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広告を減らしてアンバサダーといい関係を築けないか ~『アンバサダー・マーケティング』を読んで

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自分がまだ社会人になりたての頃、会社の上司に「君のコストは一日○○円だからその意識で仕事して欲しい」と言われた記憶が今でも強く残っています。

当初は自分にそれだけの価値が無いのではないかという不安にかられたりもしましたが、やがてそれは慢心に変わりました。一日分の仕事をすれば○○円分を請求できて当然といったような気分です。この慢心な感じの気分はずっと続きました。

今思えば、人間はカネで動くものだという考え方は、自分が社会人になったときに受けた洗脳のようなものです。

しかし世の中には全く無報酬で動いている人たちがたくさんいます。いわゆるボランティア活動だけではありません。卑近なところでいえばネットで書評を詳しく書いている人たちもそうです。好きな人に親切にする行為も無報酬です。

いや、自分が無報酬で動かなかったということは全くなく、そういう側面もあるということに気づいていなかっただけなのです。

恥ずかしながら自分は独立してはじめて無報酬で動く人たちの心理が分かるようになりました。我ながら笑ってしまいますが、洗脳が解けたのは「お金をもらえないのに、自分はどうして動いているんだろう」と自問自答したからです。



無報酬で活動する大使=アンバサダー

人を動かす動機には外発的動機と内発的動機とがあります。カネや罰などは外発的動機になりますが、自分の心の中から出てくる好奇心や愛情は内発的動機だと言われます。

不思議なもので、内発的動機が働いているときは、カネの魅力が無くなるんですね。というか金銭的な報酬をちらつかされると反発さえ感じるものだと思います。

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マーケティングの分野においても、最近は広告や販促に代わって、無報酬で発せられている口コミ情報がとても大きな影響力を持つようになってきました。「アンバサダー」という、会社や商品を熱烈に応援してくれる人たちのことです。

アンバサダーとは直訳すれば大使のことですが、大使には広い概念でいえば報酬を受け取って活動している人もいますので、アンバサダーとは正確には「無報酬で活動する大使」という定義になります。

例えば私の知人には、アップルをこよなく愛し新製品が出るや真っ先に買って前のバージョンからの改善点を教えてくれる人がいます。また別の知人は、ベンツの乗り心地をとうとうと語ってくれます。

私が薦められるままに買うかどうかは分かりませんが(笑)、私の将来の買い物に影響を与えているのは間違いないでしょう。こういう知人たちは紛れもないアンバサダーです。

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アンバサダーといい関係を築けないか

アンバサダーは企業の収益にも影響力を及ぼします。米国のイェルプという地域情報サイトでは、評価が星1つ増えたレストランの売上げは5~9%増えると言われています。

アンバサダーは身の回りにいる潜在顧客にしきりに話しかけ、会社や商品を紹介するのです。ですから企業のマーケティング担当者はアンバサダーの力を使わない手はありません!

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しかし現状はこのアンバサダーが誰なのか、そしていつ商品の紹介をしてくれているのかが見えていません。

ですから肝心なことは、アンバサダーが誰なのかを探し当て、その人に売上げ拡大に貢献してもらえるよう働きかけることだということになります。そして注意すべきことは、アンバサダーにカネではない無形の報酬を与えることです。アンバサダーが書いたレビューに感謝の言葉を贈ったり、シェアするだけでもそれは報酬になります。間違っても金銭で報いてはいけません。

そうすればこの「信頼の三角形」が完成し、マーケターは計画的に売上げを大きくする流れを掴むことができるようになります。この信頼の三角形は、アンバサダー・マーケティングのパイオニア、ロブ・フィジェッタ氏が唱えているものです。

こうしたことができるようになったのも、やはりというかネットが浸透してきたおかげではないでしょうか。

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そしてマーケターがアンバサダーを無形の報酬によってつなぎ止める鎖について、ロブ・フィジェッタ氏は4つのステップからなる方法論を提案しています。

1st 発掘
アンバサダーを発掘し、名前やメールアドレスなどの連絡先を入手する段階。アンバサダーになり得る人かどうかは、例えばこんな簡単なアンケート「知人に強く薦めようと思いますか? 0から10までの数字でお答えください」でも見分けることができます。

2nd 活性化
アンバサダーに呼びかけ、レビューを書いてもらったり、体験談をシェアしてもらったりすることで、好意的な口コミが広がるようにします。

3rd 動員
イベントなどに、アンバサダーたちに一時的に協力してもらうこと。ソーシャルメディア上で突然攻撃の標的になったときにも協力をいただきます。

4th 追跡
アンバサダーの情報を継続的に集めることで、キャンペーンなどの施策を最適化することです。

最近はソーシャルメディアによる口コミが急速に注目を集めていますが、それでも口コミのまだ9割はオフラインで行われていると言われます。アンバサダー・マーケティングの考え方は、ネットのさらなる浸透によってこれから本当に威力を増していくのかもしれませんね。



以上は以下の書籍を参考に書かせていただきました。私自身の解釈が入っていることをどうかご了承ください。

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アンバサダー・マーケティング
ロブ・フュジェッタ(著)、土方奈美(翻訳)、藤崎実(監修)、徳力基彦(解説)
日経BP社(刊行)


とくに「第4部 アンバサダー・マーケティング虎の巻」は、上記の4つのステップを詳述しており参考になります。アンバサダーを発掘する方法(最初のステップ)が意外にシンプルな方法だということに気づき、身近なプロジェクトで実践してみたくなりました。


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