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地方消滅と東京劣化は時間の問題

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地方消滅という言葉がありますがこれは字面通り地方が消えてしまうわけではありません。人口が減って行政サービスを成り立たせられなくなり、行政機能が他の自治体に吸収されてしまうことを言っているのでしょう。「消滅」というのは行政都合の言葉なのだと思います。

では反対に東京はどうなるのでしょうか。松谷明彦氏は『東京劣化』の中で、東京は将来的に、例えば2040年頃といったいう長いスパンで考えると、地方以上に深刻な高齢化問題を抱えることになると予想しています。「劣化」というのは交通インフラなどの都市機能が支えきれなくなり、都市がスラム化することを言うそうです。消滅はしないけれども劣化してしまうというのは困った問題です。

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東京劣化 (PHP新書)
松谷 明彦 (著)

日本全体の少子高齢化の趨勢は抗いようのないもので、地方と東京の人口動態はゼロサムどころかマイナスサムの競争にしかなっていません。東京の人口構成が若々しく保てているのは地方の若者を吸い上げているからに過ぎず、それは一時的なものになるだろうからです。他方、地方の高齢化問題が最近顕著に取り上げられているのは、団塊の世代(1947年~1949年生まれ、現在66~68歳前後)という巨大な人口の塊が日本の人口構成をいびつにし、年金などを支えている若者の負担を極大化しようとしているためです。この世代の方々のことを悪くいうつもりは毛頭ありませんが、政策によって人口をいじると50年、60年というスパンで社会にツケを回すことを松谷氏は指摘しています。

さて地方の高齢化問題はいずれ収束しますが、東京の高齢化問題は遅れてやってきます。高齢化問題の顕在化は早いか遅いかの違いに過ぎないともいえます。

これを抗いようのない将来の現実とすれば、私たちのこれからの人生設計にも大きな影響を与えるのではないでしょうか。これまで私たちはどんな仕事に就くかということだけじゃなく、場所についても悩んできました。とくに地方出身の人はそうではないでしょうか。私も地方出身の一人ですが、少なくとも今までは「東京のほうが地方よりはマシ」という気持ちが大きかったと思います。逆にこれからは「地方のほうが東京よりはマシ」という考え方が大きくなっていくのかもしれません。

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他方、消滅(行政機能の消滅)が危惧される地方にも消滅を早める問題がないとはいえません。松谷氏は地方のあり方についても3つのタブーを指摘しています。

1.若者の流出抑制をしても意味はない。若者の流出は止めようとしても止まるものではなく、仮に相当なインセンティブを設けて止めたとしても地方経済に大きな負担を強いる可能性がある。

2.大都市経済に接近してはいけない。大都市の企業や工場に進出してもらっても利益が循環せず、かえって地場産業を衰退させることになる。

3.市町村合併をしてはいけない。役場が集約されると元あった役場の周辺は確実に廃れる。集約により生活者の把握はしやすくなるが、無人空間の管理は今以上に難しくなる。

地方の人口減少問題の対策としてこれまで良しとしてやってきたことは、東京のような大都市の魅力に近づけようとする対処療法に過ぎなかったのでしょう。やりすぎればむしろ消滅を早める結果になるのかもしれません。これから移住を考えている方にとっても、ここに上げたタブーについて移住先の自治体がどんな考えを持っているかは確認しておきたいところですね。

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