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SAP Helps 南アフリカ Run Better ~(14)スワジランドで、エイズ孤児たちと

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スワジランド。みなさんも、そういう名前の国があることくらいは知っていたか、名前すら知らなかった、のどちらかではないだろうか。

この週末は、SAPアフリカがスポンサーしている、スワジランドの孤児支援団体「ヤング・ヒーローズ Young Heroes」のアレンジのもと、全員でスワジランドを訪問することになった。ヨハネスブルグからの距離は380キロ、4時間で到着するという。

ヴァン2台に分乗して出発。ヨハネスブルグから東へ向かうハイウェイは、大平原の中を進んでいく。しかしアメリカで見たことのある「真っ平ら」かつ「一直線」の道ではなく、緩やかながら常に起伏があり、左右にもけっこううねっている。しかし広い。人影もほとんど見かけない。

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それが、スワジランド国境の30分くらい手前から、突然山がちに変わった。そして山には、一面に林が。並びが完全にまっすぐなので、植林されているとわかるが、すごい大規模な林だ...

そして、スワジランド国境。実は陸路でまともな国境を超えるのは、私はこれが初めて。ヴァンを降り、窓口でパスポートを提示して、まず南アフリカを「出国」する。次に100mほど先のスワジランドで「入国」する。まあ12人一緒だし、運転手2人もいるので、気楽なものではあるが、それでもちょっと緊張?

ちなみにインド国籍と中国国籍の計3人は、スワジランド入国のためのビザ取得が必要で、そのためにかなりの手間をかけて今日に至っている。SAPのようにグローバル企業で働いていて、とくにインド人はそれこそ世界中で大活躍しているというのに、一方でビザという時代遅れなものを要求されるというこの事実。なんとも不思議な世界だ。

アメリカからメキシコに入ると、とたんに道路の舗装状況がガクンと悪くなったりするが、南アフリカからスワジランドに入っても、いきなり様相が一変したりということはなかった。ちなみにスワジランドの通貨エマランゲニ(表記はE)は、南アフリカの通貨ランド(表記はR)と完全にペッグされており、E100とあったらR100出せばOK。

ただ、南アフリカの携帯電話はいきなり使えなくなった。営業している会社はすべて南アフリカの会社なのだが、携帯電話は基地局単位でコントロールできるので、国を超えたら別契約、ということなのだろう。

国境から主要都市ムババーネまではクルマで30分弱。その先にある今回の目的地、ロバンバ・ネイバーフッド・ケア・ポイント(NCP)まではさらに30分弱。

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今回はヤング・ヒーローズからクレガニとセブシルの2人が出迎えてくれた。この2人は下記のビデオにも登場している。

今回の訪問は、単に遊ぶだけではない。ロバンバNCPに来る子供たちに、給食を作って食べさせるのだ。まずはスーパーで買い出し。メニSa14003ューは?ライス(コメ)、チキンの煮物、野菜サラダ、の3種だという。分量は60人前とのこと。

正直、子供60人というのがどのくらいの量なのか分からなかったが、セブシルが食材をカートに適当に放り込んでいくので、まあそのくらいでいいのかなと。

現地についた。子供たちが、大勢いる!またもや、元気いっぱいで群がってくる(笑)。

私は最初は料理班に入ったが、すぐにガツーンとショックを受ける

料理の前に手を洗いたいんだけど、と言ったら、水はないよと言われた。えっ、料理するのに、水はない?水道はなく、唯一の水は、手回し井戸でくみ上げたもの。それを運んでくるのは薄汚れたポリバケツ。日本では料理どころか、手を洗うのにも使わないくらいの清潔度。

包丁は、取っ手が壊れてしまっていて、金属部分しかない(!)ものと、小さくて使いにくいものの2本のみ。もちろん、切れ味どころの騒ぎではない。

まな板はない。サビが浮いているスチール机が調理台で、その上で切るしかない(!)

そして火は薪、つまり焚火。まあこれはキャンプで慣れているが...

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チキンは冷凍でカチカチに凍っているが、大きすぎるので半分に切ってくれ、という。水に放り込んで少し解凍してから、柄のない包丁で切るということだが、そんなに簡単に融けやしない。放り込んだ水のほうはすぐに氷のように冷たくなり、手を入れるだけでも冷たい。

Sa14011苦闘1時間近く、なんとかチキンは全部さばいて、ナベに放り込んだところで、いったん調理場から離れる。手回し井戸があった(右写真)。これが唯一の水なんだという。なるほど、手を洗うのになんか使えないわけだ。

子供たちが駆け寄ってくる。先々週の経験から、カラテの真似をすると、大喜び。20人くらいの子供たちに、少林寺拳法の形をやってみせると、みな真似をする。合掌礼に始まって、「ハッ!」「ハッ!」と。20人が真似をやっている姿は見ものだったよ、と同僚たちが大ウケしていた。子供たちは私のことを Teacher!と呼ぶ。たぶんカンフー映画の吹き替えで「先生」を「Teacher」にしているのだろう。

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調理開始から2時間ちかく、なんとか料理が整い、配膳準備。といっても、プラスティックの平皿に、ライス、チキン、サラダを、がさがさと載せるだけ。よそうためのお玉もないので、ライスは平皿を使って掘り起こし、チキンはコップですくってライスにぶっかける。清潔もなにもあったものではないが、現地スタッフのおばちゃんたちがそうして進めていくのを、文句をいう筋合いなどあるはずもない。

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さて、配膳開始。行列をつくった子供たちにひと皿ずつ渡していくが、すぐに皿が足りなくなり、どんどん追加で配膳していく。...チキンが足りなくなるんじゃないか?サラダもあやしいぞ。仕方なく途中から少し量を減らしたりしたが、なんとか、一緒に来ている親たちも含めて、渡すことができた。

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本当は私たちSAPスタッフも同じものをごちそうになる予定だったのだがそれどころではない。本当にギリギリセーフ。後で聞いたら、60人前のはずが、140人いたという(!)。そりゃ足りませんがな。

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本当は15時から、近くで伝統舞踊を観せてもらうことになっていたが、給食がほぼ終わったのが16時前だった。フルスピード、ノンストップの3時間。でも、皆が喜んで食べてくれたのでよかった。帰りに、SAPアフリカが寄贈してくれていたポロシャツを全員に配ると、皆大喜びで受け取っていった。(ちなみにこの後、伝統文化村に行き、事情を話したところ、特別に伝統舞踊も追加講演してくれ、観ることができたのは嬉しかった。)

翌日は、スワジランドにある国立公園で、サファリ・ドライブ。詳細は省くが、キリン、ゾウ、サイ、カバ、そしてライオンも見ることができて、楽しかった。

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■スワジランドとHIV/エイズ

スワジランドは人口110万人、アフリカでは一番小さい国だが、18~49歳人口におけるHIV保有率はなんと32%(!!)。

以下はWikipedia「スワジランドにおけるHIV/AIDS」からの抜粋。

スワジランドは世界で最もHIV/AIDSの蔓延した国家の1つで、1986年に国内で初の患者が見つかって以来長らく流行し続けており、同国の経済発展の足枷となっている。妊婦管理を目的とした定期健診からは、妊婦におけるHIV有病率は一貫して上昇し続けていることが明らかとなっており、1992年に4%であった妊婦のHIV有病率は、2004年の資料では実に42.6%となっている。また、15-19歳の女性のHIV有病率は28%、25-29歳の女性では驚くべきことに56%にまで達していたことが知られている。

国際連合開発計画の人間開発指数によれば、HIV/AIDSの著しい蔓延により、スワジランドの平均余命は2000年時点で61歳であったのが、2009年には32歳にまで急落したことが報告されている。また、世界保健機関による2002年の報告では、スワジランドにおける死因の実に61%が、HIV/AIDSに起因することが示されている。

なお、スワジランドではHIV/AIDSの著しい大流行が見られるにも関わらず、同病気への感染は現在でも非常に不名誉なものであるとされている。HIV/AIDSの感染者、特に宗教的指導者や伝統的指導者、あるいはメディアやスポーツの著名人といった人々は、自身の感染を公言したり明らかにすることがほとんど無い。この、HIV/AIDS感染が不名誉であるという認識は地域社会における情報の共有を妨げ、予防への取り組みを阻害し、社会サービスの利用率を低下させている。

日本語ウィキペディアに「スワジランドにおけるHIV/AIDS」という独立した項目があること自体がすでに衝撃だが、平均余命が32歳(!!)とは。

その結果、スワジランドでは、エイズによって孤児となった子供たちが、少なくとも7万5千人いるという。(今日いた子供たちはせいぜい100人。その750倍...)上述のようにエイズは不名誉なものとされていることもあり、孤児たちに対して向けられる親族や近隣の支援も薄いという。

エイズへの取り組みとしてスワジランド政府が立ち上げた組織が NERCHA (スワジランドHIV/AIDS緊急対策委員会、National Emergency Response Committee on HIV/AIDS)であり、ヤング・ヒーローズはNERCHAが支援しており、SAPを含む多くの企業もスポンサーとなっている。

ヤング・ヒーローズでは、世界から広く寄付を募っている。クレジットカードへの自動引き落としで、月19.95ドル(食費援助)または29.95ドル(食費+衣料援助)を行うことができる(1年契約)。英語のサイトなのでちょっと敷居が高いかもしれないが、下記に手順書をつけておいた。ぜひみなさんも、一口ご支援を

■寄付登録の手順

http://youngheroes.org.sz/become_sponsor.php?family_id=NEED をクリック。

下記の画面が出るので、援助したい児童数の枠に「1」、チェックボックスに✔を入れる(食糧援助のみの場合は上だけ、衣料援助も含める場合は上下とも)。

すると下の太字に金額が自動計算される(1名、食糧+衣料援助の場合は$29.95)。

1

1年分一括払い、または毎月払いを選択。また下に氏名住所欄があるので順次記入。

2

Credit Cardを選んで、Continueをクリック。

3

情報を確認して、OKなら Credit Card Payment をクリック。

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1人、月$29.95なら上から5番目をクリック。

5

ここでPaypalのページに飛ぶ。CountryのところでJapanを選ぶと、

6

そこからは画面が日本語表示に切り替わるので、

以下、再び記載していく。(※すでにペイパルのアカウントを持っている人は「PayPal」を選ぶことで、下記は不要)

7

同時にPayPalアカウントが作られるので、任意のパスワードを決めて2回入力。

8

 内容を確認し、「同意して支払う」をクリック。

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これで完了!

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【参考リンク】

ヤング・ヒーローズ (英語)
http://www.youngheroes.org.sz/nercha.php

 

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