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集中討議でメンバーのやる気を引き出したい〜内発的動機を最大限に引き出せ〜

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私が所属するケンブリッジは、企業の変革プロジェクトの支援をしているのだが、ここ最近「プロジェクトの立ち上げる前段階」での相談を多くいただく。
「プロジェクトをどう進めるか」という話の以前に、「どうしたらスムーズに立ち上げられるのだろうか」という悩みをお持ちの方は多い。

「現場メンバーに"抜本的な改革が必要である"と気付かせたい」という相談

先日もある会社で、業務改革推進部に所属しているA氏から、こんな相談をもらった。

長年大きく変化する事なく、脈々と続いてきたバックオフィス業務を変えたいのです。

近年立ち上がってきた新しい事業領域に対応できておらず、このタイミングで抜本的な改革をしないとマズイ。経営陣からの至上命題でもあります。しかし、現場のメンバーやマネージャー達はそんな気は全くなく・・・。抜本的な改革が必要なのに、各部署のメンバーは自分たちのやり方で十分効率的に回っていると思ってる。自分達の殻に閉じこもってしまう感じなんです。彼らは経営陣がやれっていっても全然行動しないんです・・・。

だから、集中討議のようなものをサクッとやって、やる気出させたい。改革の必要性を実感させたいのです。マインドが変われば改革にも前向きになり、いいスタートが切れると思いますから。外部の成功例、最新トレンドなんかを伝えて・・・改革に向けて気持ちを前向きにさせたいと思っています。

というお話。A氏のお話は理路整然としていて目的意識も明確だ。

ケンブリッジではこうした「集中討議」や「合宿」をしょっちゅう支援している。A氏の意図した通り、大きなプロジェクトの前に集中討議を実施するのはメンバーの気持ちをまとめるには最適だからだ。でも、いくつか気を付けるべきことがある。

図1.png
(とある会社での集中討議の雰囲気)


こちらの価値観を押し付けてはならない

この時私からお話ししたのは、「目的意識が強すぎて、危うい」ということ。どういうことかというと・・・。


A氏の中では、落とし所が「抜本的な改革が必要と感じさせること」にあり、いかにそこに向かわせるか、という発想になっている。
「抜本的な改革が必要なのに」は、あくまで彼の価値観だ。

集中討議やワークショップでよくある失敗は「主催者が引いたレールに乗せて、主催者の意図したところに連れて行く」こと。

これはあっという間に参加者に見透かされる。
「あ、ここに落としたいのね」と。
「結果が決まっている茶番のために、時間使うなんて馬鹿らしい」と。


本当に現場メンバーにやる気になってもらいたいなら、それではうまくいかない。むしろ逆効果になる。
よほど外圧を掛けて「やらなければクビだ。やれ!」と言った方がスッキリするだろう。

A氏の考え方は、推進者側の論理なのだ。推進者が考える「抜本的な改革」を絶対的な正解として、そこに導こうとしている。「社長もそう言ってる」から、と。「会社として決まったことだから」、と。

真に現場メンバーの内発的動機を引き出し、心の底からやる気になってもらいたいなら、それではいけない。

彼らには彼らの論理があるのだから、まずはフラットに議論することが大事なのではないかと思う。
最初にやるべきことは本音をぶちまけてもらうこと。単に感じてることをぶちまけてもらうだけでいい。「改革など不要」と思ってるならそれでいい。
主催者から一方的に何かを伝えるのではなく、何を考えているのかちゃんと聞くのである。

図2.jpg
(ある合宿で、壁一面にぶち撒けられた、「現場メンバーが感じている思いや課題」)

理解してから理解される。
相手の主張が十分理解できてから、違いを議論する

ぶちまけると案外、考えが一緒な部分もみえてくる。全然違うところもみえてくる。
そうなったら、違うところを論点として取り上げ、なぜ違うのか、どんな経験・価値観からそう言ってるのかを確認していけばいい。

その上で「どっちに向かっていくのが良いのか」を全員で議論すればいい。

この流れに、あらかじめ決められた筋書きはない。改革の必要性が実感できて、改革をやろうと思えるように」これやってアレやって、
ではなく、「改革が必要かどうか、みんなが腹落ちして結論を出せるように」議論を設計するのだ。

後者のアプローチだと何をどう議論するかはその場にならないとわからない。「これから何を議論するべきか、みんなで決めよう」というスタンスなのだ。
何をどの順番で議論すればスッキリするのかは、我々プロのコンサルタントが場を見極めて提案する。(議論の流れを瞬時に見極め、参加者を誘導しないように論点を設定しないといけないので難易度がべらぼうに高い。ケンブリッジでもこれができるのは一部のトップコンサルタントだけだ)

「自分達で納得して決めた感」が極めて重要になる。参加者が少しでも「誘導されている」と感じるとなにも生まれない。やらされ感やしらけた空気だけが残る。

私がこうした場をファシリテーションする時には
「何も決まってませんから、
ここでみんなの総意を作りたい。結果、"改革は不要"という結論でもいい。」と宣言して、意思決定のボタンを明示的に預けてしまうことも多い。数多くの集中討議をやってきたが、あらぬ方向に結論が向かうことはほとんどない。結局最初に主催者が考えていた結論に落ち着くことが多いのだが、大事なのは進め方なのだ。

事前にアプローチを設計できないため、進行の難度は極めて高いが、これが上手くいくと大きな力が生まれる。
内発的動機が最大化され、使命感に燃える熱い集団が誕生する。(この瞬間に立ち会えるのは最高にエキサイティングだ。感動で目頭が熱くなることすらある。だからコンサルタントはやめられない)

結論ありきではなく、みんなでゼロから方向性を導き出していく。これが集中討議やワークショップの本来の姿であるはずだ。あなたの集中討議はどうだろうか?決められた結論にたどり着くための集中討議になっていないだろうか?


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