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Forrester Researchが発表した、2011年のクラウド予測

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年末になると、各紙は来年のクラウドコンピューティングの市場についての予測を出し始めます。

その一つとして、Forrester Research社のJames Staten氏の記事を紹介。

大きな傾向として、2011年は、今年(2010年)がAmazon Web Services一色だったのに比較して、複数のベンダーがそれぞれ特長を活かした、「順調に市場が成長する」1年になる、と予測している。

下記が同氏が予測している9つの傾向である。

1. クラウドをうまく利用した「勝ち組」企業の登場
Forresterは"Empowered"という名前のレポートを発行しており、新しい時代の業界リーダーの登場を促している。この新しいリーダーは、従来無かった方法で新しい技術を積極的に採用し、企業間の通信、顧客サポート、新製品のデザイン、等の面において今まで無かった新しい価値観を生み、成功するとしている。クラウドサービスは重要な要素になる、としている。

2. プライベートクラウドは失敗する
2010年は非常に話題になったプライベートクラウドはことごとく失敗する、としている。ただし、失敗から学ぶ事は大きく、結果的にクラウドの本質的な価値が理解される、との事。
(Microsoftが最近発表した、"The Economics of the Cloud"と呼ばれるレポートを発表しており、プライベートクラウドがROIの面でパブリッククラウドの価値比較して想像以上に劣る、と報告してる)

3. コミュニティクラウドの登場
バイオテクノロジー等の業界では、業界関連企業が共同で情報や技術を共有し、FDA要件等の対応を迅速に行うような活動をクラウド上で展開してる。これは各業界内のコンプライアンスに対する意識が高まっており、共同活動を通してそれを効率よく実現している、という好例である。同じような活動が他の業界でも始まる事が想定されている。

4. アプリケーションがクラウド上のHPCを本格採用
Autodesk社が進めているProject Cumulus等、従来のクラウドインフラでは提供できなかった浮動小数点計算の多いアプリケーション等、HPCの世界のアプリケーションをクラウド化する動きがより活発になる、と予測されている。

5. クラウド経済が本格化
クラウド経済の基本は、「必要なだけ使い、必要なだけ支払う」である。ただし、実際にそれをシステムとして実現するのは難しいのが現実。最も経済的に生産性の高いクラウドソリューションを選ぶのか、が最大の課題である、としている。

6. BI(Business Intelligence)で大成功する人の登場
従来のBIと比較して、クラウドインフラでBIを活用する事によって、リアルタイム、かつシステム間に共通した新しい情報処理能力に気づく会社が登場する。この変化によって得られる成果は大きく、大きく成長できる可能性を秘めている、と予測している。 

7. 企業情報を収益に直結できる方法論
企業内で今まで奥深く隠されていた情報の新しい活用方法が生まれるだけではなく、クラウド上にその情報を移行する事によって、ビジネス収益に直結できる情報管理の方法論が登場する。

8. クラウド標準化は断念
2011においても、クラウドを標準化させようという動きはありつつも、まだ時期尚早である。標準化を当てにした事業計画はあまり得策ではない、と予測している。

9. クラウドセキュリティは共同作業
単独の会社がクラウド上のセキュリティを実現するのではなく、クラウドプロバイダー各社、セキュリティベンダー、そして顧客のセキュリティポリシーの共同活動によって成果が上がる、と予測している。企業としては、まず自社のアプリケーション自体のセキュリティ強化に注目すべし、としている。

クラウドのコンセプトが登場して、Amazon Web Servicesが市場でその事業を開始してからもう5年以上がたち、今となってはクラウドを意識していないITソリューションを探す方が難しくなってきている時代になっている。 クラウドコンピューティングを採用した事例が多く登場する中、失敗する事例も当然のように多くなってきており、数多くの事例に中から最もクラウドをうまく利用する方法論をまとめるタイミングにきているように感じる。

もう今となっては、クラウドを「目新しい技術」という位置づけにすることができない、という事である。

http://www.information-management.com/news/Top-10-Cloud-Computing-Predictions-10019115-1.html

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