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どうしたマクドナルド!?

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先日、マクドナルド渋谷店一斉閉店→リニューアルオープンなんていうニュースもありましたが、先月末、マクドナルドの都心の一部店舗がリニューアルしましたね

最近のマクドナルドと言えば、コーヒーを無料で配ったりTシャツを売ったり、ファーストフードの圧倒的チャンピオンとしての地位を武器に、アグレッシブかつ大胆なマーケティング戦略が目を引いていますが、そこに来て今回の“次世代デザイン店舗”の展開、いちマクドナルドファンとしても(早めに家を出た時に朝マックするのが好きです。笑)、ちょっと注目していました。

で、先週、「リニューアル後、ちょっとは落ち着いたかな?」と思いつつ、赤坂駅前店に寄ってみました。平日のお昼時。そこで、タイトルの「どうしたマクドナルド!?」です。以下、「どうしちゃったの?」のポイントを分けて、書いてみようと思います。

1.厨房、どうしちゃったの?

入店してすぐに目についたこと。カウンターの人がドリンクとポテトを取りに行ってカウンターに戻ってくるのに、他のスタッフ(マクドナルドではクルーと言うようですが、本記事では一般的な用語を使います)とぶつかりそうになったり、一生懸命よけたりしている。見ると、ポテトのフライヤーがやけに奥まったところに、しかもポテトを揚げる人がこちらに背を向ける格好になるように設置してあります。私の知る限りマクドナルドのポテトのフライヤーはカウンターのすぐそばに、かつカウンターに垂直になるように設置されるのが定石なはずです。想像するに、これは

・カウンターの人がポテトを取りに行く動線をできるだけ短くする。
・ポテト担当の人が横目で客の入りを見ながらポテトを揚げる量(タイミング)を調節できるようにする。

ための配置なのだと思うのですが、奥まったところにカウンターに背を向ける形でポテトのフライヤーが設置されていたら、この両方とも効果を発揮しません。なんであんなところにフライヤーを持っていっちゃったんだろう?厨房機器を奥まったところに持っていった方がお客さんの目につかなくて洗練された店舗空間を演出できるから??にしても、オペレーションが犠牲になりすぎてないか?どうしちゃったの??

2.フロア(座席)、どうしちゃったの?

この記事もあるように、今回のリニューアルの目玉は内外装を含めた店舗デザインにあるとのことでした。「どんな座席になってるのかな?」と思いながら、階段を上がって見てみると、確かに、ぱっと見、座席の間隔が空いていて、以前よりはゆったりというか開放感のある感じになっていました。でもその後すぐに気づいたこと。それまでは無かった4人掛けのボックス席が複数設けられていて(以前もテーブルをくっつけて4人で座ることはできるようになっていましたが、固定のボックス席ではありませんでした)、その殆どにビジネスマンやOLが一人で座っていました。つまり、4席中3席が空いているボックス席がたくさん、という感じ。さすがにボックス席で相席するのもなんなのでしょう、1人で贅沢に4人掛けの席を使うことになります。
赤坂は土地柄、ビジネスマンが多く、お昼時のマクドナルドは一人でさくっと食べて出る人が多いんですよね(なのでお昼時でも人が入っている割にはしゃべっている人が少ないので、けっこう静かです)。学生が何人かで長時間おしゃべりするような渋谷界隈の店舗であれば、このデザインは理にかなっていると思いますが、なんで赤坂でこうしちゃったんだろう?ちなみに、以前のマクドナルド赤坂駅前店は、一人用の席がかなり多くありました。
もう少し見てみると、以前の片側だけにカウンターがついている席(相手と向かい合うことのない席)は両側から4人ずつが座れる8人がけのハイテーブルになっていて、そこを利用している人は向かい合わないよう互い違いに相席をしているような感じになっていましたし、さらに驚いたのは、以前はそのカウンター席にあったコンセントがどこにも無い!いや、正確にはあるのかもしれませんが、ぐるっと回った感じ、見つかりませんでした。
ビジネス街で一人用のコンセント席をなくして、向かい合ってしまうような席やボックス席を多く配するなんて、どうしちゃったの??

3.テイクアウト、どうしちゃったの?

マクドナルドのこのページにもあるように、マクドナルドは2008年12月から簡易包装に取り組んでいて、プラスチックやCO2の削減に成功しているようです。エコの観点から「食べると必ずゴミが出る」等と批判の対象になりがちなファーストフードにあって、この結果を伴っている取り組みは素晴らしいと思います。
が、赤坂駅前店から出てきた人が持っていたマクドナルドの袋を見てびっくり!漂白剤や塗料を節約した茶色い簡易包装用の袋ではなく、昔よく見かけたようなロゴの入った白地に赤の袋じゃないですか!あれ?エコは?茶色い袋は新デザイン店舗に似つかわしくないからかどうかわかりませんが、ブランディングのためにこれまでそれなりの成果を上げていたエコ施策を廃止してしまったのでしょうか?それってむしろマイナスのブランディングになっちゃう気がするんですけど。うーん、どうしちゃったの?

マクドナルドの施策の失敗例として(※)、最近では2008年のマックベーカリー(「マクドナルドが100円パンを販売する」ということで話題になったものの、わずか3ヶ月で販売終了)がありますが、店舗デザインの変更は対象店舗数次第ではこれを上回る投資額になるでしょうし、再改装はさらに出費を伴なう分、マックベーカリーの販売中止よりも判断が難しいと思われます。
※「マックベーカリーが失敗だった」というのは私の主観です。マクドナルド側は何もコメントしていないと思いますが、3ヶ月での販売終了は当初予定していなかったスピード撤退だったと思います。

もちろん、上に記載したことは私個人の印象ですし、新デザイン店舗が失敗かどうかはわかりません。が、万が一、これがいい方向に働いていなかった場合、マクドナルドがどれだけ迅速にどう動くのか、ちょっと注目しています。

マクドナルド、好きなんですけどね。でも、コンセントでPCの電源とりながら朝マック、できなくなっちゃったかあ。。。残念。(いまどき電源のもたないPCを使ってる方が悪い?笑)

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