどコネクションノードの数が異常に多いIoT専用の無線回線サービス事業の発表や、IoT専用のサーチエンジンの発表等、IT業界にクラウドが登場したのと全く同じパターンが始まりつつ有ります。
  7. IoT業界の怖さ
    対象と成るノードの数、収集分析するデータの総量、セキュリティの課題,等、今までのITの世界、テレコムの世界にとっても桁が2つから3つ多い、恐ろしく大きい世界が展開される、という話題が、医療業界、自動車業界、ユーティリティ業界(スマートホーム含む)を始め、広く期待と共に,懸念として広がってます。この規模感をしっかりサポート出来るインフラ事業者、というと、自ずと制限されて来る、という事もよく考えておく必要が有ります。データを押さえたものが勝負に勝てる,という小生のコンセプトを裏付ける要因の一つです。

この辺の話を出来るだけ簡潔に整理し、セミナー,という形で下記のイベントを企画しました。勿論、無料ですので、もしご都合がつくのであれば,是非おいで頂き、熱い議論を一緒に出来れば、と思ってます。

来日緊急講演!鈴木逸平氏による「次世代IT時代に向けた新コンセプトSCAM提言」セミナー

クラウドが登場してはや5年程、一時期はその存在価値すらも怪しまれていた時代がまるで嘘の様に、今日はITプラットホームとしてのIaaS、開発プラットホームとしてのPaaS、そしてそれ以前よりSaaSが事業として成長し、今は全てがうまく統合され、共存しているかの様に見えます。このプレゼンに於いては、もう少しマクロにITが現在向かっている方向を解説し、クラウドがその中の単なる一コンポーネント、一つの踏み台でしかない、という事を仮説の中で市場がどこに向かっているのか、そしてその動きの中でどのような取り組みが重要なのか、分析した結果をご報告します。この中で一つ、大きなポイントとして「データの重要性」に特にフォーカスを置きます。この新しいIT世代(IDCでは第3世代と呼びますが)において、何故データがそんなに大事なのか、出来るだけわかりやすくご説明します。

日時:5/28(水)午後7:00〜 (懇親会あり)

場所:株式会社 構造計画研究所 中野イノベーションイノベーションオフィス

   東京都 中野区 中野 4-10-2 中野セントラルパーク サウス 2F

お申し込みURL:  http://www.zusaar.com/event/13397009

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